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作成日:2022年06月28日

文化財とは?カンタン解説!「文化財」温泉宿もご紹介【全国版】 全国

日本は、世界屈指の温泉大国。日本の温泉は古来から、様々な風土や伝統と共に時を歩んできました。中には“文化財”と呼ばれる貴重な文化遺産の温泉施設もあります。

文化財というと大変難解なイメージですが、決してそんなことはありません。今回は“文化財”の要点をかいつまんでカンタン解説。さらには筆者自ら過去訪問した中から、日本全国にある国登録の文化財温泉宿を10ヶ所ご紹介。比較的敷居が高くなく、すべて日帰り入浴可能な宿を厳選しました!

文化財とは?

文化財とは、人間活動によって生み出されたものの中から、歴史・芸術・学術・鑑賞等の点で特に価値の高いものの総称です。日本国の法律(文化財保護法)では、有形文化財・無形文化財・民俗文化財・記念物・文化的景観・伝統的建造物群の6種類が文化財に該当します。

文化財と言えば、お寺・お城・絵画などのイメージが強いですが、伝統行事や地域の風土によって形成された景観や街並みも文化財のカテゴリーです。つまり文化財は、「長い歴史の中で今日まで守り伝えられてきた文化的な財産」を意味しています。

国(文部科学大臣)は貴重な文化財を保護する目的で、重要なものを指定・認定・選定・登録・選択ができます。またそれらは、国宝・重要文化財・登録文化財・史跡・名勝・天然記念物、など複雑に分類されます。
※別に、地方公共団体が定める文化財もあります。

温泉関連の文化財に目を向けると、宿や入浴施設ばかりが文化財ではありません。一例を挙げると、温泉津(島根県:上写真)の重要伝統的建造物群保存地区、玉川温泉(秋田県)北投石の特別天然記念物、別府(大分県)の湯けむりの重要文化的景観、など多岐にわたります。

温泉施設としては、道後温泉の道後温泉本館(愛媛県:上写真)・箱根湯本温泉の萬翠楼福住(神奈川県)・上諏訪温泉の片倉館(長野県)などが国の重要文化財として指定。ちなみに、これらの3施設は現役の温泉施設として現在も営業し、実際に入浴もできます。
※道後温泉本館は文化財的価値を維持するために2022年現在、保存修理工事中です(営業は継続中)。

以下、日帰り入浴可能な文化財(国の登録有形文化財)の温泉宿を10ヶ所ご紹介します!

東日本の「文化財」温泉宿

強首温泉 樅峰苑 / 秋田県

強首温泉 樅峰苑(こわくびおんせん しょうほうえん)は、東北地方でも屈指の名建築を誇る温泉宿の一つ。現在の建物は1917年竣工で築100年を経過していますが、入念な耐震技術を取り込み、令和の現代においても色あせることなく営業し続けています。

寺社仏閣の様な入母屋造りのどっしりとした外観は、千鳥破風や唐破風といった装飾性の高い屋根形状も組み合わせた立派なもの。館内では、長さ16.3mの天然秋田杉の一枚板を使った廊下は特に必見。天然木材の不足もあり、現代では再現不可能な建築美を堪能できます。

また、温泉が優れている点も見逃せません。泉質名は「含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉」。高張性と呼ばれる濃厚な食塩泉を源泉かけ流しで楽しめます。

住所:秋田県大仙市強首字強首268
電話番号:0187-77-2116
日帰り入浴時間:11時~17時
アクセス:
【車】秋田自動車道 協和ICから車で約10分
【電車】JR奥羽本線 峰吉川駅からタクシーで約6分
※宿泊客は峰吉川駅から送迎有り
緑に囲まれた強首温泉の宿。登録有形文化財にして、日本秘湯を守る会会員の宿でもあります。
きくりんさんの口コミ

乳頭温泉郷 鶴の湯温泉 / 秋田県

乳頭温泉郷にある鶴の湯温泉は、秘湯ブームの先駆けとなった定番中の定番の名湯。2010年には、「本陣」(上写真の左の建物)が国の登録有形文化財に登録されました。

本陣は寄棟の茅葺屋根が大きな特徴で、5室の客室があります。本陣は鶴の湯温泉の中でも格安に宿泊できることもあり、予約を取るのは至難の業。しかし直前キャンセルが出る場合も有り、宿泊されたい方は小まめにチェックしてみましょう。

鶴の湯では、泉質の良さも特筆すべき点。綺麗に白濁したミルキーな硫黄泉で、しかも混浴露天風呂と女性専用露天風呂は足元湧出温泉。日帰り入浴も可能であり、温泉ファンなら一度は体験してみたい憧れの名湯と言えるでしょう。

住所:秋田県仙北市田沢湖田沢字先達沢国有林50
電話番号:0187-46-2139
日帰り入浴時間:10時~15時30分(最終受付15時)
アクセス:
【車】東北自動車道 盛岡ICから車で約1時間20分
【バス】JR田沢湖駅から羽後交通バス 乳頭線に乗車(乗車時間約35分)。鶴の湯温泉入口バス停下車後、徒歩40分。
※宿泊客は送迎可能。
入ってみたいと思っていた足元自噴の露天風呂は奥の方で多くブクブク噴出していました。湯色と同じく優しい感じのお湯でした。
温泉そだちさんの口コミ

岩瀬湯本温泉 源泉亭湯口屋旅館 / 福島県

岩瀬湯本温泉は、県南部の山中にひっそりと佇む湯治場風情たっぷりな温泉地。「源泉亭湯口屋旅館」は温泉地のシンボルともいえる湯宿です。

2017年には、「本館」が国の登録有形文化財に登録。寄棟の茅葺屋根が威風堂々として印象的な建物です。館内も、年月とともに黒く焼けた木柱や梁に風格を感じさせます。

泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉」。綺麗に透き通ったお湯は、源泉100%かけ流しで利用。ほんのり硫黄と金気を感じる湯は大変よく温まり、長時間温もりが持続する良泉です。

住所:福島県岩瀬郡天栄村大字湯本字居平14
電話番号:0248-84-2001
日帰り入浴時間:日によって異なる(要問合せ)
アクセス:
【車】東北自動車道 白河ICから車で約40分
【バス】JR湯野上温泉駅からタクシーで約15分
重厚な茅葺き屋根のノスタルジックな老舗旅館。この地を愛した漫画家・つげ義春が泊まった宿としても知られています。
きくりんさんの口コミ

法師温泉 長寿館 / 群馬県

「法師温泉 長寿館」は、関東地方を代表する秘湯。新潟県境近くの山深き一軒宿ですが、公共交通機関のみで首都圏からアクセス可能。年間を通じて超人気の名湯です。

2006年には、「本館」・「別館」・「法師乃湯」が国の登録有形文化財に登録。玄関をくぐると、木造建築ながらも大きな吹き抜け空間に圧倒されます。とりわけ本館は古い建物ながらも丁寧に磨き抜かれ、レトロ風情満点です。

また、「法師乃湯」も見事な建築で、天井は太々とした梁が豪快にむき出し。またアーチがかった窓が大正ロマン風で、窓ガラスから差し込む柔らかな光に神々しささえ感じられます。また法師乃湯は足元湧出温泉であり、最高レベルの硫酸塩泉と浴室風情を同時に堪能できます。

住所:群馬県利根郡みなかみ町永井650
電話番号:0278-66-0005
日帰り入浴時間:11時~14時(13時30分最終受付)
アクセス:
【車】関越自動車道 月夜野ICから約30分
【電車】JR上毛高原駅から猿ヶ京行バスに乗車(乗車時間約40分)。猿ヶ京バス停で乗り換え、法師温泉行バスに乗車(乗車時間約15分)。法師温泉バス停下車後、徒歩約1分。
言わずもがな、素晴らしいです。4つある湯船は、窓に向かって左奥が最もぬるく、手前の二つが適温となっておりました。
ぐまニストさんの口コミ

四万温泉 積善館 / 群馬県

関東屈指の名温泉地の一つである四万温泉(しまおんせん)。積善館は、アニメ「千と千尋の神隠し」のモデルとなったとも噂され、この地を代表する名旅館です。

その歴史は300年を超えるとも言われ、1997年には「山荘」が国の登録有形文化財に登録されました。「山荘」は、赤い橋を渡ってすぐある「本館」の背後にある建物。中央部を中心に左右対称の入母屋の屋根が特徴です。また「本館」も群馬県の重要文化財に指定されています。

また積善館では、温泉も大変魅力的。特に「元禄の湯」は、5つの小さな湯船がシンメトリックに配置された浴室が印象的で、アーチ形の窓枠はレトロ風情たっぷり。“日本三大胃腸病の名湯”といわれる四万温泉のお湯を源泉かけ流しで、しかも極上のレトロ空間の中で存分に満喫できます。

住所:群馬県吾妻郡中之条町四万甲4236
電話番号:0279-64-2101
日帰り入浴時間:11時~14時(13時30分最終受付)
アクセス:
【車】関越自動車道 渋川伊香保ICから約50分
【電車】JR中之条駅駅より四万温泉行きバスに乗車。終点下車(約40分)
雰囲気、泉質全てにおいて文句無し!
ターキーさんの口コミ

伊東温泉 ケイズハウス伊東温泉 / 静岡県

伊東温泉は、東京の奥座敷ともいえる伊豆半島屈指の大温泉地。「ケイズハウス伊東温泉」は国の登録有形文化財だった高級旅館を引き継ぎ、リーズナブルに利用できる宿へと変貌しました。

隣には伊東市の文化財である「東海館」があり、2つ文化財が並ぶ姿は実に壮観。唐破風の玄関や望楼の付いた屋根など、見所の多い文化財建築です。

温泉は自家源泉を所有し、源泉100%かけ流しで利用。泉質は「カルシウム・ナトリウム-塩化物泉」。食塩系のお湯ですがベタベタせずサラッとしたお湯で、サッパリ汗を流せ、爽快感さえ感じる良泉といえるでしょう。

住所:静岡県伊東市東松原町12-13
電話番号:
日帰り入浴時間:15~20時30分。※午前中の日帰り入浴は要問合せ
アクセス:0557-35-9444
【車】東名高速道路 沼津ICから車で約60分
【電車】JR伊東駅から徒歩約8分
築100年を超えて引き継がれる建物は、国の登録有形文化財にも指定されているのだとか。
きくりんさんの口コミ

西日本の「文化財」温泉宿

三朝温泉 旅館大橋 / 鳥取県

世界屈指のラドン含有量を誇り、放射能泉の名湯として有名な三朝温泉(みささ温泉)。旅館大橋は、この地を代表する名旅館です。三徳川に沿って木造3階建ての建物が連なる光景は、実に壮観!

旅館大橋は、1997年に国の登録有形文化財に登録(本館・離れ・西離れ・大広間・太鼓橋)。宮大工が年月をかけて造りあげた館内の繊細な意匠は、建築ファンならずとも必見です。まさに、“ザ・文化財の宿!”とでも言いたくなるような優美な世界が広がっています。

また旅館大橋では、温泉の素晴らしさも特筆すべき点。自家源泉を5本所有し、「巌窟の湯」と呼ばれる浴室では、3つの湯船の底から源泉が自然湧出しています。浸かり続けると、体が火照ったように猛烈に温まる泉質。見た目では想像できないくらい効能が強いお湯なので、やや短めの入浴を心掛けましょう。


住所:鳥取県東伯郡三朝町三朝302-1
電話番号:0858-43-0211
日帰り入浴時間:15時~20時30分
※日帰り入浴時間帯は、足元湧出温泉は女性風呂です。宿泊すれば男性も入浴できます。
アクセス:
【車】中国自動車道 院庄ICから車で約1時間10分
【電車】JR倉吉駅から日ノ丸バス 上井・三朝線乗車(乗車時間約20分)。三朝温泉観光商工センター前バス停下車後、徒歩約4分
岩窟の湯は上の湯、中の湯、下の湯とあり、いずれも岩盤のそこから自噴している。
放浪人さんの口コミ

皆生温泉 東光園 / 鳥取県

皆生温泉(かいけおんせん)は、日本海に面した山陰地方屈指の温泉地のひとつ。東光園は、この地を代表する名旅館です。2017年には国の登録有形文化財に登録。温泉宿泊施設の文化財は圧倒的に木造建築が多いですが、東光園では鉄骨鉄筋コンクリート造7階建ての巨大な建築物です。

その最大の特徴は、“組み柱”と呼ばれる剛強な6本の主柱が7階の大梁を支え、5~6階の客室部を吊る構造となっている点。これは、世界的にも最初で最後の建築様式(二段ピロティー形式)と言われています。

また、東光園では温泉にも注目すべき。皆生温泉の泉質は一般的に塩化土類食塩泉ですが、東光園では独自源泉の弱アルカリ泉を所有。硫酸塩泉系統の美肌湯で、浴後はしっとりモチモチ肌へと導いてくれます。

住所:鳥取県米子市皆生温泉3-17-7
電話番号:0859-34-1111
日帰り入浴時間:11時~20時30分 ※毎週火・水曜日は15時~入浴可
アクセス:
【車】米子自動車道 米子ICから車で約10分
【電車】JR米子駅から皆生温泉観光センター行バスに乗車(約20分)。皆生温泉観光センターバス停下車後、徒歩約5分
菊竹清訓による出雲大社をイメージした二段ピロティー形式(フジテレビみたい、で済ませるのはちょっと)、印象的な展望室がドーンと鎮座し、それを庭園が囲っている感じ。
たこさんの口コミ

小藪温泉 / 愛媛県

小藪温泉(おやぶおんせん)は、肱川の支流である小薮川に沿って2kmほどさかのぼった場所にある一軒宿。山の斜面を巧みに利用した3階建ての木造建築で、2000年に国の登録有形文化財に登録されました。

きらびやかな文化財建築ではなく、どちらかと言えば古くからある湯治宿といったイメージ。しかし欄間や障子の繊細な意匠など、随所に文化財らしさを感じさせます。建物は築100年を超えますが、修繕を繰り返しながら現代でも大切に使われ続けています。

温泉は男女別の内湯が各1ヶ所あるのみ。16度の冷鉱泉を加熱して利用しています。ツルツルした柔らかな肌触りが特徴で、無料の休憩所である大広間(上写真)を利用しながら、ノンビリと寛ぐのがおすすめです。

住所:愛媛県大洲市肱川町宇和川1433
電話番号:0893-34-2007
日帰り入浴時間:10~19時
アクセス:
【車】松山自動車道 内子五十崎ICから車で約20分
【電車】JR伊予大洲駅から宇和島バス鹿の川行きで50分、バス停鹿野川大橋下車、徒歩30分
有形文化財だけあり、建築的にも大きな魅力があり、おばあちゃんの家に帰ってきたような不思議な感覚に襲われました。
たこさんの口コミ

人吉温泉 人吉旅館 / 熊本県

人吉温泉は熊本県最南端に位置し、“九州の小京都”などと呼ばれる昭和レトロな温泉地。人吉旅館は2020年の豪雨災害の影響で休業中でしたが、2022年5月に全館グランドオープンしました。

また2013年には国の登録有形文化財に登録(玄関棟・東棟・西棟・中央棟)。入母屋造り瓦葺きの木造2階建で、いかにも純和風温泉旅館といった佇まい。館内は建設当初からのものと思われる木柱や床材が露出していますが、丁寧に磨き込まれて大切に使われてきたことが伝わってきます。

温泉は、若干加温があるものの源泉かけ流しで利用。モールという太古の植物由来の成分を若干含み、ヒノキの様な清々しい香りとツルツルする柔らかな肌触りに癒されます。

住所:熊本県人吉市上青井町160
電話番号:0966-22-3141
日帰り入浴時間:8時~20時 ※宿泊者優先のため事前電話確認をおすすめします。
アクセス:
【車】九州自動車道 人吉ICから車で約10分
【電車】JR人吉駅から徒歩約7分
おもてなしが行きとどいていた老舗旅館。歴史ある建物の床はピカピカ、
愛裸舞硫黄泉さんの口コミ
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この記事を書いたライター
権丈 俊宏
権丈 俊宏

良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。

温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員

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