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国道254号線から、細い山道を初谷沢沿いに遡ること約1km。緑に囲まれた山間にひっそりと佇む、明治18年に開業した初谷温泉の一軒宿。日本秘湯を守る会会員の宿でもあります。平日の午後、日帰り入浴してみました。
入浴料700円はフロントで。右横の廊下を奥に進んだ突き当たりに、男女別の大浴場があります。棚に籐籠が並ぶ脱衣場には、ドライヤーなし。浴室に入ると、右側に6人分のシャワー付カランがある洗い場。アメニティは、秘湯熊笹系です。窓際に、石造り内湯が2槽。奥の3人サイズのが「源泉湯」浴槽で、茶褐色に濁った含二酸化炭素ーナトリウムー塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(源泉名:初谷温泉)がかけ流しにされています。泉温2.1℃と低いため、蒸気による直接加温を行い、湯温は39℃位。さらりとした浴感です。透明度は、20cm位かな。自然湧出ですが毎分2Lと少ないため、加水あり。消毒もありですが、塩素臭は気になりません。湯口からの投入は見えず、浸かって溢れた分の加温湯が継ぎ足され、その時に加温の蒸気音が聞こえます。鉄臭などを期待しましたが、浴槽内のお湯も無臭でした。薄茶色の湯の花が舞い、床は棚田状の析出物がいい感じなのに、炭酸のアワ付きが見られないのは残念。
手前の4人サイズの「さら湯(新湯)」浴槽は、うっすら青みがかった透明の白湯で、湯温は42℃位。底にこげ茶色の湯の花のようなものが多く沈殿。隣の源泉湯との交互浴が、気持ちいいです。 窓から、小川のせせらぎと源泉「宝命水」の源泉井。ずっと貸切状態で、まったりできました。
脱衣場には、温泉の適用や使用状況表示のみしか掲示されておらず、浴室前にはかなり古い分析書が掲示されています。最近のものはないかと、受付のおねえさんに尋ねるも、どこにあるのかわからないとの回答。帰りがけ、建物の裏手に回り込み、浴室の窓から見えた源泉井へ。「宝命水」の碑の横に、ステンレスで囲われた二ヶ所の井戸と分析書の看板が立っています。升の底に溜まっている源泉を口に含むと、鉄臭がして炭酸味。いつかこの宝命水のシュワッと弾ける炭酸に包まれてみたいと思いつつ、宿を後にしました。
飲用の分析書看板より(ただし、平成8年の古い物なので参考までに)
蒸発残留物6975mg ( PH6.47 )
主な成分: リチウムイオン6.2mg、 ナトリウムイオン2081mg、マグネシウムイオン100.5mg、カルシウムイオン347.4mg、アルミニウムイオン0.4mg、マンガンイオン1.3mg、鉄(II)イオン11.7mg、アンモニウムイオン0.08mg、バリウムイオン1.2mg、ストロンチウムイオン8.6mg、塩素イオン2917mg、臭素イオン11.4mg、ヨウ素イオン1.5mg、硫酸イオン417.5mg、リン酸二水素イオン1.0mg、炭酸水素イオン1800mg、硝酸イオン2.5mg、メタケイ酸46.9mg、メタホウ酸155.9mg、遊離二酸化炭素1011mg31人が参考にしています