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建築美×温泉の融合!目も心も体も満たす至福の温泉施設10選【西日本版】 西日本

皆さん、温泉を選ぶ際にどのような点を重要視されますか? 筆者の場合は約30年に渡って温泉を巡りつつも本業が建築士であり、建築美を堪能できる温泉施設を数多く巡ってきました。
一口に建築美と言っても、歴史的建造物や著名な建築家が設計したアートな建築物、近年はSNS映えするスタイリッシュな施設も増えてきました。施設によってタイプは様々ですが、建築美×温泉の組み合わせは、訪れる人の目も心も体も癒してくれます。

今回は筆者が過去訪問した中から、建築美×温泉を満喫できる西日本の温泉施設を10施設セレクト。皆さんの温泉選びの参考にしていただけると幸いです!

一度は行ってみたい!定番の名建築の温泉施設5選

三朝温泉 旅館大橋 / 鳥取県三朝町

三朝温泉(みささおんせん)は、山陰地方屈指の名湯のひとつ。高濃度のラドンを含み、世界屈指の放射能泉が湧出する温泉地として知られています。中でも「旅館大橋」は名建築の宿として知られ、1997年には建物の大部分が国の登録有形文化財に登録されました。
 
三徳川側から見た旅館大橋の外観。全長120mの長大な建築物です。
 
館内の至るところで建築美を感じつつも、古臭さは皆無。客室はすべて異なる造りであり、伝統的日本建築を基本としながら、随所で宮大工の遊び心を感じさせる優雅な佇まいです。
 
準特別室「南天の間」。南天の銘木をふんだんに設えた傘天井が特徴です。
 
旅館大橋では、温泉の素晴らしさも特筆すべき点。とりわけ「巌窟の湯」と呼ばれる内湯には、3つの足元湧出温泉の浴槽があります。浴室は一段下がった広い空間で、岩がむき出しとなった野趣あふれる雰囲気に圧倒されます。
 
男女交代制浴室「巌窟の湯」。3つの足元湧出温泉が並ぶ様は実に壮観!
 
巌窟の湯の3つの湯船は、下の湯・中の湯・上の湯と名付けられ、下の湯と中の湯はラジウム泉、上の湯はトリウム泉という放射能泉です。
しばらく浸かっていると火照ったように体が温まる熱の湯であり、放射能泉特有のホルミシス効果を実感。半面、体力を消耗しやすい泉質でもあるので、出たり入ったりを繰り返すなど、やや短めの入浴を心掛けた方が良いでしょう。
※ホルミシス効果とは、微量の放射線を体に浴びると新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まる効果のこと。
 

山代温泉 古総湯 / 石川県加賀市

北陸地方最大級の温泉地のひとつである加賀温泉郷。古くから関西の奥座敷と称され、現代においても多くの観光客で賑わいます。山代温泉は、温泉郷にある4つの温泉地の中核的存在です。
 
山代温泉 古総湯
古総湯の外観。古総湯を中心に歴史的町並みを形成
 
中でも古総湯(こそうゆ)は、2010年に明治時代の総湯を復元した共同浴場。温泉街は古総湯を中心に旅館や商店が立ち並ぶ“湯の曲輪(ゆのがわ)”という歴史的街並みを形成しています。
 
山代温泉 古総湯
古総湯の男性浴室内観。窓のステンドグラスや高い天井が印象的
 
古総湯では、入浴しながら温泉の歴史や文化が楽しめる「体験型温泉博物館」である点が特徴。浴室の床や壁の九谷焼のタイルも当時のまま復元されています。
 
泉質は「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉」。源泉かけ流しの湯は、入った途端少々肌がピリッとする熱めの湯。しかし次第に体が馴染み、浴後は体ポカポカ&肌しっとりする典型的な硫酸塩泉(保湿系美肌湯)です。
※衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。
 
山代温泉 古総湯
2階の休憩所
 
また、入浴の際は2階にある休憩所もぜひ利用してみましょう。カラフルな窓が印象的で、どこか大正ロマン風。窓を開けると温泉街が見渡せます。
 

仏生山温泉 天平湯 / 香川県高松市

仏生山温泉 天平湯(ぶっしょうざんおんせん てんぴょうゆ)」は、県庁所在地である高松市の郊外にある日帰り入浴施設。2005年にオープンした比較的新しい温泉ですが、モダンかつ独創的な建築が特徴。地元の人や温泉好きの人だけでなく、建築家にも注目される施設2007年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
※以下、仏生山温泉と略します。
 
仏生山温泉 天平湯
仏生山温泉の外観。ガラス張りを多用したモダン建築です。
 
館内は、全体的にシンプルかつ明るい空間を演出。コミュニケーションスペースが多く取られ、地域の憩いの場となっています。
 
エントランスホール。全体的に細長い建物で、ついつい歩いて回りたくなります。
 
温泉施設は、四角形の中庭を中心として、その四方周辺に露天風呂・内湯・脱衣室などを配した造り。開放感溢れる独創性豊かな浴室を言えるでしょう。
 
中庭を中心に配置された露天風呂
 
泉質名は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」。等張性※1の成分が濃厚な泉質で、重曹成分によるヌルヌル感を感じます。四国地方では貴重な源泉かけ流し温泉※2を楽しめる点にも注目すべきでしょう。
※1.等張性とは浸透圧が体液や細胞液の浸透圧と同じであること。温泉においては成分総量が多い部類に入ります。
※2.衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。


武雄温泉 殿様湯 / 佐賀県武雄市

武雄温泉は開湯約1300年を誇り、西九州を代表する温泉地のひとつ。観光温泉的な側面が強く、多くの観光客や宿泊客が訪れます。
 
武雄温泉 殿様湯
武雄温泉のシンボル「楼門」
 
中でも有名なのが、2005年に国の重要文化財に指定された「楼門」でしょう。入母屋造本瓦葺の木造二重門であり、まるで竜宮城の様な佇まいに圧倒されます。
 
武雄温泉 桜田門
桜の時期に撮影した「武雄温泉新館」
 
楼門をくぐった奥にある「武雄温泉新館」も必見。当時の大衆浴場や大正天皇のために造られた浴室を見学でき、資料館も併設されています。こちらも国の重要文化財でありながら、無料で入館できます。

武雄温泉新館
貸切風呂「殿様湯」。市松模様で飾られた大理石の浴室は贅の極みです。
 
楼門の奥の敷地内には複数の日帰り入浴施設があります。最も有名なのがは大衆浴場である「元湯」ですが、温泉そのものにこだわるならば、貸切風呂「殿様湯」がおすすめ。かつて江戸時代中期に領主 武雄鍋島氏の専用風呂として建造され、シーボルトも殿様湯に浸かったと言い伝えられています。
 
泉質は単純温泉ですが、お湯に浸かった途端、まるでシルクに包まれたかような肌触りにウットリ! 源泉100%かけ流しのフレッシュさ抜群のお湯は、武雄温泉本来の良さを十二分に感じ取れます。また、4.5帖+3帖の控室も併設されているので、制限時間をフルに使って楽しむのがおすすめです。


雲仙温泉 雲仙観光ホテル / 長崎県雲仙市

雲仙温泉は、九州でも古くから有名な温泉地のひとつ。雲仙地獄を中心にホテルが点在。辺り一帯硫化水素臭が漂い、地球の息吹を感じさせる温泉地です。また明治時代以降、外国人の避暑だった経緯もあり、どこか欧州風の雰囲気も持ち合わせています。
 
その代表的な宿泊施設が「雲仙観光ホテル」でしょう。1935年に竣工した歴史的建造物でもあり、2003年には国の登録有形文化財に登録されました。

雲仙温泉 雲仙観光ホテル
雲仙観光ホテルの外観。洋風ですが、紅葉など日本ならではの自然美と違和感無く融合。
 
外観は、スイスのシャレー風(アルプス地方で見られる山荘風の建物)の建築。まるでヨーロッパの別荘へ来た様な気分へ引き込まれます。
 
雲仙温泉 雲仙観光ホテル
エントランスホール。まるで欧州旅行に来たかのような雰囲気!
 
館内も、歴史と重厚感溢れる気品ある佇まい。日本を代表するクラシックホテルのひとつと言っても決して過言ではないでしょう。
 
雲仙温泉 雲仙観光ホテル
男性大浴場「硫黄泉浴室」。優美な佇まいと本格的酸性泉のギャップに驚かされます。
 
雲仙観光ホテルでは、浴室も注目。大浴場はドーム型の天井やアルーデコ調の壁タイルが特に目を引き、芸術性さえ感じさせる独自の温泉美を満喫できます。
 
また泉質は、有名な草津温泉(群馬県)にもよく似た酸性泉(硫黄泉)を源泉かけ流しで提供。絶妙な塩梅で加水して温度調整しているせいか肌を刺すような刺激はなく、建築美を楽しみながらゆったりと温泉を楽しめます。
 

決して侮れない!個性豊かで美しき温泉施設5選

道後温泉 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉 / 愛媛県松山市

道後温泉は開湯約3000年。日本で最も古い温泉と言われる西日本屈指の人気温泉地。最も有名なのが国重要文化財である「道後温泉本館」。しかし観光客に大変人気の公衆浴場であり、長時間待ちの場合も多々あります。
 
道後温泉 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
飛鳥乃湯泉の外観(2023年撮影)。上写真の床のアート模様は2024年に撤去されました。

その場合は、2017年にグランドオープンした「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」がおすすめ。飛鳥時代の建築様式を取り入れた湯屋がコンセプトの「新湯」です。
※以下、飛鳥乃湯泉と略します。
 
道後温泉 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
男性用大浴場(内湯)。浴室風情も道後温泉本館と遜色有りません。
 
温泉は、道後温泉本館と同じ源泉をかけ流しで提供。泉質名は「アルカリ性単純温泉」。成分は比較的薄い泉質ですが、極微に硫黄成分も感じられる柔らかな湯で、浴後はしっとりと肌が整います。また、小ぶりながらも露天風呂がある点も魅力。道後温泉本館とは一味違ったモダン&アートな入浴を楽しめます。
※衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。
 

長門湯本温泉 恩湯 / 山口県長門市

長門湯本温泉は、山口県内では最古と言われる温泉地。2020年に温泉街自体をリノベーションし、これは全国的にも大変珍しい事例です。
 
長門湯本温泉では、唯一の外湯(日帰り入浴施設)である「恩湯」。かつては公営の共同浴場でしたが、二つあった共同浴場を統合して、2020年に地元人が運営する民営の立ち寄り湯として生まれ変わりました。
 
長門湯本温泉 恩湯
恩湯の休憩室。温泉街を広く見渡せる開放的空間です。
 
ちなみに恩湯は、先に紹介した「仏生山温泉 天平湯」と同じ建築家が設計。窓ガラスを多用したモダンな建築様式は共通していますが、仏生山温泉と比べると木の優しさを前面に出した素朴な佇まいに特徴があります。
 
長門湯本温泉 恩湯
恩湯の男性浴室。洗い場は別室にあり、良質の温泉を純粋に楽しむ空間です。
 
恩湯と言えば、泉質の良さも大変魅力。二つの共同浴場を統合した影響で湧出量が増加し、湯船の底から温泉が自噴する「足元湧出温泉を実現しました。
※冬期は加温される場合があります。

泉質名は「アルカリ性単純温泉」。温泉に含まれる重曹成分によって肌がツルツルと滑らかに滑る美肌湯です。また、湯船の中で40度弱のぬるめなので、ゆったりとした気分で温泉そのものを楽しめる点も魅力的です。


宗像王丸・天然温泉 やまつばさ / 福岡県宗像市

宗像王丸・天然温泉「やまつばさ」は、福岡県内でも人気の日帰り入浴施設のひとつ。近隣は国道沿いに商業施設が立ち並ぶにぎやかな立地ですが、それとはうって変わった閑静な環境に驚かされます。
※以下、やまつばさと略します。
 
宗像王丸・天然温泉 やまつばさ
玄関から浴室へ向かう渡り廊下。ガラス張りの窓から見る情景は、まるで絵画のよう!
 
とはいえ、やまつばさでは泉質の良さも大きな魅力。2024年に実施された「温泉総選挙2024」では、「美肌部門」で全国第4位、九州では第1位に選ばれました。
 
宗像王丸・天然温泉 やまつばさ
男性大浴場。広く取られた窓から差し込む木漏れ日が美しい浴室です。
 
豊富な湯量の自家源泉を所有し、泉質は「アルカリ性単純温泉」と「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉」、そして天然水の3種類を使用。その全てを源泉かけ流しで提供しています。
※消毒処理はされていますが塩素系薬剤ではないので、特有の消毒臭はしません。
 
特に注目したいのが、九州では大変貴重な硫酸塩泉が楽しめる点。浴後は肌がスベスベ&しっとりと潤い、いずれのお湯でも泉質の良さを実感。綺麗なスパ系施設で泉質も重視されたい方におすすめです。
 

武雄温泉 御船山楽園ホテル らかんの湯 / 佐賀県武雄市

「御船山楽園」は国の登録記念物に登録された15万坪もの広さを持つ大庭園。「御船山楽園ホテル」は御船山楽園の敷地内にある温泉付きホテルです。大きな特色が、アート集団「チームラボ」とコラボし、年間を通じてチームラボ作品を体験できる点でしょう。
 
武雄温泉 御船山楽園ホテル らかんの湯
御船山楽園ホテルのエントランス。チームラボ作品で幻想的に彩られています。
 
ホテル内にある「らかんの湯」は、温泉もさることながらサウナで一躍有名になった人気温浴施設。趣向を凝らした複数のサウナをはじめ、武雄温泉の源泉を冷却した水風呂、御船山の自然と一体となった休憩室など、サウナ―にはたまらない魅力が凝縮されています。
 
武雄温泉 御船山楽園ホテル らかんの湯
男女入替制休憩室。窓が広く取られ、御船山の大自然を満喫しながらととのえる空間です。
 
サウナ施設は大きく分けると、アウフグースに代表されるようなパフォーマンスを取り入れた動的タイプと、黙々とサウナに集中するだけの静的(没入型)タイプがあります。らかんの湯は典型的な後者の没入タイプのサウナ。センスの良い建築と自然の美しさが融合した独自の体験を楽しめ、まさに“ととのう”を実感できる施設です。
 

妙見温泉 妙見石原荘 / 鹿児島県霧島市

妙見温泉は、霧島山南麓の天降川(あもりがわ)に沿って温泉宿が点在する風光明媚な温泉地。森の自然豊かな地ですが、鹿児島空港から車で15分程と至近距離であるせいか、全国各地から観光客や温泉ファンが訪れます。
 
妙見温泉 妙見石原荘
妙見石原荘の表玄関。森と清流に囲まれた長大な宿です。
 
妙見石原荘」は、妙見温泉を代表するラクジュアリー宿。センスの良い佇まいと温泉に定評があり、リピーター客が多い点が特徴です。大人の隠れ家といった雰囲気で、大切な人と訪れたくなる湯宿でしょう。
 
妙見温泉 妙見石原荘
日帰り入浴可能な大浴場「天降殿」。どこかアートな佇まいと抜群の泉質が魅力です。
 
妙見石原荘は温泉抜きに語れません。泉質名は「ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉」。ざっくりと言えば、炭酸成分を含む土類重曹泉です。妙見石原荘では複数の高温の自家源泉を所有していますが、特殊な冷却装置を使って減温し、すべての浴室で源泉100%かけ流しを実現しています。

妙見温泉 妙見石原荘
貸切露天風呂「睦実の湯」。夕暮れ時は幻想的な雰囲気に包まれます。
 
趣向を凝らした浴室が宿の敷地内に点在し、そのどれもが美しく魅力的。例えば、宿泊者も有料の貸切露天風呂である「睦実の湯」は眼前に天降川を望め、特にブルーアワー(夕暮れ時)には周囲のブルーとライトアップのオレンジが交じり合った神秘的な情景を楽しめます。


\東日本版はこちら/
建築美×温泉の融合!目も心も体も満たす至福の温泉施設10選【東日本版】
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権丈 俊宏
権丈 俊宏

良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。

温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員

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