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「ボーナスも出るしたまには豪勢に行こか」ということで、松葉がに目当てに遠征しました。日本秘湯を守る会のスタンプを集めているので、必然的に岩井屋さんに決定。「冬季限定松葉がに料理プラン Aコース(3万円ナリ)」を宿のサイトで予約しました。過去最高宿代の為、交通費を節約すべく金曜夜に青春ドリーム号にて出発。4列シートの夜行バスは不安もありましたが、耳栓、空気枕等と完全防備で挑んだ結果、意外にも眠れました。大阪駅には6:45頃に到着。大阪のしのみーと合流し7:48発の「かにカニはまかぜ」に乗りました。年内に引退する国鉄型ディーゼル特急に揺られ、明石海峡大橋や保存修理工事中の姫路城を眺め、10年夏に新装なった余部橋梁を渡り、12:07に終点の浜坂着。B級グルメの「素ラーメン」を食べに鳥取の武蔵屋食堂まで足を伸ばしました。私は半素ラーメン(250円)と木の葉丼(620円)を注文。素ラーメンは素朴な味であり、一方、木の葉丼はエビや穴子、くわい(?)などが卵とじになっていて、こちらも美味しかったです。岩美まで戻りタクシーで宿へ。数分で着き、料金も1150円で済みました。
岩井屋は、昭和11年築という木造3階建でよく整備されており内装もシックです。女将が部屋まで案内してくれました。スリッパはなく、廊下は畳敷き、階段はカーペットで気持ちよいです。我々の部屋は奥にある木造3階建ての3階「りんどう」という部屋でした。入口の左に洗面所とトイレがあり、正面は分厚いマットレスの上に布団が2組ある8畳間。右手は床の間・テレビつきの部屋で8畳と3畳が続いていて(確か)全体として結構な広さです。浴衣に着替え温泉へ。先ず散策がてら宿の外観を確認。メインストリートに面した建物はなかなか趣のあるたたずまいですが、我々の棟の外観は結構地味でした。道路向かいは花屋旅館、その隣が明石屋と温泉旅館が3軒があり、岩井屋の隣は尾崎翠資料館(花屋旧館)です。温泉街というより街道沿いの細長い集落の中心部に宿3軒と共同浴場が集まっているひっそりとした雰囲気。路地に入ると蒲生川という結構広い川が流れていました。ゆかむり温泉に入って宿に戻り、貸切風呂と、20時まで男性専用の「祝いの湯」に入りました。名物の「長寿の湯」は20時まで女性専用なのです。祝いの湯には窓がありませんが、ステンドグラス調の照明や2階分ある天井も相まって開放感があります。2階が吹き抜けなので、我々の部屋は長寿の湯の真上です。浴槽は5~6人が適度な大きさで、手前は浅く奥は深く、浅い部分に腰掛けることも出来ます。寝湯スペースもあります。湯口には杓子があり飲泉が可能。くせがなく飲みやすい湯でした。部屋に戻って、夕食の時間までゴロゴロくつろぎました。18時半となり1階の食事処へ。既に茹でカニが一人一パイ並べられていました。仲居さんに「AからDのコースの違いは?」と聞くと「カニの大きさ」とのこと。我々は一番安いAだったのですが、それでも鳥取大丸の魚売場で見たものからすると、結構いいクラスかと思います。写真を撮ろうと思ったのすが、仲居さんが「食べ方を教えます。こちらを使ってよろしいですか?」と私に聞くので「はい」と答えたら、写真を撮る隙もなく手にとられ、裏返して足を全て外して、甲羅の裏もとってバラバラにされてしまいました。仕方なく被写体はコバやんのカニとしました。お味の方はさすがに美味しく、特にカニ味噌と和えてのカニ肉は美味でした。続いて、カニ刺し、焼きガニと続き、焼きの味噌は「個体で味が違うの比べてくれ」と3ハイのカニ味噌をご飯の上に乗せて味比べができました。続いてカニスキです。スープも美味しく〆の雑炊も大満足でした。地酒やなしワインを飲みながら、茹で・刺し・焼き・スキのコースで一人3バイの松葉がにを食し、食べ終わった後は体中に焼きがにの臭いが染み込んでいました。しばし休憩ののち、長寿の湯へ。脱衣所の窓越しから、一段低い所にある湯船が見えて、いかにも自然湧出の温泉、といった感じです。湯船は細長く、深さが110cmあると女将から説明があったので、結構深いと思っていましたが、入ってみるとさほどでもなく腹の上あたりまでの浸かり具合です。しかしお湯と雰囲気は抜群で、山陰の古湯に入っていることをしみじみと実感できます。露天もありますが、建物に囲まれていて雰囲気は長寿の湯が一番です。翌日も長寿の湯に入り、朝食の後、9時過ぎのバスで鳥取砂丘へ向かいました。帰りは新型特急で大阪まで出て、しのみーと別れて新幹線で帰路につきました。関東からだと交通費もかかりますが、今度はばばちゃん料理の時期にも訪れてみたい宿です。14人が参考にしています