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いつも行っているような、山深い秘湯でもないのだが、趣があり、とても良かった。「かくじゅせん」と読む。
地獄巡りで有名な別府にある。たいがいのガイドブックに載っていると思うので、迷うことはないと思う。
別府をうろうろしていて、ガイドブックを見ると、この辺には立ち寄り湯がいくつもあるではないか。どれか一つは入りたいが、どれもよさそうで迷ってしまう。
だが、紹介文を読んだ瞬間、ここに決定。およそ500年前から続く風情ある温泉、建物も何とか賞を受賞したとか。決め手になったのは無料だということ!これまで山奥で無料の温泉はあったが、こんな集落の中では初めて。これは入らねばなるまい。
外観は一見すると温泉とは分からない。お寺か神社のような雰囲気で、なにか懐かしさを感じさせる建物だ。
中はそんなに広くない。更衣室も狭い。地元の共同浴場である。
湯船は一つだけ。シャワーも洗い場の蛇口もボディシャンプーも椅子すらない。あるのは洗面器だけ。
湯船に絶え間なくお湯が流れ込んでいる。乳白色だ。
掛け湯をした。ちょっと熱めかと思い湯船に足を突っ込んで飛び上がった。熱い、熱すぎる。不本意だが角にあったホースで薄めた。
車で数分の所に住んでいるというおっちゃんが入ってきて、話し込む。熱いですねと湯温の話になった。水を入れると地元の人に怒られることもあるらしい。先ほど水で湯温を下げてしまいました、すみません、と謝ると「かまわん。ワシは地元じゃない。”近所”のもんだ。熱すぎると入れんがな。」とあっさりしたものである。
水を入れても、後から後から、お湯が流れ込んでくるので、湯温がまた上がってきた。あまりの暑さに子どもの入浴は断念。私も全身真っ赤に茹で上がってあがる。
これで無料とはすごいなあ。別府の底力を見た気がした。9人が参考にしています