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いにしえの屋号に魅せられて足を運んだ湯宿。
付近には数件の旅荘が集い合って、一個の小さな温泉郷を為している。また公道からそれらに辿り着く道すがらには、古民芸、喫茶店、古着屋が点在している。
宿に入ってまず、風呂の説明があった。備え付けの五右衛門風呂、貸し切りの檜と岩風呂、二つとも朝夕入浴したが、湯船は広々していて、ちょっとした銭湯なみを独り占めできる。湯質もとろみがあり、無臭で少し嬉野にちかい。
この宿の特長のもう一つは、山に囲まれた盆地でありながら、大分の名産、ふぐ料理が堪能できたことであった。
肉厚のふぐ刺しは、しゃぶしゃぶでも、そのままネギを巻いて食べても美味しい。肝については言葉を失った。
この店の一泊二食分のふぐ懐石を以前食、専門店で食べたことがあったが、唐揚げから雑炊にいたるまで勝るとも劣らない逸品であり、是非お薦めしたい。お店の方の接客態度も実にフレンドリーで好感がもてた。内野聖陽似の店員さんをご覧になりたい方にもお薦めである。夫婦二人で訪れた初めての湯宿、そこには見えなくなるまで手を振り見送ってくれた、日本の旅館の持つ美点ともいえる、温泉と同じひとの温もりを感じた。3人が参考にしています