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昨年オープンした新しい施設。海南市の老舗の酒蔵を移設・改築して利用する個性的なもので、温泉施設のみならず、食事処等様々に酒蔵が利用されている。食事内容も悪くない。
温泉も、四種の源泉を利用し、単独使用もしくは混ぜ合わせて浴槽に注がれており、浴槽は三つ、一度の入浴で三度美味しい思いを味わえる。
さて、内湯の主浴槽の湯は黄色に濁った塩化物の高張泉で、第一源泉を、第二及び第四源泉で六倍に希釈したもので、舐めると塩辛い湯である。注湯口から注がれる湯を飲泉可能。隣の無色透明無味無臭の湯は、第三源泉の湯から鉄分・マンガンを除去して注がれている。飲んでみると、こちらは真水の如き味わい。
露天の湯は、炭酸水素ナトリウムと鉄分の第二源泉の湯から除鉄したもので、飲んでみると若干の炭酸味。やや黄色がかった癖のない湯である。露天風呂は岩風呂で、御影石が並んでいるが、妙に墓石のような形状なのが気にかかる。
露天の入口左は工事中で、酒風呂、ビール風呂を増設中らしい。長い椅子も設置され、休息可能だが、所謂トドスペースは設けられていない。
夜中に全ての浴槽から湯を抜いて入れ替える方法をとり、循環湯を使い回すなどしていない良心的な施設であることには好感を覚える。塩素臭まみれの都会のスーパー銭湯より格段良心的で、優れた温泉施設であると思う。
ただ、温泉は何も足さない、何も引かないのが一番良いもので、優れて療養の温泉を目指すならば、六倍希釈などする必要があるのかどうか。また、露天の第二源泉の湯は冷鉱泉であるが、そのまま加熱しない小さな浴槽を水風呂代わりに作るなどすれば更に優れた施設になるのに残念だと考えた次第。
犬鳴山温泉山乃湯の泉質に圧倒されたすぐ後に入浴したため、印象が不利になるのは否めないが、温泉はやはり小さな共同湯が一番との感想を持たざるを得なかった。0人が参考にしています