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11月28日。麓から宿のある標高1280㍍までなだらかな道を一気に駆け上ると、そこには真冬の風景が広がっていた。宿手前には急登坂の圧雪ヘアピンカーブが待ち受けており、油断すると車が止まりそうになる。
いかにも山の宿といった趣きのロビーから浴場へは階段を下りていく。脱衣所に入った瞬間ぷんと鼻を突く臭いがするが、この臭いが最後まで気になって仕方なかった。全く根拠はないが、温泉成分中の「臭素」によるものか?などと考えつつ、取りようによっては汚水のような臭いをどうも好きになれない。
巨岩が占拠する内湯、遥か雪山を望む露天風呂ともに「含石膏-酸性緑礬泉」「含芒硝-石膏泉」2種のお湯を楽しめ、露天にはその二つが混ざり合う浴槽もある。二つのお湯は全く異なり、前者が無色透明で温めであるのに対して、後者は鉄錆色で熱めのお湯といった具合。
残念だったのはその絶景にお目にかかれなかったこと。下界は晴天だったが山の上には雲がかかり、山の天気の難しさを思い知らされた。しかし、これほどの高所に温泉宿があり、しかも真冬も利用できることにはただ感謝である。6人が参考にしています