静岡のガチな秘湯「平山温泉 龍泉荘 御殿乳母の湯」を徹底レポート!極上湯から館内グルメまで魅力満載 静岡

静岡市葵区、自然豊かな竜爪山の麓に佇む「平山温泉 龍泉荘 御殿乳母の湯」。昭和33年の開業以来、多くの温泉マニアや地元の方々に愛され続けている、知る人ぞ知る鄙び系の極上温泉です。お湯はもちろん、実はグルメも揃っているんです。多くのファンを持つ、その圧倒的なこだわりと魅力を解説します。
「平山温泉 龍泉荘 御殿乳母の湯」とは?

静岡市葵区平山にひっそりと佇む「平山温泉 龍泉荘 御殿乳母の湯」。知る人ぞ知る隠れた温泉ですが、その優しげな名前の裏には、戦国武家ゆかりの歴史が秘められています。
この「御殿乳母の湯」という名は、かつて長尾氏の子孫である武家に仕えていた、身分の高い乳母がこの湯を愛用していたという伝説から、初代によって名付けられました。当時、彼女が暮らしていたお屋敷があまりにも立派だったため、周辺の土地はいつしか「乳母屋敷」という字名で呼ばれるようになったといいます。地域に静かに息づく名湯です。
現在の建物や温泉施設「龍泉荘」が開業したのは、昭和33年(1958年)のこと。それ以来、豊かな効能を求めて多くの人々が集まる湯治宿として長年親しまれてきました。現在は宿泊はやっていませんが、日帰り温泉として営業を続け、当時の面影をそのまま残しています。

写真左側が駐車場。すぐ下にも駐車場があります。
入口は県道201号線(竜爪街道)沿いにあり、大きな石に「平山温泉入口」と書かれているので見逃すことはないでしょう。道路沿いに駐車場もあります。さらに下に下りたところにも駐車場はありますが、道が細くなっているため、大きめの車で行く人は曲がるときに注意が必要です。

御殿乳母温泉バス停。前に見えているのは新東名高速道路
筆者は静岡駅から路線バスで訪問しました。静岡駅北口6番のりばから出ている竜爪線(瀬名新田経由)「則沢行き」に乗車して約40分。御殿乳母温泉バス停で下車します。1日5本とバスの本数が少ないので、バス利用の人はしっかり時刻表をチェックしておきましょう。

2026年6月の静岡駅行き御殿乳母温泉バス停時刻表
ちなみに、途中で乗客はみんな下車してしまい、最後は筆者ひとりきりに。途中から一気に山深くなっていく車窓は、なかなか旅情があります。

坂の入口に木の杖があるので、足に自信のない人はそちらを利用しても良いかも。
バス停から20メートルほど下った先にある龍泉荘。坂道の途中からは約70段の階段が続きますが、その傍らで目を引くのが1本のモノラック(レール)です。かなり古いものではありますが、今も現役。荷物の上げ下げに欠かせない相棒として、日々元気に頑張って稼働してくれています。
階段の途中にある手書きの「いらっしゃいませ」の文字には、思わず心が和みます。
料金と利用方法

入って右側が受付
営業時間は平日10:00〜18:30、土日祝日は9:00〜18:30。
定休日は毎週火曜日と水曜日(祝日の場合は営業)。
料金は大人1人1時間500円で、4時間料金は1人1,000円、1日利用する場合は1,300円です。

大広間
温泉利用者は誰でも利用できる1階の大広間は、窓の外には長尾川が流れなんとも癒されます。

2階個室
2階には個室もあり、こちらは1人2,000円で1日利用でき、300円で浴衣もレンタルできます。
タオルは200円で販売されているので、ふらりと立ち寄ることも可能。
今回、私は帰りのバスの時間を逆算すると2時間ほどの滞在になるので、受付で4時間利用の1,000円を支払いました。料金を支払うと、若い女将さんが丁寧に館内を案内してくれます。
お話を伺うと、現在は3代目となるご両親がオーナーとして龍泉荘を運営していますが、今は娘さんご夫婦も合流。「将来は自分たちが4代目として引き継いでいきたい」と、ご家族一緒に力を合わせて日々頑張っていらっしゃいます。

女性用パウダールーム
案内され、館内を進むと女性用のパウダールームは2階に用意されていました。男性はパウダールームの代わりに、浴室に外気浴スペースが設けられているとのこと。私は直接確認できませんでしたが、長尾川を眺めながらの外気浴は、とても気持ちよさそうです。

脱衣所
脱衣所は、脱衣カゴが整然と並ぶシンプルなスペース。トイレは浴室の外にあるので、洋服を脱ぐ前に済ませておきましょう。
※2026年6月時点の情報です
静岡おでんからスイーツまで揃う食事処

川のせせらぎが心地いい大広間では、お食事をいただくこともできます。メニューには、うどんや蕎麦といった軽食から、親子丼や焼肉定食などのガッツリ系まで幅広いラインナップ。さらに、静岡おでんや板わさなど、お酒のアテにぴったりな一品料理まで揃っています。温泉上がりの乾いた喉に冷たいビールを流し込み、熱々の静岡おでんをハフハフと頬張る…想像しただけで、思わずよだれが出てきそうです。

御殿乳母定食 1,200円(税込)
この日はお昼を食べずに立ち寄ったこと、そしてちょうど女湯に先客がいらしたこともあり、まずは腹ごしらえをすることにしました。選んだのは、店名を冠した「御殿乳母定食」。ご飯にうどんか蕎麦(温・冷の選択可)、静岡おでん、さらには茶碗蒸しまで付いた、なんとも豪華なセットです。ちなみに、ご飯とうどん・蕎麦はそれぞれハーフサイズなので、色々な味を少しずつ楽しみたい欲張りな胃袋にちょうどいいボリューム感。私は冷たいお蕎麦をチョイスしました。

熱々の茶碗蒸し
少しして運ばれてきたお料理は、どれも丁寧に作られているのが伝わります。特に茶碗蒸しは、オーダーを受けてから蒸し上げるため少し時間はかかりますが、そのぶん出来立て熱々!口に運ぶと出汁の旨味が広がり、熱さでハフハフしてしまいます。

静岡おでん
お蕎麦は喉越しが良く、ふわりと鼻に抜ける香りも本格的。そして何より、味がじっくりと染み込んだ静岡おでんが絶品です。箸を進めながら、「あぁ、これはやっぱり温泉を堪能したあと、ビールと一緒に食べるべきだったか…」と今更ながら後悔が頭をよぎりましたが、目の前の美味しさと空腹には勝てません。あっという間に完食してしまいました。
また、こちらの食事処はデザートメニューも充実しています。夏場にはかき氷も登場。湯上がりにキーンと冷たいかき氷で涼むのも、これからの季節は最高かもしれません。
3つに仕切られたユニークな湯船

お腹も満たされたところで、いよいよお目当ての温泉へと向かいます。
浴室の写真は、許可をいただいてお客様がいらっしゃらないときに撮影しています。

おでん鍋にしか見えない…
ガラリと扉を開けて中に入ると、目の前にあるのは大きな湯船がひとつ。しかし面白いことに、中は3つのスペースに仕切られています。まるでおでん鍋。今、静岡おでんを食べてきたばかりですが、今度は私がおでんになるんですか?浴室いっぱいにほのかにゆで卵のような硫黄泉の香りが漂っていることも手伝って、いっそう“おでんっぽさ”が際立っています。
この3つの湯船、実はそれぞれ温度が異なります。一番大きな湯船に新鮮な源泉がかけ流されており、そこから隣の湯船へ、さらにその隣の湯船へと順番に流れ落ちていく構造。自然の力を上手に利用して、湯温に絶妙なグラデーションを生み出しているのです。

浴槽にかけ流されている源泉
温度は、一番大きな湯船が約40度、次が39度、そして一番小さな湯船が約38度。

この体温にほど近いぬる湯がとにかく秀逸で、一度肩まで浸かってしまうと、心地よさのあまり本当に抜け出せなくなってしまいます。

館内の壁に目をやると、こちらの湯使いに関する分かりやすいイラスト解説が掲げられていました。泉質は「単純硫黄冷鉱泉」。源泉温度は17度と冷たいため、ボイラーで優しく沸かしてから湯船に注いでいるそうです。
こちらでは、シャンプーやリンス、石鹸などの使用が禁止されています。こちらのお湯は中性の温泉。中性の温泉にアルカリ性の石鹸を合わせると、お湯の個性が損なわれてしまうためだそうです。お湯は少しとろみがあり、肌触りは驚くほどやわらか。湯上りのさっぱりとした爽快感は、個人的にクセになりそうです。
私はすっかりこのぬる湯の虜になり、一番低い38度の湯船にず〜っと浸かっていたのですが、浴槽自体がそこまで広くないため、5人ほどのお客さんが入ってきたところで少々手狭に。名残惜しさはありましたが、譲り合いの精神で次の方へスペースを空け、お湯から上がることにしました。
コンパクトな空間だからこそ、お湯の良さがダイレクトに伝わってくる名湯です。
ちなみに、他のお客さんは「ここは初めて来た」という人が2人、常連さんが2人でした。平日の2時過ぎという時間帯、普通の温泉なら空いていそうですが、ここは次から次へとお客さんが来ていましたよ。
ここは個室を借りて1日にのんびりするのが良さそうです。
多くのファンに愛され、支えられ続ける名湯

2022年9月の台風15号被災経過
これほどまでに人々を惹きつける龍泉荘ですが、実は過去に大きな試練を経験しています。2022年の台風15号の猛威により、館内が床上浸水するという深刻な被害に見舞われたのです。しかし、営業休止の危機を救ったのは、全国の温泉ファンや地元の方々でした。多くのファンから寄せられた寄付や、ボランティアによる懸命な復旧作業の手助けにより、なんとわずか2ヶ月という異例の早さで営業再開を果たしたのです。

入口にある募金箱
現在は、昨今の深刻な燃料費高騰の煽りを受け、経営的にはかなり苦しい状況が続いているといいます。それでも、館内を訪れるとお湯の温もり以上の優しさに触れることができます。玄関で出迎えてくれる木彫りの狸が抱えた募金箱。そこには、温泉を愛するお客さんたちが、少しでも燃料費の足しにと次々に寄付を入れていくのだそうです。集まった温かい支援への感謝を込め、毎月の集計結果は公式Instagramで丁寧に報告されています。

手づくりのグッズの販売も行っています。
湯の良さだけでなく、人と人との温かい繋がりの中心にある場所。龍泉荘がこれほどまでに多くのファンに愛され、大切に守られている理由が、このお湯に浸かればきっと誰もが分かるはずです。
遠くてもまた必ず帰ってきたくなる、心までじんわりと温まる最高の名湯でした。
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この記事を書いたライター
- さとちん
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温泉とご当地グルメを愛するおでかけ&グルメ&旅ライター。 休日や旅先では朝風呂でパワーチャージ! 温泉ソムリエになりました。
温泉ソムリエ,サウナスパ健康アドバイザー,銭湯検定4級,高齢者入浴アドバイザー
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