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3月29日、お午の11時50分、イーダちゃんは悩んでおりました。
芹川沿いの「ガニ湯」に入るべきか、否か?
むろん、気持ちとしては入りたい、しかし、ここ、あまりにも開放的すぎるのです。芹川の前の岸には旅館がずらーっ。反対のこちら岸は現役の村の公道です。ひともしょっちゅう、結構通ります。さらに、ここには着替え所らしきものも、覆いもない。要するにないないづくしなわけなんです。
不審に思い、「ガニ湯土産物村」というところなおばさんに聞いてみると、
「そうですねえ、地元のひとも昼間はあんまり入りませんねえ。朝方か夕方、それと夜に地元のお年寄りが入るかしら。でも、たまに、昼間のうちでもお入りになる観光客の方はいらっしゃいますよ」
これは・・・入らずを得まい、とそのとき思いましたね。
だって、僕、関東モンですもん、ここで入らなかったら一生後悔する、と感じました。
ならばならば、善は急げ、橋の下の着替え所らしきとこにいって思案をしばし。合理的に脱ぐにはだ、うん、ぱんつとズボンは風呂脇までもっていこう。で、そこで脱げば、問題はない。問題はむしろパンツをはくときだ。この瞬間が恐らくいちばん恥ずかしい。
頭脳は猛スピードで計算します。でも、考えていてもはじまらない、もう・・・脱いじゃいました。脱いで、かーっとお湯に入ったとき、
切り結ぶ刃の下こそ地獄なれ 一歩進めばそこは極楽
剣道の有名なこんな文句がつい頭をよぎりましたっけ。
実際、芹川の脇の「ガニ湯」の入り心地はサイコーでした。
赤茶色の炭酸泉は温めなれど超柔らか。芹川のむこうの筋には桜がいっぱい咲いてます。こっちの川岸には菜の花がいっぱい。春空は青く、そして高く、ときどきその一方からうぐいすがよく透る声でぴーひょろろ・・・ああ、いいなあ・・・なんか、黄泉の国で湯浴みしているようでしたねえ。
流石に入浴してたのは15分ばかりでしたけど、おかげで一生忘れられない、良い湯浴みができました。多謝。
ただ、小物故、風呂上りに当惑してしまい、びしょ濡れのままパンツを履いたんで、身体が乾くまでしばらくは股のあたりがびしょびしょと不快でありましたけど(^.^;)
あ。芹川のさきの橋のとこに敬愛する俳人・山頭火の石碑がありました。
宿までかまきりついてきたか 山頭火
良い句、良い湯、味わい深い一日に有難う。5人が参考にしています