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上信越高原国立公園の標高850mの山腹に建つ、小谷温泉の老舗旅館。日曜日の午前中、日帰り入浴して来ました。周りの山々は、黄色やオレンジ色に染まって、まさしく秋真っ盛り。「温泉に入りたいんですけど。」と、忙しく働く女将さんらしき女性に声をかけると、「昨晩はお客様が多くて、まだお風呂の掃除ができていないんですよ。」と言われる。ところが、私がよっぽど入りたそうに見えたのか、少し考えた後「途中で、掃除が入っても良ければ。」と、迎えていただけました。入浴料500円を渡し、玄関から左手に廊下を進み、本館浴室の「現夢(うつつ)の湯」へ。江戸期建築の本館を含む六棟は、国の登録有形文化財に指定されています。天井の高いレトロな浴室には、6人サイズの石造り内湯が1つ。宿の裏手に自然湧出する源泉を、高さ2mの湯滝にして落とし、湯船からサラサラと溢れさせています。うっすら緑褐色のナトリウム-炭酸水素塩泉は、明治時代にドイツで開催された温泉博覧会に、日本を代表する4大温泉として出泉された名湯。ラドンを含有し、豊富な湯量と効能豊かな療養泉です。湯船は意外と深く、おそらく60cm近くはあろうか。茶色の湯の花も少し見られます。泉温は42℃位の適温。PH6.8で湯自体はキシキシ感があるものの、上がると肌がツルツル。口に含むと、鉄サビ味と炭酸味がします。1人分の寝湯スペースは、身長160cm位でピッタリ。ドライヤーもあるので、安心です。程なくして、ご主人が現れ清掃開始。シャカシャカと床を磨く横で、至福の吐息を漏らす自分。気を使って早目に清掃を済ませていただいたのか、その後も1人で心ゆくまで湯浴みを楽しませて頂きました。
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