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清津峡の存在は以前から知っていて、清津館はその奥にある一軒宿と根拠無く思い込んでいた。実際は清津峡の入口で、バスの発着所があり、数十台の無料駐車場があり、4軒以上の旅館と2軒の土産物屋などがあった。
清津館は、その中で一番大きな旅館である。訪ねたのは14時20分だったが、すでに泊まり客が到着していた。入浴を申し入れると、ご主人は嫌な顔をせず受けてくれて、貴重品を預かってくれた。入浴料は700円。
内湯は二階にあり、階段を上がって右手に進むとすぐ右側にある。「薬師の湯」と書かれた青い暖簾の中で、男湯と女湯に分かれる。浴室は二面ガラス張り、採光重視の造りで、高所に換気用の窓と換気扇がある。湯舟は7人サイズで、無色透明なお湯が掛け流されている。お湯は単純硫黄泉で、硫化水素臭が強い。だが少しもトゲが無く、丸く柔らかな匂いである。なぜ、同じ硫化水素臭でこうも違うのかと思ってしまう。湯温は42度強ほどか。お湯はph9.1で、角質化した皮膚が溶けるのか少しぬるぬるする。お湯はあくまで柔らかく、丸みのある匂いと相まって幸せな気分でひと時を過ごすことが出来た。
時間の制限は受けなかったが、チェックインの始まる15時には脱衣場を出ることに決めていたので、心残りの短い湯浴みとなってしまった。
脱衣場に分析書が掲示してある。溶存ガス成分の遊離硫化水素はゼロ、陰イオンの硫化水素イオンは7.1mg/Lであった。この辺に柔らかい硫化水素臭の理由があるのではと、勝手に推測してみた。おもしろいと思ったのは、知覚試験の欄に「微硫黄味」とあったことだった。硫黄の味ってどんな味?お湯を口に含んでみたが、もともと硫黄の味など知らないので、複雑な味の中でどれが硫黄とは判別できなかった。
蛇足
帰宅してネットで調べたら、ピンク色のヒマラヤ岩塩は硫黄の味がするらしい。もちろん試してみる気などは無い。17人が参考にしています