“北海道対決”が示した「技の伝承」熱波甲子園2025チャンピオンカーニバルレポート 全国

全国各地の温浴施設で活躍する熱波師が一堂に会し、お互いの風力とおもてなしの技術を研鑽する大会「熱波甲子園」。春と秋の2回行われた2025年度大会の勝者同士が戦い、真の王者を決める「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」が1月19日、神奈川県横浜市「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」で開催されました。全国から精鋭8チームがしのぎを削るなか、決勝戦は北海道のチーム同士の対決に。制したのは、旭川市の「SPA & SAUNA オスパー」でした。
熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル 当日の模様
北海道・大阪・神奈川・長野・広島から総勢8チームが参加
春・秋両大会の上位チーム同士がトーナメント形式で戦い、真の王者を目指す「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」。北海道・大阪・神奈川・長野・広島の全国5地域から総勢8チームの温浴施設・個人熱波師が参加しました。

「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」開会式の模様
今回の参戦チームは、春・秋大会1位の「熱ごり」(北海道、春・秋大会2位の「蔵前温泉さらさのゆ」(大阪府)、春・秋大会3位の「おふろの国」(神奈川県)。
そして秋大会4位の「SPA & SAUNA オスパー」(北海道)、春・秋大会5位の「Kuumaもとし」(神奈川県)、春大会6位の「サウナ&カプセルAMZA」(大阪府)、秋大会6位の「The TOJIBA松川館」、秋大会7位の「グラサウナーあっきー」(広島県)。

会場にはファンから贈られた毛筆書きのチーム名札が
例年は両大会上位3チームの出場となりますが、今回は春・秋連覇のチームが多かったことや、スケジュールの都合などでいくつかのチームが出場を辞退したことから、これまで対象外であったチームのいくつかが“繰り上げ参加”を果たし、大会としては珍しい対戦カードとなりました。
くだらなくて、しょうもなくて、おもしろい──「北海道熱波」の魅力が炸裂した決勝戦
6時間に及ぶ長い戦いの末、決勝戦にたどり着いたのは、「熱ごり」(札幌)と「SPA & SAUNA オスパー」(旭川)。大会始まって以来初となる「北海道対決」に会場が沸きました。
熱波甲子園きっかけに躍進の個人熱波師「熱ごり」。しかし主語はあくまで“北海道”
2025年春・秋2連覇の実績を持つ熱ごりは、「熱と香りを楽しんでほしい」と、オーソドックスな熱波で勝負。もはや多くの人々が認める丁寧かつ力強い風送りを“前提”とし、観客も当たり前にそれを受け入れる中、これまでの足跡を振り返る口上で心を揺さぶりました。

安定の風送りに乗せ、「足跡」を振り返る口上で心を揺さぶった熱ごり
熱波甲子園での活躍をきっかけに大きな注目を浴び、昨年は、北海道「エスコンフィールド」の観客席サウナをはじめ、“聖地”と称される東京・上野の「サウナ&カプセルホテル北欧」など、数々の人気施設で熱波を披露。熱波師として大きく躍進した一年だったといいます。
テレビやラジオなど大手メディアにも多く露出し、もはや名実ともに北海道を代表する熱波師のひとりとなった熱ごり。しかし、「サウナはお客さまがいないと成り立ちません。我々も熱波師として生きていけません」と、姿勢はあくまで謙虚さに満ちていました。

最後まで「北海道の熱波」を訴え続けた熱ごり
「熱波って、くだらなくて、しょうもなくて、おもしろいんですよ」と、タオルを持つ手に力を込めた熱ごりは、「そんな、北海道の(熱波の)価値を今回は証明できたと思います……」とつぶやくと、感極まったのか涙声に。静かな感動がサウナ室を包む中、照れ隠しのように自らのオリジナルグッズを宣伝して笑いを取り、賑やかな熱波で締めくくりました。
“ゆるさ”と“いかつさ”のコントラスト メリハリ力で魅せた「SPA & SAUNA オスパー」
対する「SPA & SAUNA オスパー」は、いかつい見た目ながら癒し系のやわらかな空気を持つ「ノッパー宮崎」と、道内の多数施設で活躍する甘いマスクのアイドル熱波師「プレジャー田中」のコンビで参戦しました。

「SPA & SAUNA オスパー」の演舞を担当したノッパー宮崎(写真中央)、プレジャー田中(写真右端)
漫才風の口上にはじまり、サイコロの目に応じた回数で風を送るという「ゆるい」展開になるかと思いきや、用意されたサイコロは、なんと100面の超大型。意表を突く展開にサウナ室がざわつきました。
観客が固唾をのんで見守る中、出た目はなんと60。「行けるかな……」と思わずノッパー宮崎がこぼしますが、「手拍子で応援してください」とプレジャー田中が呼びかけ、60回の連続熱波を披露。上半身の筋肉すべてを使った力強い風送りは一度も衰えることなく、日頃の鍛錬に裏打ちされた盤石の技術で魅了しました。

100面のサイコロが出した「60」の目に従い、全力で60回連続熱波を披露
オスパーの“力強さ”は、風の強さとコントロールを競う「ペットボトル倒し」でもいかんなく発揮されました。
他の参加者たちは上から振りかぶるようにして長いストロークを取っていたのに対し、競技に臨んだトントゥッカ林は、下半身をほとんど動かさず、上半身を最低限動かすだけという独特のフォームで勝負。筋力をほぼ100%タオルに伝える短いストロークで衝撃波に近い風を10本のボトルにぶつけ、4本をいっきに蹴散らしました。

上半身だけを動かす独自フォームで強烈な風力を生み出したトントゥッカ林
ゆるく和やかな雰囲気と、他者を寄せ付けない「いかつさ」が良い意味でのギャップを生んだ「オスパー」の熱波。その中身の濃さに、場内からは感嘆の声が上がりました。
満点評価の審査員も登場。“エンタメ仕込み”の演舞で魅了した「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」
もう1チーム、大きな注目を集めたのが「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」。ロックスター・矢沢永吉のバックコーラスなど、ステージアクターとして華々しい経歴を持つ熱波師、サウナの三狼(さぶろう)が披露した「エンタメ仕込み」の“スタンダップ熱波”には、審査員の一人が満点をつけるなど、「通好み」の高い評価を呼びました。

銀髪ウィッグにジャケット、熱波師らしからぬ姿で観客を唖然とさせるサウナの三狼
スキンヘッドに銀髪のウィッグ、ジャケット姿でサウナ室に現れ、初っ端から異様な雰囲気を持ち込んだサウナの三狼。スピーカーから宇宙を感じさせる壮大なBGMを流し、プラネタリウムのアナウンスのようなドラマチックな口調で口上をはじめるも、なぜかその端々には「ハァ、ハァ」と不穏な息遣いが混じります。
観客たちの頭に巨大な「?」マークが浮かぶ中、「ととのいの世界へ、レッツ・ナビゲーション!」とセリフを決め、熱波がスタート。やさしい風で足元から徐々に温めつつ、サウナ室の空気を上下に大きくかき混ぜることで均一かつまろやかにしていくという、高度な技を披露しました。

奇抜な姿とは裏腹に、堅実なタオルワークでサウナ室の空気を作り上げる
「風以外にも、違う意味を持った『ギャップ』を楽しんでもらうというのもサウナでは面白いかもしれませんね」と三狼は語り、アメリカの心理学研究に基づいたという「一度けなしてから持ち上げる」セリフを連発。その生々しさに観客からは「ひゃぁ」と悲鳴が上がりました。
その後も「イイですか…… イイでしょ……」と、妙にウエットな口調で風を送り続ける三狼。なんともいえない「ねっとり」とした雰囲気とは裏腹に、送られる風は一貫して丁寧かつ爽やかという「ギャップ」に、サウナ室はくすぐられたようなムズムズと「不思議な気持ちよさ」に支配されました。

上品だが得体のしれない雰囲気×爽やかで確かな風。一人芝居のような熱波空間を作り出したサウナの三狼
「やっていることはずっと上品で落ち着いているのに、なんだろう。この展開を予想できないハラハラは……。一人芝居の舞台を見ているみたいだ」とこぼしたのは、審査員の一人、錦糸町「スパ&カプセル ニューウイング」の吉田健支配人。プロのエンターテイナーとしての技術に裏打ちされた「SHOW力」が、多くの参加者に強烈な印象を残しました。
優勝に輝いた「SPA & SAUNA オスパー」“師匠”へのあふれる感謝に会場涙
注目の北海道対決、見事勝負を制したのは「SPA & SAUNA オスパー」(旭川)。賞状と優勝旗を手にした参戦熱波師3人が、それぞれ感想を述べました。

「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」で優勝に輝いた「SPA & SAUNA オスパー」(写真中央から右3名)
プレジャー田中は「まだ旭川に熱波師がいなかったときに、『熱波を受けたい』という思いから活動を始めましたが、いまとなっては『オスパー』に14名以上の熱波師を抱えるまでに成長しました」とコメント。「いろんな人に支えられながら熱波の文化を作っています」と語ったうえで、「みんなに連れてきてもらって感謝しています、一緒に参加して戦ってくれたみなさんにも感謝を送りたいです」と頭を下げました。

優勝コメントを述べるノッパー宮崎、プレジャー田中、トントゥッカ林
続く2人が述べたのは、勝どきではなく“師匠”への深い感謝と尊敬の言葉でした。
「ペットボトル倒しと風速は、すべて熱ごりさんに教わった技術でした。振り方や振る場所、すべて教えてくれた。感謝しかありません」(トントゥッカ林)
「優勝はしたものの、正直なところ、熱ごりさんに勝てたという実感がまだありません。むしろ(気迫と姿勢では)熱ごりさんに負けていたのではないかとすら思っています」(ノッパー宮崎)
「熱ごりさん含め、北海道にはすごい熱波師がたくさんいるので、いろんな熱波を受けて『北海道いいな、また来たいな』と思ってもらえたら嬉しいです」とノッパー宮崎。「俺の背中をバチーン! と叩いてくれたみなさん、そして……」と続けると、「熱ごり……! ありがとう!!」と、涙目で思いを溢れさせました。

師匠・熱ごりへの感謝を涙ながらに語るノッパー宮崎
そして、惜しくも連覇の記録がストップしてしまった熱ごり。「悔しいです」と一言、挨拶のマイクを握る手は小刻みに震え、涙でしばらく言葉が出てきません。

大粒の涙をこぼし、全身で悔しさをにじませる熱ごり
その後、落ち着きを取り戻した熱ごりは、「勝負に偶然はないと思っています」と冷静にコメントすると、自ら熱波の技術を伝えて仲間を育て、奇しくも“北海道対決”の相手となった「SPA & SAUNA オスパー」に対して「おめでとう」とエール。「チャンピオンとして活躍していく、その姿勢をしっかりもらってもらい、そんなみんなの熱波をぜひ旭川へ受けに来てください」と呼びかけました。
最後に熱ごりは、2025年度の春・秋大会で熾烈な一位争いを繰り広げた「蔵前温泉さらさのゆ」の熱波師、Re:バース足立の名前を挙げ、「足立さんと出会えたおかげで今日ここまでこれたと思います」と号泣。「2023年の初参戦以来、足立さんの存在は、熱波甲子園への思いと僕の熱波師人生を支えてくれました。ここまで強くしてくれてありがとうございます」と、熱い感謝の気持ちをほとばしらせ、会場を涙に包みました。
レフリー務めたアブドーラ・小林、自身のキャリアに重ね「技の伝承」を説く
大会の締めくくりには、レフリーを務めたアブドーラ・小林さんがコメント。「今年1月、キャリア30年目にして初めてチャンピオンに返り咲いた」と自身の足跡に重ねながら、熱波の技術を北海道に根付かせた熱ごりの貢献に触れ、技を伝承していくことの大切さを説きました。

「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」レフリーを務めたアブドーラ・小林さん
「『熱ごりさんから言われた振り方があったから戦えた』というオスパーのコメントが印象に残った。伝承があったうえのチャンピオンということは大きな意味を持っている」と小林さん。「どんなジャンルでも、技術が伝承されなければその系譜はストップしてしまう」と語り、「チャンピオンとしての責任感を全うしたうえで、その技術をみなさんに伝承しましょう」と、力強く呼びかけました。
「こんなにいっぱい熱波を志す人がいるので、技術をもっと伝承してあげてください。そうすればレベルが上がって、もっと素晴らしい熱波になると思います。すべては愛なんです。愛があるからこそ、ジャンルは伸びる」

「熱波はこれからどんどん深くなる」参戦チームを鼓舞する林和俊・実行委員長
熱波甲子園 実行委員長の林和俊さんは「いつか来るであろうと思っていた『北海道の時代』が来たと思います」と今回の結果を振り返りつつ、「みんながそれぞれ色を出して行けば、『新しい熱波の見方』を作り出していけるはず」とコメントし、「サウナブームという表層的な側面ではなく、これから我々熱波師はもっと深いところへ入っていきましょう」と締めくくりました。

「熱波甲子園2025チャンピオンカーニバル」参加者全員で記念撮影
一段とその“深さ”を増した熱波甲子園、新たな幕開けとなる2026年度春大会は5月18日に「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」で開催されます。
(写真提供:月刊サウナ)
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この記事を書いたライター
- 天谷窓大(あまや・そうた)
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フリーライター、熱波師、焼き芋アンバサダー。「焼き芋を365日食べる熱波師」としてサウナ業界と焼き芋業界の橋渡しや、焼き芋イベントのプロデュース、ロウリュの技術を応用した「サウナ焼き芋」の開発も行う。体重100kg超の「デブカリ」メンバーとしてフリー素材モデルも。
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