寒の地獄温泉に「暖の地獄サウナ」がオープン!その全貌を徹底紹介【大分】 大分

寒の地獄温泉(大分県九重町)は“日本一の水風呂”、と多くの温泉通やサウナ通にささやかれる冷泉(霊泉)。あまりの冷たさのため、これまでは7~9月の期間限定でしたが、2023年7月に「暖の地獄サウナ」がオープン。年間を通じて利用できるようになりました。
そこで今回は地元九州在住の筆者が、「暖の地獄サウナ」と「冷泉」を現地体験。以前との比較を交えながら、その全貌を徹底紹介します!
そこで今回は地元九州在住の筆者が、「暖の地獄サウナ」と「冷泉」を現地体験。以前との比較を交えながら、その全貌を徹底紹介します!
寒の地獄温泉ってどんなところ?
寒の地獄温泉は標高約1100m、九重(くじゅう)連山の麓に位置する秘湯の一軒宿です。江戸時代末期に発見され、旅館としての創業は1928年(昭和3年)。当時から冷泉(霊泉)の優れた効能で知られ、湯治場として栄えてきました。
※「霊泉」とは、飲んだり浴びたりすると不思議なほど効果があるといわれる泉・温泉のこと。
寒の地獄温泉の場合、やけどや骨折・ねんざ等の冷やすことで療養効果が得られる怪我・病に特効があるとされ、古から現代に至るまで多くの湯治客や常連が通い続けています。

しかし冷泉の温度が13~14度であり、さらには肌への刺激が強い硫黄泉であることから、冷泉入浴は7~9月の夏季限定でした。
近年は、熱烈なサウナファンからサウナ設置への期待が次第に高まり、2023年7月15日には「暖の地獄サウナ」が一般オープン。年間を通じてサウナと冷泉が利用できるようになりました。なお、サウナ・冷泉・暖房室共に男女混浴。水着着用で利用します。

サウナ設置に伴い、入浴ルールも一部変更。今回は以前との比較を交えながら、冷泉サウナの入浴法をはじめ、その全貌を以下にご紹介します。
注目の「暖の地獄サウナ」全貌
まず最初に受付(旅館のフロント)にて、施設スタッフによる冷泉サウナの利用方法や注意点のレクチャーがあります。不明な点は、そこで遠慮なく質問しましょう。
入浴する順番に決まりは有りませんが、筆者的には、「暖の地獄サウナ」→「冷泉」→「ととのえ暖房室」→「ととのえデッキ」→「旅館棟の温泉」の順番で利用するのがおすすめ。その順にならい、サウナからご紹介します。

最初は男女別の更衣室で水着に着替えます。ここは従来と変わりませんが、異なる点は、サウナ室では専用の草履を着用すること。床が熱くなっているためです。
サウナは、長年使われていなかった暖房室に造られました。薪ストーブでサウナストーンを温めたセルフロウリュ形式です。室温は、おおよそ90~95度。入った途端に汗が噴き出します。名物の冷泉入浴に備えるためにも、体の芯までしっかり熱せられましょう!

ロウリュすると室内の温度が瞬時に上昇し、サウナ―にはたまらない瞬間。
注意すべき点は、必ず室内に備え付けの専用水でロウリュすること。冷泉には硫化水素ガスが含まれておりますので、絶対に冷泉をふりかけないようにして下さい。

また、燃料も薪もセルフで投入可能。火力を利用者が調整できる点にも注目です。サウナ室には専用の手袋が備え付けられているので、必ずその手袋を着用して薪を投入して下さい。
※薪投入における事故等は自己責任になるので、十分に気を付けて利用して下さい。
ちなみに燃料の薪は、周辺地域で伐採される間伐材や製材過程で出る端材を使用。周辺環境の保全にも配慮されてます。
体の芯まで冷やし続ける!? 名物「冷泉」の入り方とは
冷泉は従来と変わりありません。中央が腰壁で仕切られていますが、男女の区分けという意味ではなく、どちらでも自由に利用できます。


冷泉の温度は13~14度ですが、体感温度は0度とも言われてます。
また、湯船の底は砂や石で覆われていますが、砂の間から毎分2トンを超える冷泉が自然湧出。これは“足元湧出温泉”と呼ばれ、温泉ファンから絶賛される大変貴重な温泉形態です。
泉質は、弱酸性の単純硫黄冷鉱泉。冷たさ以上にピリッと刺すような刺激が特徴ですが、サウナで十分に温まることにより、以前よりもかなり入りやすくなっています。それでも入浴をためらってしまう場合は、心臓を守る様に両腕を脇に挟んで入浴すると、より一層入りやすいです。

とはいえ、サウナで温まった熱が奪われると、泉質特有の痛みにも近いような刺激が全身を駆け巡ります。しかし、ここはグッと我慢。概ね2~3分経過すると、冷泉の成分が肌に馴染み、特有の痛みが急激に減少します。
入浴時間は人それぞれで、特に決まりは有りません。ちなみに筆者の場合、20~30分程度冷泉に入り続けます。出るタイミングは、体温が奪われて凍傷の様に体がガクガクブルブル震え出した時。また冷泉から上がる時は、体を拭かないことが重要です。

また、冷泉の脇には飲泉スペースが設置。ゆで卵の様な硫黄の味がしますが、硫黄泉にしては比較的飲みやすい味。サウナは大量の発汗を伴いますので、水分補給にピッタリです。
冷泉をあぶりこむ!「ととのえ暖房室」
冷泉に入った後は、「ととのえ暖房室」へ向かいます。暖房室は、今回のリニューアルで部分的に改装されました。薪ストーブで暖めた部屋で、サウナ―的な感覚で言えば、低温ドライサウナといったイメージでしょうか。
とはいえ「暖の地獄サウナ」とは似て異なるものです。
利用のコツは、皮膚に付着した冷泉をあぶり込む(自然乾燥させる)ように乾かすこと。冷泉の有効成分を少しでも体内に吸収させることが狙いであり、「体を拭かないことが重要」と記述したのはそのためです。

暖房室で温まり続けると、緩やかに体の芯まで熱が回復。冷泉入浴時の緊張感から解放され、身も心も癒されます。
なお、暖房室での所要時間は個人差がありますが、目安としては冷泉に入った時間の1.5~2倍程度です。
このように冷温交代浴を実際に体験することにより、驚くほど身体も気分もシャキッと引き締まります。いわゆるショック療法とも言えますが、免疫力増加につながって風邪を引きにくくなるとも、古から言い伝えられています。
また、あまり語られることはありませんが、実は成分比率的に硫酸塩泉(石膏泉)系統の泉質。肌の保湿や修復作用に優れた美肌湯であり、切り傷や虫刺されの回復効果にも期待できます。
「ととのえデッキ」でリラックス!
サウナ―に見逃せないのが、冷泉入口前に「ととのでデッキ」が設置された点。寒の地獄は国立公園の一部に属しており、澄み切った空気の中で過ごすひとときは格別です。

このように暖→冷→暖→休憩を繰り返すことによって、“ととのう”を体感できます。
旅館棟の温泉にも入浴可能!
また、以前と異なるのが旅館棟エリアにある男女別温泉も、サウナ・冷泉入浴と併せて利用できるようになった点。以前も日帰り入浴可能でしたが、冷泉入浴とは別料金でした。
※温泉利用の際は水着のままの移動は不可。一旦着衣して移動してください。

旅館棟の温泉は、源泉を加温して源泉かけ流しで利用(上写真の左と奥の浴槽)。冷泉浴槽で感じられた刺激は皆無で、一転して肌触り柔らかな硫黄泉に癒されます。
また小ぶりながらも、加温しない冷泉(上写真の右浴槽)も設置。源泉を引く過程で自然に4度ほど温度が上昇し18度程度になり、足元湧出の冷泉に比べると入りやすいです。
また、この浴室はシャワーやソープ類も設置。体をサッパリと流せるので、上がり湯としても最適でしょう!
寒の地獄温泉「暖の地獄サウナ」のまとめ
以上、寒の地獄温泉のサウナと冷泉を中心に、その全貌をご紹介させて頂きました。

最後に、「暖の地獄サウナ」が導入されたことによる特筆すべき点を簡潔にまとめます。
・夏期の3カ月限定だった冷泉が、サウナも含み年中利用できるようになった点
・サウナ利用することにより、以前よりも冷泉に入りやすくなった点
・伝統の暖房室は、改装されたものの健在
・「ととのえデッキ」が新設
・以前は別料金だった旅館棟の温泉も、サウナ・冷泉入浴料金に含まれる点
・冷泉が苦手な方は、「サウナ→短時間の冷泉入浴→サウナ→休憩」の順でもOK
※筆者的には、どこかのタイミングで暖房室利用を挟むのが更にベターです。
※筆者的には、どこかのタイミングで暖房室利用を挟むのが更にベターです。
以上、ぜひ参考にされて下さいね!
寒の地獄温泉「寒の地獄旅館」の基本情報
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この記事を書いたライター
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- 権丈 俊宏
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良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。
温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員
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