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阪和道を利用した場合、海南東インターより国道370号線を高野山方面に向かって20キロ程ひた走らねばならず、その国道も「待望の国道昇格おめでとう」状態の田舎の街道といってもよく、紀伊半島の三桁国道にありがちな狭隘道が一部に見られ、走りやすさとか道幅には期待しない方が良い。途中メロディラインなどあり退屈しないけれど、「本当にこの道で間違いないの?」と不安になる箇所もある。長閑な田舎道で、私はこのような道を走るのは好きなのだけれども。
建造物自体はかなり年季が入ったもの。入浴設備も同様で、宿泊施設の入浴施設によく見られる如く、脱衣場には脱衣篭しかないので貴重品の管理が悩ましい。尤も貴重品ロッカーが備え付けられてはいるのだが、哀しいかな100円ノーリターン式、利用すれば650円の入浴料が事実上750円になる。
入浴施設は内湯と露天風呂に分かれ、それぞれ規模は小さなもの。内湯と露天風呂はつながっていないために、一旦脱衣場へ出て階段を下りなければならず、少なからず面倒だ。老人には階段昇降が辛いかもしれない。
内湯は浴槽一つの平凡なもので、残念ながら加水こそないものの加熱・循環・塩素消毒の三点セット、浴感も芳香も天然温泉の実感なく私はほとんど利用しなかった。ここでは源泉かけ流しの露天風呂の湯を堪能すべきである。露天風呂は川べりに岩風呂が組まれ、そこに加熱された源泉が注がれている。源泉はパイプを通じて上からも下からも注入されるシステムで、浴槽内の湯の喚水率面から見れば良質な源泉利用法と言えるだろう。湯温はややぬるめに設定されているので長湯が可能。女湯からは小さな滝が見ることができるようであるが、男湯からの観景は山裾が見える程度で平凡なもの。また、男湯には川沿いにもう一つ浴槽があるが、湯は抜かれて未使用であった。少々無粋である。ここの露天、泉質は悪くはないけれど情緒面ではやや劣る。
源泉のナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉は若干の褐色濁りが認められる程度でほとんど透明に近い。芳香も味覚も個性的なものではないが、炭酸水素塩泉がアトピー性皮膚炎などに適応する天然療養温泉であると喧伝されている。ある程度継続して利用すれば効果があるのかもしれない。
内湯だけならばほとんど評価に値しないが、かけ流しの露天風呂があるために温泉施設としては良質の部類に属すると思われる。休憩所で飲泉も可能である。
金曜日の午後に利用したところ、貸切状態であった。平日は空いている可能性が高い。人里離れた場所でのんびりと療養したい熟年層向けの温泉療養施設である。1人が参考にしています