湯田中温泉「松籟荘」を宿泊レポート!3年かけて館主が作り上げた理想のラグジュアリー温泉旅館とは 長野

2024年3月にオープンしたばかりの信州・湯田中温泉「松籟荘(しょうらいそう)」は、一日5組限定のラグジュアリー温泉旅館。全室が源泉掛け流しの露天風呂、庭園付きで、プライベートに楽しめる非日常感が味わえます。また宿泊者は道向かいの「よろづや」の大浴場「桃山風呂」や共同浴場の「湯田中大湯」も利用ができます。
極上のお湯に浸り上質なお料理に舌鼓、特別な日に泊まりたい湯田中温泉「松籟荘」を、実際に宿泊した目線で紹介します。
極上のお湯に浸り上質なお料理に舌鼓、特別な日に泊まりたい湯田中温泉「松籟荘」を、実際に宿泊した目線で紹介します。
生まれ変わった松籟荘

2021年2月、厨房から出た火は瞬く間に燃え広がり、国の登録有形文化財であった木造の(旧)松籟荘を焼き尽くしました。残念なことに消防車が入れない斜面に建っていたことも消火の遅れの原因に。このニュースは全国に報道されたため、火災前に行けば良かったと後悔した方もいらっしゃるかもしれません。

松籟荘への思いについて語る館主の小野さん
1939年に建てられた建物や館内の美術品などは灰燼に帰してしまいましたが、人的被害が無かったことが幸いだったと七代目館主の小野さんは語ります。そうして火災の翌月にはもう現在の松籟荘の構想を練り始め、じっくりと3年の歳月をかけて2024年3月1日に新しい松籟荘がオープンしました。

1階の客室「はぎ」(定員4名)、お部屋の広さに驚かされる

1階の客室「きく」(定員4名)1階の客室は全て室内に専用のダイニングルームが付いている
以前の松籟荘のデザインやお部屋名を活かし、以前の松籟荘に思い入れのあるお客さんにも喜んでもらえるような、一方で今の新しい宿ならではの快適さやプライベート感を重視した和風旅館に生まれ変わった松籟荘。

1階の客室「はぎ」、庭の緑も目にまぶしい
館主ご自身で間取りのスケッチを描いて、それを設計事務所におこしてもらったというこだわりっぷり。町から一歩中に入ったら別世界であるような、和の設えと防音にこだわり、泊まることを旅の目的にしてもらえるような宿にしたいと語ります。

2階の客室「こまくさ」(定員2名)は一人泊も可。松本民芸家具の似合う宿にしたかったと小野さん。
そうしてこんな旅館にしたいと館主が理想をこだわり抜いて建てた「松籟荘」は、全てのお部屋がデザイン違い、全てのお部屋が露天風呂付きの全5室。まさに伝統的でありながら新しい上質な空間をここに作り出しているのです。

2階の客室「こまくさ」(定員2名)の客室露天風呂
松籟荘で人気の和洋室「なでしこ」に泊まる
長野駅から松籟荘へのアクセス

長野電鉄 特急スノーモンキー号
湯田中渋温泉郷の温泉地の中でも、湯田中温泉は駅から近いというのが大きな利点。長野駅から特急スノーモンキーに乗って約45分。湯田中駅からは歩いて7分程度の距離ですが、松籟荘宿泊者は駅からシャトルバスで送迎もしてもらえます。

門から一歩足を踏み入れると特別な休日の始まり。とてもワクワクしてきます。

館内はどの角度で切り取っても絵になりますね。
和洋室「なでしこ」を紹介

1階の客室「なでしこ」(定員4名)
「松籟荘」の5室は、1階に純和室の「きく」と「はぎ」、和洋室の「なでしこ」、2階にツインベッドの「こまくさ」と「しゃくなげ」があります。欄間(らんま)の透かし彫りや電灯の形がそれぞれの室名の花をイメージしているのも素敵です。

「なでしこ」のベッドルーム
「なでしこ」のお部屋が人気なのは、唯一の和洋室仕様だからだそう。女子旅を始めとしてベッドに慣れたインバウンドの旅行者や、足の悪い年配に方にもベッドのあるお部屋が喜ばれるとか。

ベッドの寝心地も最高でしたが、枕がまたこだわりの特注品。胸元に置かれた平たい枕は樟(クスノキ)のチップとトルマリンを使っています。ふわふわした方は羽毛でほどよいクッション性。夢見心地で頭を沈み込ませてくれました。
いきなり感動したのでベッドの感想から書いてしまいましたが、次はお部屋のアメニティ類をチェックしてみましょう。

置いているティーバッグもこだわりを感じます。山野草茶のえんめい茶、有機ダージリン紅茶、そして見た目も可愛いいちご&りんごの和の果実茶など。

シャンプーやコンディショナーはameriorate(アメリオレイト)。

浴衣だけでなく作務衣もあるので着替えたりできます。「松籟荘」マーク入りのタオルの質感が素晴らしい!外湯に行く時に使える館内バッグも色違いで用意されています。

バッグには一つ一つ色の違うちりめんのお花が付いたウッドピンチ。これがあると大浴場のスリッパも間違えにくい。
それでは早速このバッグにタオルを入れて、桃山風呂に行ってみましょうか。
湯田中温泉 よろづやの桃山風呂に感激!
風格ある「よろづや」

「湯田中温泉 よろづや」は創業寛政年間の老舗旅館。松籟荘の道向かいに建つ本館にあたる宿。その威風堂々たる外観は、温泉街でもひときわ目を引く美しさです。

ロビーから二階に上がる階段も思わず息をのむ重厚感。豪華な折上げ格天井が格式の高さを思わせます。浴衣が似合うスポットですよねぇ。

お風呂までのアプローチもちょっとしたギャラリーになっていますが、目指すはとにかく桃山風呂。「よろづや」には桃山風呂と東雲風呂という大浴場があり、特に桃山風呂は1951年に作られた歴史ある浴場で国の登録有形文化財にも指定されています。
桃山風呂と東雲風呂は男女交代制の大浴場となっていて、桃山風呂の女性タイムは15時から21時半です。うっかり入りそびれることがないようにしなくては。
桃山風呂へ

脱衣所から既に歴史を感じます。とてもかっこいい!

そしてこちらが桃山風呂。天井が高く伽藍(がらん)建築の湯屋の粋を集めた豪奢なデザイン。文化財のお風呂に入れるというだけでも貴重なのに、隅々まで美しくため息が出てばかりです。
お湯は自家源泉で、温度が高いので地下水による加水はしていますが、循環などはいっさいしない源泉掛け流し。泉質はナトリウム―塩化物・硫酸塩温泉で、お肌の保湿効果に優れます。

露天風呂もただの岩風呂ではない。振り返ると桃山風呂の唐破風(からはふ)がどっしりと構えていて、やはり唯一無二の露天風呂となっています。岩風呂の奥の方に行くと頭上に紅葉が枝を伸ばしているので、秋の彩りも見てみたいと思わせます。

さらに蒸し風呂まであるんですよ。嬉しいですね。
湯上がりのお楽しみは
お風呂上がりは再び「松籟荘」に戻ってきて一休み。お部屋の冷蔵庫にはウェルカムドリンクとして、シードル、プレミアムモルツ、りんごジュースなどが入っていました。

それではお部屋でシードルで乾杯!湯上りに嬉しいシュワシュワ感です。幸せです。
「松籟荘」の夕食
専用ダイニングルームの贅沢
「松籟荘」は、食にも大変力を入れている旅館です。料理長の井上邦彦さんは、イギリスにある日本国大使館の大使専属料理人や三菱開東閣の和食料理長を務めた経歴の持ち主。和食の基本を押さえるだけでなく、遊び心も忘れない繊細なお料理を得意としています。

「なでしこ」のダイニングルーム
また1階の3室はそれぞれ室内に専用のダイニングルームを設えてあり、お部屋から出なくてもお料理を運んでくれます。一般の旅館のお部屋食とは違って、専用のお部屋があるのでリビングや寝室に食べ物のにおいがこもることもありません。
初夏の夕食一例を紹介

こちらはカエルに見立てたソラマメを乗せた水無月豆腐。写真ではわかりにくいのですが、ドライアイスの雲海がお皿からふわふわと溢れて幻想的でした。

八寸は鰻と胡瓜のうざくや、信州福美鶏と牛蒡唐揚げなど。中央手前にあるのは玉子焼きかと思ったら、玉蜀黍真丈(とうもろこししんじょ)でした。ほんのりと優しい甘さ。

本日のお造りは中トロ、イサキ、イカ。大根で作った紫陽花の花が可愛らしく目を引き、中トロの上品な脂が口の中でとろけます。お醤油は地元・信州中野の無農薬醤油を使用。

信州だけにお蕎麦もわすれちゃいけない。なめこおろしがたっぷりで、そばつゆはカツオと鯖で出汁を取っています。
お料理をいただいて思うのは、味は濃すぎず品が良いのに繊細な出汁が深く効いていること。あまりに美味しいのでするするとお腹に入ってしまいます。

また「松籟荘」の夕食の特徴の一つに、料理長自らお部屋を回って手を加えたお料理を出していただけること。全5室だから叶う贅沢な試みであり、お客の方も直接料理長に美味しかったことを伝えられるという点でもちょっと嬉しい。

お米はやはり地元・木島平産。お味噌汁にコリコリした根曲がり竹が入っているのも長野県らしい味わいです。
※お料理の内容は季節やプランによって変わります。
お部屋のお風呂と夜のラウンジ
ラウンジ傳(でん)はフリーフロー

館内にはくつろげるラウンジがあり、昼間も信州産のりんごジュースやももジュースがいただけるのですが、夜にはアルコールもフリーフローで楽しめます。

お酒も良いものがそろっています。おつまみもあります。お部屋にこもっているのも良いのですが、ラウンジで極上の時間を過ごすのも、このお宿ならではのお楽しみ。

注意しなくてはならないのは飲みすぎだけです。
お部屋の露天風呂を満喫
客室付き露天風呂の良いところは、お部屋を出なくてもいつでも入れて、他のお客さんのことを気にせずプライベートな時間をゆったりと過ごせるところ。

さらにこのロケーションですよ。湯船に腰を下ろした目線でライトアップした和風の庭園。聞こえるのは湯口から滔々と流れるお湯の音。
一般的なお部屋の温泉は小さい湯船であることが多いのですが、「なでしこ」のお風呂はたっぷりサイズ。2人ならゆうゆう。3人まで入れそうです。
掛け流しの湯田中のお湯を独り占め…最高です。もうこのままずっと帰りたくない!
朝食もお楽しみ!チェックアウトが名残惜しい
朝食は三重の和食膳で
ベッドの寝心地が良すぎて、深く深く眠ってしまいました。目が覚めると頭もスッキリです。

朝食もお部屋のダイニングルームに運んでもらえます。お重の中はどんなお料理なのか、ドキドキしながら待ちます。

思わずほうっとため息。和食でありながら、白いお皿の上になんとも鮮やかな色が展開。木島平こしひかりのふっくらとした甘さを引き立てる小鉢の数々です。夕食もそうでしたが、出汁が効いているので滋味深く上品な味わい。お箸が止まらなくなります。
名残惜しいお部屋の露天風呂

最後の最後にもう一度お部屋の露天風呂に入りました。たくさん湯田中温泉に入ったせいでしょうか、昨日よりも肌触りがすべすべします。肌の凹凸が消えてつるつるになったよう。さすがは名湯の掛け流しですね。
チェックアウトギリギリの時間まで「松籟荘」を堪能させていただきました。もしお湯よし、お部屋よし、お料理よし、そして文化財のお風呂に入りたいと思われたら、ぜひ「松籟荘」にお出かけしてみてください。
湯田中温泉 松籟荘 基本情報
1泊2食付き、おすすめ宿泊プラン・料金
2024年3月1日開業 萬会席「お部屋食」プラン
【期間】2024年03月15日〜2024年12月30日
2024年3月開業、「松籟荘 しょうらいそう」が生まれ変わります。
■受け継がれる職人技、伝統意匠を再現した空間
装いも新たな「松籟荘」では、全てのお部屋で四季折々の景色を楽しめるお庭を備え、「内」と「外」を一体化した寛ぎの空間を演出しています。景色を楽しみながら、ゆっくり流れる穏やかな時間をお過ごしください。
※宿泊プランは2024年6月現在の内容です
※プラン内容やお部屋の種類によって金額が異なります。予約に関する情報は下記「楽天トラベル」にてご確認ください。
口コミ紹介
最高の旅館を経験したく訪問しました。
おもてなしからお見送りまでもう全てが大満足です。
2024年3月の開業ということで建物がすっごく綺麗なのは言うまでもありません。建物、お料理、客室、アメニティ、雑貨用品、電化製品、家具、露天風呂、接客等々どれをとっても超一流です。庶民の自分にとってはお値段は相当な金額ですが、本当に訪問できてよかったです。今後の自分にとっての貴重な体験(財産)です。
引用:Googleマップ
私の誕生日祝いで夫が予約して宿泊させて頂きました。
お部屋、お部屋に付いている露天風呂、お食事、大浴場2ヶ所、
どれをとっても素晴らしかったです。
女将さん、スタッフさんも気配りを自然にして下さり、他の所でありがちな押し付けがましさが全くない、おもてなしの心温まるサービスを提供していただきました。
外国人のお客様にも好評ということですが、日本人の私どもにとっては少し高級過ぎるかなと思っていましたが宿泊してみてこんな非日常の贅沢なお宿も、アリです。
また頑張って泊まりに行きたいなと思わせてくれるお宿でした。
ありがとうございました。
引用:Googleマップ
湯田中温泉を満喫できる立寄り湯2選
湯田中温泉 湯田中大湯

湯田中温泉の共同浴場。よろづや、松籟荘といったエリア内の限られた温泉旅館に宿泊した客のみが、鍵を開けてもらって入浴することができる。お風呂は2槽あり、お湯は熱いが地元の人とのふれあいも楽しめる。
湯田中駅前温泉 楓の湯

長野電鉄 湯田中駅の駅前日帰り温泉。名称の「楓(かえで)」は足湯の脇にある楓の大木にちなんで名づけられた。お休み処の窓からはホームが見える。
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提供元:東海旅客鉄道株式会社【PR】
この記事は東海旅客鉄道株式会社のPRレポート記事です。 -
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この記事を書いたライター

- 泉 よしか
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女子目線温泉ライター。温泉ソムリエマスター。女性を甘やかしてくれる豪華な温泉も好きですが、お湯の他にはなんにもない温泉も好きです。
温泉ソムリエマスター,温泉観光実践士,サウナスパ健康アドバイザー,銭湯検定4級
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