-
最近入浴施設が増えて、都会地においても手軽に天然温泉を味わえるようになったやが、私から見ればその大半が温泉もどき、単に温泉を利用しただけの入浴施設に過ぎない。ところが、街の銭湯のなかにはまことに良心的に源泉を利用されているところがあり、この篠原温泉もその一例である。
最近のリニュアルにより、源泉浴槽と足湯が新設され、その魅力を一段と増した。私が訪問した時は17時を回り、すでに足湯の営業は終了していたが、10円で温泉を味わうことが可能、街の銭湯に足湯とは珍しい。また、駐車場が備わっているのも利用者には有難い。
ここではやはり、天然温泉の魅力に圧倒される。浴室を入るとすぐに、3人入ればいっぱいの小さな源泉浴槽がある。31度強の源泉(重曹泉)をかけ流したこの浴槽は素晴らしい。浴槽の温度は30度を割っており冬場には冷たかろうが、水風呂ほど冷たいわけじゃなし、結構長い時間浸かることができる。かなりの金気臭を感知し、身体には細かな泡が付着する。源泉そのままを提供する良心的利用方法だ。浴槽が小さいのは寧ろ良心的であることの証明である。狭い浴槽ゆえ混雑時は他の利用者に配慮すべきだろう。「独占禁止」との張り紙がある。
もうひとつの天然温泉浴槽は、露天風呂だ。ここの浴槽も比較的小振りだが、やや緑がかった褐色の湯が満たされ天然温泉を実感、ここは加熱循環の湯で、塩素消毒をしている趣旨の記載がある。ところが、浴槽の湯の香りは、まがうことなき金気臭で、決して塩素の臭いではない。塩素の使用量が少ないのであろうか、天然温泉の魅力をまったく減じていない。スーパー銭湯の湯とは大違いである。塩素投入を最小限にとどめつつ消毒という目的を達成できるのなら、むせかえり、目が痛くなるような塩素大量投入など悪魔の所業でしかない。有象無象のスーパー銭湯は篠原温泉を見習うべきだ。
この浴槽には源泉がかなり豊富に注入されており、半循環といったところ、源泉の魅力を保持したままの優れた露天風呂だ。源泉浴槽との違いは、加熱のためにやむなく循環装置を通すもので、目的は加温、また、オーバーフローした湯は再利用しておらず、源泉風呂の湯と比較して決して劣るものではなかった。循環でありながら見事な源泉利用法である。露天風呂と源泉浴槽との温冷交互浴がまた格別で、知らぬ間に時間が経過してしまった。こんな良心的施設に出会うと嬉しくなる。
神戸市灘区には他にも優れた天然温泉銭湯がある。神戸の地に底知れぬ魅力を感じた。阪神地区は都会の立派な温泉郷だ。0人が参考にしています






