-
犬鳴山温泉から少し南に下った府道62号線沿いに見えてまいります。山深い場所ではあるのですが、道路沿いにある建物でありますので見落とすことはなかろうかと存じます。
入浴料は840円とやや高め、大型の様々な設備満載スーパー銭湯より高い価格設定でも意味があるとすれば、大型施設にはない癒し効果や泉質に優れるという利点でございましょうが、総合的に見て、微妙でございます。
脱衣場には脱衣籠しかなく、貴重品は受付近くの貴重品ロッカーに預けるのがよろしゅうございましょう。平日でもそれなりの入浴客がおられる施設で、貸切状態はなかなか難しかろうと存じます。
ここは内湯のみの施設で、露天風呂その他の付随施設はございません。小振りな内湯に長方形の浴槽がひとつあるのみで、サウナも水風呂もございません。そのような設備が必要なお方はスーパー銭湯にでも流れていただくのが好都合でありましょう。客層を見てみましても、比較的高齢の常連客に支えられているというのが実態で、小さい子供をプール代わりに遊ばせようと考えるような了見のお客は論外と申せましょう。子供も退屈すること請け合いです。
問題は泉質でございまして、天然鉱泉と銘打たれたアルカリ性の若干つるぬるの湯がひとつの湯船に注がれております。詳細な分析表は貼付されておりませんので成分の内容はわかりかねますが、肌触り良い湯であることは確かでございます。ただ、個性豊かなものではございません。近隣の犬鳴山温泉ほどのしっかりしたつるぬる感はございませんし、かけ流しを謳いながら、浴槽の底には排水口があり、注入湯量は少量で、かつオーバーフローしていないという怪しき浴槽であることを指摘しておかねばなりません。岩の間から注がれる湯と、浴槽の湯の芳香が同じというのも怪しい。尤も、ほとんど無色無臭の湯でありますので天然温泉の芳香はほとんど感じられないのではありますが。
説明書に謳われている循環湯ではなくかけ流しであるという宣伝も、その後に記載されている、湯の花を除くために濾過だけは行っているとの文言と矛盾するのでございまして、どうも疑問点が多い施設であると申せましょう。
大気の圧力や地球の自転する遠心力によって色合いが変わったり、「浸透性殺菌力」を有する成分が含まれているなどの眉唾表記はご愛嬌、まあ信じる人は信じればよい宗教みたいなもの、神通温泉というぐらいですから。
ただ、内湯の浴槽から眺める山裾の緑と川には癒し効果がございましょうし、加温されているとは申せ、40度ほどの長湯しやすい湯温が絶妙で、何より憎き塩素臭が一切しないのが優れもの、自分の身体に合うと思われるお方には好ましい温泉と写るのでございましょうが、不信心なわたくしには特段の優れた温泉とは認識できないのでございます。3人が参考にしています