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建築美×温泉の融合!目も心も体も満たす至福の温泉施設10選【東日本版】 東日本

皆さん、温泉を選ぶ際にどのような点を重要視されますか? 筆者の場合は約30年に渡って温泉を巡りつつも本業が建築士であり、建築美を堪能できる温泉施設を数多く巡ってきました。
一口に建築美と言っても、歴史的建造物や著名な建築家が設計したアートな建築物、近年はSNS映えするスタイリッシュな施設も増えてきました。施設によってタイプは様々ですが、建築美×温泉の組み合わせは、訪れる人の目も心も体も癒してくれます。

今回は筆者が過去訪問した中から、建築美×温泉を満喫できる東日本の温泉施設を10施設セレクト。皆さんの温泉選びの参考にしていただけると幸いです!

一度は行ってみたい!定番の名建築の温泉施設5選

箱根湯本温泉 萬翠楼福住 / 神奈川県箱根町

日本屈指の人気温泉地である箱根温泉郷。東京からのアクセスが優れることもあり、年間を通じて多くの観光客で賑わっています。
萬翠楼福住(ばんすいろうふくずみ)」は、箱根の玄関口である箱根湯本温泉にある名旅館。古くは伊藤博文や福沢諭吉など多くの著名人も逗留しました。
 
箱根湯本温泉 萬翠楼福住
萬翠楼福住の玄関
 
2002年には、現役の旅館としては初めて国の重要文化財建造物に指定。伝統的な日本建築の中に西洋の技法や意匠も随所に取り入れ、独自の世界を築き上げています。
 
箱根湯本温泉 萬翠楼福住
天井画の美しさで有名な「萬翠楼15号室」
 
特に有名なのが、客室の「萬翠楼15号室」。天井に富士山や花など48枚が描かれ、独特の優美な世界が表現されています。
※2025年現在、15号客室は歴史的文化財保護の観点から宿泊不可になっています。
 
箱根湯本温泉 萬翠楼福住
男女交代制大浴場「一円の湯」。癖のない上品な美肌湯を満喫できます。
 
萬翠楼福住では自噴する源泉を所有し、豊富な湯量の源泉をかけ流しで提供。泉質名は「アルカリ性単純温泉」。“真綿にくるまれる”とも称され、シルクの様な柔らかさ・肌にまとわりつく様な感触が特徴の絶品湯。クリアで癖の少ない泉質ですが、心まで浄化されるかのような気持ちへと導かれます。


法師温泉 長寿館 / 群馬県みなかみ町

法師温泉「長寿館」は、関東地方を代表する秘湯の一軒宿。与謝野晶子や川端康成など、多くの文豪にも愛された歴史ある温泉です。2006年には、本館・別館・法師乃湯が国の登録文化財に登録されました。
 
法師温泉 長寿館
本館にあるエントランスホール
 
玄関をくぐった途端、法師温泉独自のレトロな世界へ引き込まれます。上の写真中央にある巨大なテーブル状のものは火鉢で、樹齢1300年の栃の木の切り株です。
 
法師温泉 長寿館
特別室「法隆殿」。メゾネットタイプ(客室が二階建て)の贅沢な造りです。
 
客室は本館・別館・薫山荘・法隆殿の四つの建物に分かれており、すべての部屋で法師川が臨めます。

法師温泉 長寿館
混浴の「法師乃湯」。温泉ファン憧れの文化財の名浴室です。
 
法師温泉の浴室は、混浴の「法師乃湯」、男女交代制の「長寿の湯」と「玉城乃湯」(宿泊者専用)があります。特に注目が法師乃湯足元湧出の文化財浴室です。38~39度程のややぬるめですが硫酸塩泉特有の血行促進効果もあり、長く浸かると軽く汗ばむほど体ポカポカに! ゆったりとした至福の湯浴みを満喫できます。
 

渋温泉 歴史の宿 金具屋 / 長野県山ノ内町

 渋温泉は開湯約1300年、信州屈指の古湯のひとつ。宿泊客は9つの共同浴場を無料で巡れる「九湯めぐり」で特に知られています。「歴史の宿 金具屋」は渋温泉を代表する湯宿であり、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなったとも言われています
 
渋温泉 歴史の宿 金具屋
「歴史の宿 金具屋」の外観。木造と鉄筋コンクリート造が合体した複雑な建築です。
 
2003年には「木造四階建 斉月楼」と「金具屋大広間」が国の登録有形文化財に登録されました。
※以下、金具屋と略します。

渋温泉 歴史の宿 金具屋
1階廊下。屋内なのに庇があるのは温泉街を館内に再現したからとのこと
 
館内も伝統的かつ独創的な佇まい。部屋を家屋に廊下を道に見立てて造られ、まるで温泉街の細い路地をそぞろ歩きしているような気分へと導かれます。金具屋では宿泊者限定で「金具屋文化財巡り」というサービスが有るので、建築文化に興味がある方はぜひ参加してみましょう。
 
渋温泉 歴史の宿 金具屋
男女交代制大浴場「浪漫風呂」。洋風ステンドグラスと噴水の様な形状の湯口が特徴的
 
金具屋では、温泉そのものも大変魅力的。3つの大浴場と5つの貸切風呂があり、館内だけで湯めぐりを楽しめます。とりわけ男女交代制大浴場の「浪漫風呂」は、戦後の洋風文化の流行を取り入れた独創的浴室。泉質は鉄分の影響のため緑~黄褐色したにごり湯で、よく温まり肌が潤う極上湯です。
 

会津東山温泉 向瀧 / 福島県会津若松市

会津東山温泉は、会津若松市中心部から車で10分ほどの場所にある風光明媚な古湯。中でも「向瀧」は国の登録文化財第一号の老舗宿。言い方を変えると、宿泊施設のみならず日本の建造物の中で最初に登録有形文化財として登録された大変貴重な建築なのです。また、2024年には庭園も登録記念物(名勝地関係)に登録されました。
 
会津東山温泉 向瀧
威風堂々とした外観。金色で描かれた「向瀧」の看板は風格たっぷり
 
館内は、いにしえの日本にタイムスリップしたかのような雰囲気。敷地内は一部斜面になっており動線が長い建築物ですが、館内は手作業で毎日丁寧に清掃。貴重な木造建築が最上の状態で保存されています。

会津東山温泉 向瀧
2階大広間。格天井と呼ばれる格式高き天井に注目!

見所は沢山ありますが、中でも建築の見事さが分かりやすく表現されているのが「大広間」でしょう。格天井(ごうてんじょう)の「会津桐の柾目一枚板」は、巨大な国産の桐の木が現在生息していないこともあり、現代では再現不可能と言われています。
 
会津東山温泉 向瀧
大浴場「きつね湯」。熱めで身も心も引き締まる極上湯です。
 
また、向瀧では温泉の良さも大変魅力的。泉質名は「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉」。特に大浴場の「きつね湯」は、自然湧出の自家源泉のみを使用。45度前後の熱めに調整され、入った途端はピリッと刺激を感じますが、次第に肌に馴染んでジワジワと体が温まります。心身をシャキッと引き締めたい時にピッタリの湯です。

また、大浴場「さるの湯」と3ヶ所ある貸切家族風呂では若干ぬるめ(41~42度程度)に調整。きつね湯とはまた異なる心地良さを実感。お湯の鮮度や湯使いにこだわる温泉ファンにはたまらない魅力の宿でしょう。


強首温泉 樅峰苑 / 秋田県大仙市

 強首温泉 「樅峰苑」(こわくびおんせん しょうほうえん)は、北東北屈指の名建築宿の一つ。現代の建物は大正時代の1917年に完成したもので、とりわけ入母屋造り※1・千鳥破風※2・唐破風※3が組み合わさった屋根が見ごたえある建築です。
※1.入母屋造りとは、上部が切妻(勾配が2方向)で下部が寄棟(4方向勾配)で構成された屋根形状のこと。
※2.千鳥破風とは、屋根の斜面に設けた小さな三角形の破風(屋根の妻側部分)のこと。装飾や通気のために設置。
※3.唐破風とは、中央部を弓のような曲線で頭部に丸味をつけ、両側が緩やかに低く作られた破風のこと。
 
強首温泉 樅峰苑
強首温泉 樅峰苑の外観。まるで社寺建築のようです。
 
建物は築100年を超えていますが、全く色あせることありません。温泉旅館としては1966年に開業し、1999年には国の登録有形文化財に登録されました。
 
強首温泉 樅峰苑
一枚板の天然秋田杉を使用した床板
 
館内も見所たっぷり。とりわけ1階の廊下・縁側は、最大長さ16.3m一枚通しの天然秋田杉を使用。現代では再現不可能な建築美に圧倒されます。

強首温泉 樅峰苑
日帰り入浴も可能な大浴場。ガツンと濃厚な泉質に注目!
 
また、強首温泉 樅峰苑では泉質の良さも見逃せません。泉質名は「含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉」。鉄分により黄褐色に濁ったお湯は、多量の塩分を含むためにジンジンと体が温まる濃厚湯。また温泉に含まれるヨウ素の香りも特徴的で、五感に響く名湯を言えるでしょう。
 

決して侮れない!個性豊かで美しき温泉施設5選

伊香保温泉 横手館 / 群馬県渋川市

伊香保温泉は、関東屈指の人気温泉地のひとつ。有名な石段を中心に活気ある温泉街を展開しています。「横手館」は石段街から少し小道へ入った場所にある老舗旅館です。

伊香保温泉 横手館
築100年以上。総桧造り四階建ての本館の外観
 
建物に到着した途端、威風堂々とした外観に圧倒されます。伊香保温泉の場合は大多数の宿が鉄筋コンクリート造に改築されましたが、横手館では貴重な木造伝統建築が残されています。2016年には本館東棟・西棟が登録有形文化財に登録されました。
 
伊香保温泉 横手館
男女交代制浴室「月光の湯」。名湯“黄金の湯”を源泉かけ流しで提供
 
横手館では、男女交代制の大浴場と貸切家族風呂があります。いずれも伊香保温泉元来からある“黄金の湯”を使用。泉質名は「カルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉」。複雑な泉質ですが、基本的に石膏成分が主体の硫酸塩泉です。鉄分の影響で緑~赤褐色に濁りますが、浴後は肌が潤う保湿系美肌湯。泉質の良さにも注目すべきでしょう。


桜田温泉 山芳園 / 静岡県松崎町

桜田温泉「山芳園」は伊豆半島西部、のどかな田園地帯の中に佇む一軒宿。開業は1980年と比較的新しいですが、コアな温泉ファンから絶賛される湯宿です。
 
桜田温泉 山芳園
山芳園のエントランス。伝統だけにこだわらない独自の建築が特徴
 
全体的に木の温もりを感じさせる造りが印象的。「木の温もりにふれ、木の香りに癒され、気を養う気持ち」をコンセプトにした宿で、館内に居るだけでホッと癒されます。また2025年現在8室の客室が使用されていますが、すべて異なる造りの客室である点にも注目です。
 
桜田温泉 山芳園
「唐傘天井桧風呂」の男性浴室。丸太を傘状に汲み上げた天井に注目!
 
また山芳園では、男女別浴室の「唐傘天井桧風呂」・女性専用の「室岩風呂」・貸切家族風呂・貸切大露天風呂の計4つの浴室が有り、“地中直結かけ流し”というこの宿独自のシステムで源泉を供給しています。
泉質名は「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」。浴後は肌がしっとり潤い、驚くほどツヤツヤお肌へと導いてくれる保湿系美肌湯である点にも注目すべきでしょう。
 

飯坂温泉 なかむらや旅館 / 福島県福島市

飯坂温泉は鳴子・秋保と共に“奥州三名湯”と呼ばれ、南東北を代表する温泉地のひとつ。「なかむらや旅館」は温泉中心部にある老舗宿で、1998年には国登録有形文化財に登録されました。
 
飯坂温泉 なかむらや旅館
なかむらや旅館の外観。温泉街中心部の好立地にあります。
 
木造三階建ての土蔵造り(外壁を土としっくいで塗り固めた建築様式)は重厚感たっぷり。館内は華美な装飾は少ないものの、現代では再現不可能な建築意匠が随所にちりばめられています。また、文化財の威厳の高さもさることながら、何処かアットホームな佇まいも特徴の建築です。

飯坂温泉 なかむらや旅館
貸切風呂「與右衛門の湯」。共同浴場「鯖古湯」でかつて使われていた切石を再利用
 
浴室は小さ内湯が2か所あり、いずれも貸切風呂として利用可能です。泉質名は「アルカリ性単純温泉」。単純温泉とはいえ芒硝泉(硫酸塩泉)系統の泉質で、浴後はしっとり肌が潤う美肌湯。癖の無いやや熱めの湯は、身も心も浄化されるかの如く癒されます。
 

蔦温泉 / 青森県十和田市

蔦温泉は平安時代から続く一軒宿。十和田樹海と呼ばれるブナの原生林に囲まれ、春の新緑や秋の紅葉の美しさで知られています。以前は鄙びた佇まいが特徴でしたが、数年前に経営者が変わり、ラグジュアリーな様相も新たに加わっています。
 
蔦温泉
蔦温泉の本館玄関。歴史を風格を感じさせる重厚な佇まいです。
 
最大の特徴が温泉そのものでしょう。「泉響の湯」と呼ばれる男女別の内湯、「久安の湯」と呼ばれる男女交代制の内湯、そして貸切風呂があり、そのすべてが浴槽の底から源泉が自噴するお足元湧出温泉です。
※温度調整のために湧水で若干加水する場合があります。
 
蔦温泉
男女交代制の「久安の湯」。筆者自身、温泉にハマるきっかけになった名浴室です。
 
いずれの浴室も木の温もりたっぷりで落ち着く佇まい。泉質名は「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉」。無色透明のまったく癖の無いお湯ですが、ちょっぴり熱めの湯は心も体も浄化されるような不思議な感覚。露天風呂はありませんが、心の中でブナ林が見えてくるような気分へと導かれます。
 

森のスパリゾート 北海道ホテル / 北海道帯広市

森のスパリゾート 北海道ホテル」は、1899年に開業した道内屈指の名門ホテルの一つ。帯広市中心部にありながらも小鳥さえずる森に囲まれ、非日常感たっぷりのリゾートステイを満喫できます。
※以下、北海道ホテルと略します。
 
森のスパリゾート 北海道ホテル
森側から見たホテル外観。積み上げられた地産のレンガに風格を感じさせます。
 
十勝産の粘土を使用したレンガを積み上げた外観は重厚感たっぷり。色違いのレンガ模様は、アイヌの伝統的な模様が表現されています。
 
森のスパリゾート 北海道ホテル
共有スペース。コーヒーでも頂きながらゆっくりとくつろぎたい空間です。
 
共有スペース(ロビー・ラウンジ)も地産のレンガを用いながらも、広々した吹抜に窓が大きく取られた開放的な空間。椅子に座ると外の木々が見渡せ、爽快な気分へと導かれます。

また、客室はラクジュアリーから低価格のシングルルームまで幅広く揃い、目的に応じて使い分けできる点も嬉しい限りです。
 
森のスパリゾート 北海道ホテル
女性用大浴場。教科書の様な正統派のモール泉です。
 
北海道ホテルでは、温泉の良さも見逃せません。帯広市一帯は古くからモール泉のメッカとして有名な地。ここではまるで紅茶の様な美しい色合いのモール泉を源泉かけ流しで提供。泉質特有のヒノキの様な清々しい香りとツルツルとした柔らかな肌触りに癒されます。

\西日本版はこちら/
建築美×温泉の融合!目も心も体も満たす至福の温泉施設10選【西日本版】
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権丈 俊宏
権丈 俊宏

良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。

温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員

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