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超絶鄙び温泉10選!体も心も癒される!その魅力も徹底解説【全国版】 全国

皆さん、温泉施設を選ぶ際、どのような点を重視しますか? 筆者は本業が建築士ということもあり、建物は古くとも大切に使われ続け、鄙びた(ひなびた)温泉施設を特に好みます。鄙びた温泉には、都会の喧騒とは無縁の静けさや癒しがあり、心身ともにリフレッシュできます。



今回は「超絶鄙び温泉」と題し、筆者が過去めぐった日本全国各地の温泉施設の中から、泉質にこだわりつつも鄙びた温泉施設を10施設厳選。ぜひ湯めぐりの参考にして下さいね!

鄙びた温泉の魅力とは

鄙びた温泉には、設備充実の現代的な温泉施設にはない味わいがあります。
具体的には、以下のような特徴があります。
 
1. 癒しの雰囲気
鄙びた温泉には、古くて趣のある建物・手作り感ある浴室など、現代的な温泉とは一線を画し、ゆったりとした癒しの雰囲気があるケースが多いです。
峰温泉「花舞 竹の庄」
峰温泉「花舞 竹の庄」(静岡県河津町)の二階浴室。年月を重ねたものにしかない特有のオーラを感じさせます。
 
2. その地ならではの歴史や文化
鄙びた温泉は古くからある湯治場や地域に根付いた共同浴場にあることが多く、脈々と引き継がれた歴史や文化が感じられます。
 恐山「花染の湯」
恐山「花染の湯」(青森県むつ市)。日本三大霊場として知られる地ですが、境内に4つの湯小屋があります。
 
3. 静寂とリフレッシュ
鄙びた温泉は都会の喧騒とは無縁の自然豊かな場所にあることが多く、転地効果※が期待できます。
※転地効果とは、普段と環境が変わることで五感が刺激され、精神的にも肉体的にも良い影響を与えること。
 霧積温泉「金湯館」
霧積温泉「金湯館」(群馬県安中市)。公共交通機関や自家用車では行くことができない秘境の宿です。
 
4. 泉質の良い温泉に出会える確率が高い
鄙びた温泉は近代的な設備が無い分、源泉をそのままかけ流しているケースが多く、泉質の良い温泉に出会える確率が非常に高いです。
 
中房温泉
中房温泉(長野県安曇野市)の飲泉場。入浴のみならず、飲泉や天然蒸し湯なども体験できる秘湯の一軒宿です。
 
以下、筆者が日本全国を回った中から特に鄙びており、かつ泉質も優れていると感じられた温泉を10施設厳選してご紹介します。

東日本の「超絶鄙び温泉」5選

盤石温泉 盤石山荘 / 北海道八雲町

盤石(ばんじゃく)温泉「盤石山荘」は、道南地方の山間にポツンと佇む温泉施設。山荘と名乗っていますが宿泊は不可。入浴のみ一般開放されています。
 
盤石温泉「盤石山荘」
盤石温泉「盤石山荘」の浴室
 
浴室はこじんまりとした浴槽が一つあるだけですが、手作り感たっぷりで心休まります。泉質名は不明ですが、食塩泉と重炭酸土類泉の様相を感じさせるもの。温泉通が“アブラ臭”と呼ぶ独特の湯の香りが感じられ、心身ともに癒されます。オーナーの好意で開放された温泉なので、必ずマナーを守って入浴を楽しんで下さい。
 

温湯温泉 飯塚旅館 / 青森県黒石市

温湯(ぬるゆ)温泉は、北東北を代表する湯治場のひとつ。歓楽色はありませんが令和の現代においても古風な旅館が立ち並び、レトロな雰囲気に包まれる温泉地です。ちなみに、この地では旅館のことを“客舎”とも呼び、古の時代から宿泊客は共同浴場へと足を運び湯治をしていました。
 
飯塚旅館の外観
飯塚旅館の外観
 
中でも「飯塚旅館」は、この地を代表する旅館(客舎)。木造三階建の威風堂々とした建物と玄関脇の津軽伝統こけしが目を引きます。また、泉質の良さも魅力。泉質名は「ナトリウム-塩化物泉」。ほのかにアブラ臭が漂い、よく温まる保温・保湿系の良泉です。
 

夏油温泉 元湯夏油 / 岩手県北上市

夏油(げとう)温泉は、一年の約半分が雪に閉ざされる山深き地。栗駒国定公園内の自然豊かな温泉地で、春の新緑や秋の紅葉の美しさで知られています。中でも「元湯 夏油」は、夏油温泉を代表する秘湯の宿です。
 
夏油温泉の湯治部外観
夏油温泉の湯治部外観
 
「元湯 夏油」は旅館部と湯治部に分かれており、とりわけ湯治部は鄙び風情たっぷり。また混浴露天風呂めぐりでも有名な温泉で、野趣溢れる湯浴みを楽しめます。食塩泉や石膏泉など泉質の異なる複数の源泉を所有し、お湯にこだわる温泉ファンにもおすすめです。
 

瀬見温泉 喜至楼 / 山形県最上町

瀬見温泉(山形県最上町)は、源義経が発見したと言い伝えられる南東北屈指の古湯のひとつ。清流に沿って温泉宿がひっそりと佇み、どこか懐かしさを感じさせる温泉地です。中でも「喜至楼」は、明治~昭和の雰囲気を現代にも残す鄙び宿としてマニアにはよく知られた存在です。
 
喜至楼の外観
喜至楼の外観。雪景色も実に似合うレトロ宿です。
 
泉質名は「ナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩温泉」。比較的癖の無い泉質ですが、よく温まり肌が潤う良泉。付近には大正ロマンな温泉街で有名な銀山温泉もありますが、レトロ風情では甲乙つけがたい存在。混雑を避けて静かに温泉を楽しみたい方には特におすすめです。
 

朝日湯 / 神奈川県横浜市

鄙び温泉は、実は首都圏にもあります。関東平野一帯は通称“黒湯”と呼ばれるコーヒーのような色をした温泉が数多く湧出し、古くから地元住民に愛される銭湯として多く人々に利用され続けてきました。
 
朝日湯の外観
朝日湯の外観。社寺仏閣を想起させる佇まいが見事
 
朝日湯は、昭和の佇まいがそのまま残る黒湯銭湯。古い佇まいが残る銭湯は関東地方でも年々減少しており、令和の現代においては大変貴重な存在です。温泉は透明度8㎝ほどの黒湯を加温・循環して利用していますが、非加熱の源泉浴槽(黒湯水風呂)が有る点も見逃せません。
 

西日本の「超絶鄙び温泉」5選

ホテルブルーハーバー(さごんの湯) / 和歌山県那智勝浦町

ホテルブルーハーバー」は、紀伊半島南端近くにあるビジネスホテル。ホテル自体には温泉は無いのですが、車で4~5分ほど走った場所にホテルが所有する「さごんの湯」と呼ばれる湯小屋があります。宿泊者のみ入浴可能であり、全国各地から温泉マニアが、さごんの湯が目的で訪れます。
 
さごんの湯
さごんの湯。簡素な佇まいが温泉マニアの心にグッと刺さります。
 
浴室の中へ入ってみると、まるで地元専用共同浴場の様な佇まい。超絶鄙び温泉と言うにふさわしい浴室風情に圧倒されます。また、成分表はありませんが、単純硫黄温泉(硫黄型)系統の泉質と推測。甘く優しい湯の香りと柔らかな肌触りに癒され、泉質も絶品です。
 

東郷温泉 寿湯 / 鳥取県湯梨浜町

東郷温泉は東郷湖の南岸にあり、昭和初期には鳥取県内で第二の集客力を持つ温泉地でした。「寿湯」は、山陰本線 JR松崎駅前の住宅街にひっそりと佇む共同浴場。住宅間の激細の通路を抜けないと行けないため、“路地裏の隠し湯”とか“究極の秘湯”などとマニアから絶賛される存在です。
 
寿湯の内湯
寿湯の内湯。鄙び系共同湯の代表格の一つでしょう。
 
男女別の浴室は小さな湯船が一つあるだけ。年季の入ったタイルの湯船など、長い年月の間、愛され続けてきた浴室です。泉質名は「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉」。食塩と硫酸塩が拮抗したお湯で、とにかくよく温まる保温&保湿系のお湯。泉質の良さも見逃せないポイントです。
 


別府温泉 市の原温泉 / 大分県別府市

日本最大の温泉地と言われる別府温泉郷。公衆浴場の数が温泉郷全体で100ヶ所をゆうに超え、温泉が地元住民の生活の中に深く根付いている点が大きな特徴です。中でも「市の原温泉」は別府温泉の鄙び系共同浴場の代表格の一つ。無人施設のため、入浴料金は道路をはさんで目の前にある商店で支払います。
 
市の原温泉の外観
市の原温泉の外観。桜の時期は特に美しく、おすすめの季節です。
 
泉質名は「ナトリウム-塩化物泉」。食塩のみならず重炭酸土類の要素も僅かに感じられる良泉。浴室風情の良さも相まって、ゆったりとした気分で入浴を楽しめます。
 

川内高城温泉 双葉旅館 / 鹿児島県薩摩川内市

川内高城(せんだいたき)温泉は、かつては西郷隆盛も浸かったとされる鹿児島屈指の古湯の一つ。古い旅館や商店が細い路地の両脇に佇み、昭和風情がほぼそのまま残った温泉街が印象に残ります。中でも「双葉旅館」は、とりわけ鄙びた温泉旅館の一つです。
 
双葉旅館の内湯
双葉旅館の内湯。昭和風情たっぷりの浴室風情は、まさにレトロそのもの
 
泉質名は「アルカリ性単純硫黄泉」。硫黄由来のゆで卵の様な香りとトロトロした滑らかな肌触りが秀逸。年代を重ねたものにしかない鄙び風情と泉質双方に優れた良泉です。


吉松温泉郷 つつはの湯 / 鹿児島県湧水町

鹿児島県北、宮崎県の県境にある吉松温泉郷は、モール泉のメッカとして知られる地。温泉街は持たないものの街中に公衆浴場や宿泊施設が点在しています。「つつはの湯」は、鄙び系公衆浴場として、コアな温泉ファンに熱烈な支持があります。
 
つつはの湯の浴室
つつはの湯の浴室。建物は古いものの、大切に使われ続けています。
 
男女別の浴室は、小さな湯船が一つあるのみ。年季が入った浴槽など、どこか懐かしさと愛おしささえ感じさせる浴室風情です。泉質名は「単純温泉」。いわゆるモール泉では無く、ほぼ無色透明無味無臭の清澄なお湯。ツルツルとした柔らかな肌触りに癒されます。
 

鄙びた温泉は可能な限り早く訪問しよう!

以上、「超絶鄙び温泉」を10施設厳選してご紹介させて頂きました。

鄙びた温泉は、利用者の減少・後継者不足・自然災害など様々な理由で、年々減少傾向にあります。正確な統計を取ったわけではありませんが、特にコロナ禍以降はその傾向が強いように感じられます。
以下、ほんの一例ですが、閉館した「超絶鄙び温泉」を幾つかご紹介します。
 
和琴温泉共同浴場(北海道弟子屈町)
和琴温泉共同浴場(北海道弟子屈町)。2024年老朽化のため閉鎖、屈斜路湖畔に佇む足元湧出温泉でした。

鶴田温泉(青森県鶴田町)
鶴田温泉(青森県鶴田町)。2019年閉館。男女浴室にまたがる巨大壁画が見事でした。

大社湯(鳥取県倉吉市)
大社湯(鳥取県倉吉市)。2022年閉館。国登録有形文化財の公衆浴場でした。

山鹿温泉「桜町温泉」
山鹿温泉「桜町温泉」(熊本県山鹿市)。2019年閉館。地元人に愛される共同浴場でした。

人吉温泉「新温泉」
人吉温泉「新温泉」(熊本県人吉市)。2020年の水害により閉館。鄙び系共同浴場の代表格でした。
 
この様に、鄙びた温泉は維持管理だけでも莫大な手間がかかります。いつまで存続できるかが不明な施設も多いのが現状です。鄙びた温泉にご興味がある方はできるだけ早く、優先して訪問されることをおすすめします。
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この記事を書いたライター
権丈 俊宏
権丈 俊宏

良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。

温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員

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