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山形県米沢と福島県磐梯地方との県境に位置する姥湯温泉。国道13号線、東栗子トンネルから看板を頼りに脇道に入り、小さな集落をさらに進んでいくと、いつの間にやら林道のような山道へ。
舗装はされているものの、道幅は細く車一台がやっと通れるほどしかありません。勾配やカーブも激しく、ガードレールも設置されていない断崖の箇所も多く手に汗握るハンドリンでスリル満点。ちょっと大げさかもしれませんが、命がけのアクセスです。有名なスイッチバックの看板も健在でしたが、ここは工事で改良され普通に曲がれるようになっていました。
やっとの思いで到着したお宿は、バンガロー風の建物で予想外に近代的です。風情ある山小屋風あるいは鄙びた湯治宿をイメージしていたので正直拍子抜けしました。立ち寄り専用の窓口で受けつを済まし、早速夢にまで見た露天に向かいます
。立ち寄りの場合は混浴の露天と女性専用露天の二つ。よって男性は混浴露天の一つのみしか入浴できません。宿泊者は建物内の内湯にも浸かれるようですが、外来の入浴者は建物に一切入れないシステム。
件の露天は周囲を険しい岩肌を露わにさらした山々に囲まれ、すぐ脇には渓流も走り、荒涼感と野趣あふれるロケーション。しかし、がけ崩れのため、二つあった混浴露天は一つになってしまい、渓流の眺めも工事中で、かならずしも絶景とはいえませんでした。
渓流も護岸化や砂防ダムが建設されるのかもしれません。近代化の波は人里はなれた山深いいで湯にまで迫っているようです。
肝心の湯ですが混浴の脱衣所は男女別になっているので女性でも着替えやすいと思います。湯船はゴロタ石や大岩で囲った楕円形で、15人は浸かれそうなサイズ。先客は老若男女が10人ほどで人気の高さが窺えます。連れもタオル巻きで混浴初挑戦でしたが、福島から来たという親切なおじいちゃんと話が弾み喜んでいました。
源泉は二箇所からドバドバと投入されていましたが、湯船内の鮮度は今一。底には毛髪まじりの湯泥が粘土質に固まっている箇所もありました。毛髪の浮遊も多数確認。湯がお疲れ気味な印象を持ちました。入浴客が多いので仕方ないのかもしれませんが、清掃に関しては多少疑問が残ります。
源泉自体は無色透明で香りも立ち、実力はまずまず。この源泉を小さめの湯船で入ったら印象もまた変わったことでしょう。湯温は源泉が体感50度弱、湯船内で41-2度の適温。連れの報告では女性専用露天のほうが湯の鮮度も高く、湯温も少々高めとのこと。
野趣あふれるロケーションは最高ですが、宿泊しなければ源泉本来の素顔が分からないお宿かもしれません。機会があればぜひ宿泊したいお宿です。4人が参考にしています