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(創業二百四十余年の伝統)
これがこの宿のキャッチフレーズだ。
今回訪れたのは長野県の信州高山温泉郷内の山田温泉にある旅館(風景館)だ。いつもの温泉巡りの旅はゆらん中心で動く為回数稼ぎの為どうしても行きたくない温泉施設にも入らなくてはいけない。前回の和歌山遠征の時にそれを痛感したのとゆらんの目標である温泉横綱達成の目途がついたので今回の旅は満足できる温泉をコンゼプトに目的地を決めたのだ。
そして選んだ温泉地は長野県の山田温泉だ。実はこの温泉を選んだ理由はゆらん加盟温泉の(山田温泉大湯)があったのが大きな理由なのだ。この大湯はかなり評判が良いので前から行きたかったというのもある。ただし今回はこの大湯の事ではなくて風景館の事を書こうと思う。
この風景館には仙人岩風呂という名物風呂が存在する。基本的には渓谷沿いにある源泉掛け流しの岩風呂なのだがなんと旅館の建屋から150段の階段を下らないと入ることが出来ないのだ。また男女の入浴時間が細かく設定されているのも大きな特徴だろう。しかしその時間が終了すると別料金での貸切露天風呂に変貌するのだ。一枠40分での貸切なのだが冷静に考えると150段の階段を降りたり登ったりしなくてはならないのでその時間も考慮しなくてはならない。なので実際に入浴できる時間は30分位と見ておいたほうが良いだろう。
この界隈の温泉は泉質が非常に良くてここも例外ではない。仙人岩風呂も素晴らしいが内風呂や他の貸切露天風呂も十分に堪能することが出来た。
しかし本題はここからだ。
僕が本当に驚嘆したのはこの旅館の従業員のレベルの高さだ。それを肌で感じたのは夕食の時であった。まず料理の基本である温かい物は温かいうちに・・・冷たい物は冷たいうちにサービスする。これが基本なのだが実はそれが守られていない宿も存在する。そして料理が運ばれてくるタイミングも絶妙なのだ。勿論各料理の説明はしっかりされていてサービスマンは作り笑いではなく心からの笑顔で対応してくれた。
料理が全て運ばれて来てからあることに気がついた。僕ら夫婦が食事中に一度もサービスマンを呼んだ記憶がないのだ。いや、実際に一度も呼んでいない。
つまりこちらが思っている事を全て先読みしこちらが声をかける前にサービスしてくれるのだ。水が欲しい時には(お水いかがですが?)と声掛けをしてくれてご飯が欲しいときには(そろそろご飯いかがでしょうか?)と声をかけてくれるのだ。この行為は常にお客さんの動きを把握していてこそ出来る技なのだ。
そして嫌味のない笑顔を絶やさずに仕事をこなしていく。これこそサービスの基本、仕事師のなせる業ではないだろうか。
この意識の高さ、プロとしてのレベルの高い仕事ぶりは我々も見習わなければならないと思う。
温泉も素晴らしいがそこで働く人間も素晴らしい。こういう宿はこれからももっと繫栄していくことだろう。そして僕もまた近いうちにここを訪れる事だろう。13人が参考にしています