河津「峰温泉 花舞竹の庄」日帰りレビュー!温泉ファン憧れの大正ロマン漂う浴室とは【伊豆】 静岡

峰温泉(静岡県河津町)は、河津川沿いに点在する小さな温泉地。早咲き桜である「河津桜」で有名な地ですが、泉質の良さも見逃せないポイントでしょう。中でも「花舞竹の庄」は、峰温泉を代表する温泉旅館のひとつ。大正ロマン漂う浴室風情が秀逸で、一度は行ってみたい!温泉ファン憧れの存在となっています。
今回は筆者自ら日帰り入浴し、自慢の温泉を中心に詳細レビューします!
今回は筆者自ら日帰り入浴し、自慢の温泉を中心に詳細レビューします!
峰温泉 花舞竹の庄とは
「峰温泉 花舞竹の庄」は1933年に創業し、この地を代表する老舗旅館。かつては二食付きの高級旅館でしたが、現在は素泊まり及び日帰り入浴のみ利用できます。峰温泉では日帰り入浴できる施設が限られており、そういった意味でも貴重な存在と言えるでしょう。

花舞竹の庄の外観。重厚な入母屋造りの屋根が印象的です。
私事で恐縮ですが、筆者自身2015年に宿泊した経験があり、ちょうど10年ぶりの訪問。近年は大工職人の慢性的不足や資材高騰の影響が有り、当時から建物の維持が大変な状況。しかし、10年前と全く変わらない状態で貴重な建築遺産が現存していました。

玄関
玄関をくぐった途端、赤い絨毯(じゅうたん)や一枚板の木がはめられた格天井(ごうてんじょう)が目を引き、独自の世界へ引き込まれます。筆者訪問時は河津桜が満開の時期であり、玄関正面には河津桜の花が飾られていました。

ロビー
ロビーは、いかにも大正ロマン的な洋の要素を自由に取り入れた佇まい。重厚さの中にも遊び心が感じられる空間で、ソファーに座ってノスタルジックなひとときを過ごしたくなります。
※以下、「花舞竹の庄」と略します。
風格溢れる圧巻の浴室!その全貌をご紹介
花舞竹の庄では、二つの浴室があります。一つは木造旅館では珍しい2階に設置された内湯(男女交代制)、もう一つは露天風呂付きの大浴場です。
入浴料金は1人1時間1,000円。家族経営の宿であり、極力事前に日帰り可能か電話で確認した方が良いでしょう。筆者は行く日時を宿に事前に報告して、満を持して訪問しました。
2階浴室(大正桧風呂)
筆者の特にお気に入りは、2階浴室(大正桧風呂)。かつては男女別で二つの浴室が有りましたが、そのうちの一つは老朽化のため、現在は使用されていません。

2階浴室の全景
浴室に入った途端、独自の世界へと引き込まれます。年季の入ったヒノキの浴槽、枝を落としただけのゴツゴツした荒々しい木の柱、“組子”と呼ばれる釘を使わないで木を組み合わせた仕切り壁の意匠、アクセントとして貼られたモザイクタイル、など大正ロマンの雰囲気たっぷりの佇まいは実に圧巻!

アクセント的に貼られた赤いタイルや組子細工が実にチャーミング

源泉が滔々とかけ流されています。
筆者自身、日本全国の名建築の浴室を長年巡り続けていますが、これほどの歴史と風格を感じさせる浴室には滅多に出会えません。長い年月を経たものにしかない重厚さを感じつつ、どこかノスタルジックな雰囲気さえも感じ、温泉ファン憧れの名浴室のひとつと言っても決して過言ではないでしょう。

どの角度から見ても絵になる浴室です。
ちなみに2階浴室は、基本的に15時~23時が男湯。23時~翌11時が女性浴室になります。しかし他に入浴客がいない場合、その限りではありません。2階浴室に入浴可能かどうかは、事前に電話確認するのがベターでしょう。
1階浴室(ヒスイ露天風呂・伊豆石風呂)
また1階には、露天風呂(ヒスイ露天風呂)と内湯(伊豆石風呂)という大浴場が有ります。ちなみに、この大浴場は貸切風呂としても利用可能。貸切利用したい場合は宿に事前確認しましょう。

露天風呂
露天風呂は、多角形の形状をした古代桧の屋根が贅沢な造り。2階浴室にも負けず劣らずの浴室風情であり、優雅な湯浴みを満喫できます。また、外気にさらされるせいか湯が適度にこなれ、より柔らかで優しいお湯の印象。2階浴室とは異なる癒しを感じさせます。

内湯の大浴槽

内湯の小浴槽
内湯は二つの湯船(浴槽)が有ります。筆者入浴時には、大きい湯船は43~44度程の熱め、小さい湯船は体温強(37度前後)に調整。交互浴を楽しめ、体が十分温まったら露天風呂で外気浴するもの良いでしょう。
花舞竹の庄の泉質解説
花舞竹の庄では、宿の隣にある「峰温泉大噴湯」(源泉名:峰温泉第2号)の源泉を使用。峰温泉大噴湯は、かつては「東洋一の大噴泉」と呼ばれた自噴泉。現代も絶えず約100度の源泉が噴出し続け、見学もできます。
泉質名は、「ナトリウム-塩化物温泉」(食塩泉)。とはいえ単純な塩湯では無く、硫酸塩泉(芒硝泉)の特徴も併せ持つ繊細な泉質です。温泉通が“芒硝臭”と呼ぶ淡い湯の香が、温泉情緒を引き立ててくれます。

2階大浴場
無色透明のお湯で一見温泉らしさを感じにくいかもしれませんが、実際に湯に浸かると、肌に温泉熱と成分が浸透するかのような不思議な感覚。次第に体の芯までポカポカと温まります。浴後は肌がしっとりと保湿。心身ともに心地良い余韻がいつまでも残り続けます。
峰温泉 花舞竹の庄は、宿泊&早めの訪問がおすすめ
この様に風情・温泉ともに優れた「花舞竹の庄」ですが、筆者的には日帰り入浴よりも宿泊がおすすめです。宿泊人数にもよりますが、素泊まり1名あたり概ね1万円以下で宿泊可能。時間を気にすることなくゆったりと峰温泉の名湯を堪能できる点が魅力でしょう。

客室の一例。画像提供:花舞竹の庄
また、記事最初の方でも申しましたが、この様な古い木造建築物は維持するだけでも大変な労力を要します。ご興味ある方は、できるだけ早めの訪問がおすすめです。
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この記事を書いたライター
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- 権丈 俊宏
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良質の温泉を求め、全国を旅すること20数年。特技は、自らの五感を駆使したオリジナルの泉質分析。“温泉は数より質”がポリシー。一級建築士。
温泉マイスター,サウナ・スパ健康アドバイザー,一級建築士,ソニー・イメージング・プロ・サポート会員
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