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一時天然温泉が工事中のため利用不可であり、しばらくご無沙汰であったが、天然温泉復活後久々に入浴してみた。存在感ある強塩泉は健在、改めて優れた温泉銭湯でることを認識した。
天然温泉浴槽のみならず、ここは他の入浴設備においても、凡百の銭湯とは比較にならない充実振りだ。乾式サウナや湿式サウナ双方が無料であり、地下水を利用した水風呂が二つもある等々まことに設備の充実度は高い。また、大きな駐車場が完備しているのも嬉しい限り。実銭湯料金の施設だから余計にそう思う。若干脱衣場が狭いのが唯一の欠点であるかもしれないが。とは申せ、やはりここでは天然温泉の魅力に尽きるだろう。
黄土色の色合いの湯の表面には湯の花が油状に浮かぶ。変に神経質で綺麗好きの人や、温泉の知識のない人はこれを見て人の皮脂が浮いたものと誤解して忌避するのではないかと思う。そのような人には白湯が用意されているので問題はない。ここに来て天然温泉を忌避するのはいかにも勿体無い話なのだが。
また、和歌山という地の公衆浴場ゆえに、地元の庶民の最たるような人達が大勢来ている。お上品な客層ではないことだけは認識しておいた方がよいだろう。下町の銭湯は庶民の浮世風呂で、そんなことは当たり前。
以前飲泉口から飲泉が可能だったが、今はそこから源泉が出ていない。浴槽に注がれる源泉を飲めばいいことかもしれないけれど、少々残念だ。味は塩辛さとえぐみが混じった独特のもので、うがいをすれば風邪予防になりそう。加水せず、加温せず、何も足さずそのままかけ流す方式であるので、天然温泉の芳香はいささかも損なわれていない。390円でこのような良泉に入れるのは幸福以外何物でもない。私が近隣住民なら、毎日療養に通うだろう。
泉質だけで評価すると、ここより更に濃厚な花山温泉に軍配が上がるが、コストパフォーマンスではこの本町温泉、恐るべき高さであると思う。0人が参考にしています