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ここ雲仙。湯煙りが絶え間なく立ちのぼる荒涼たる雲仙地獄を中心に温泉街が広がる。その一角に建つ「宮崎旅館」。近代的な建屋の中にも和風の趣きを見せる落ち着いた佇まいで旅情をかきたててくれる。
館内は少々老朽化も目立つが、ロビーなど小洒落た雰囲気で清楚にしつらえてある。この宿の魅力である手入れの行き届いた見事な日本庭園は、殺伐とした雰囲気で湯の香漂う地獄に周囲の山々とが絶妙に調和。その景観は何とも風情があり素晴らしい。
通された客室は10畳程に広縁付きのスタンダードタイプ。室内はシンプルな造りの中にも和の気品が漂う。やはり一押しは眺めの良さである。雲仙の大自然を借景に庭園を見下ろす景観が居ながらにして楽しめる贅沢さは、くつろぎ心を満たしてくれた。
温泉はご存知硫黄泉。薬湯とたたえられる地獄から直接源泉を引き込んでおり湯量も豊富。掛け流しの白濁りした湯が注がれる。開放感ある大浴場はスペースもゆったりで広々としている。屋外には風流な岩露天。ともども自然を眺めながらの入浴は爽快そのもの。温泉情緒を満喫できた。
客室で戴いた食事は、季節感あふれる地の素材と有明海で捕れる珍味に海の幸とを調味した会席膳。洗練された味付けなど料理自慢の宿らしく趣向を凝らした内容は評価できる。「湯が新鮮なら料理も新鮮」といった感じで美味しく戴けた。
伝統の中にもモダンな感覚を取り入れており老舗の風格も感じさせられる。温かなもてなしときめ細かなサービスも行き届いていた。宿泊料金もリーズナブル、内容的に満足できた。周囲は自然の宝庫。また機会があればツツジの咲く季節に訪れてみたい雲仙の良宿である。3人が参考にしています