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- 亀の井別荘の口コミ 由布院温泉5
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筋湯を後にして訪れたのがここ湯布院。金鱗湖のほとりに広大な敷地を持つ「亀の井別荘」へは、約10年ぶり2度目の宿泊である。ワクワクしながら茅葺きの門をくぐり玉砂利を進む。美しい杉林の中に散る数棟の離れは、周りの木々と溶け合うようにひっそりと点在する。そして茅葺きの屋根に民家風の佇まいが風情を感じさせ、侘びた玄関に前庭など野趣豊かで旅情をかきたててくれる。
木の温もりを生かした重厚な造りの館内は、古いモダンと新しい雅とを兼ね備えている。小洒落たギャラリーや談話室には、蓄音機や暖炉にアンティークな家具などシックなインテリアを施し渋い雰囲気。宿独自の工夫で凝らした造りは、閑静なひと時を過ごすには申し分のない寛ぎの空間を演出している。これらの風格十分で趣き深い優雅なスペースと接客の良さに隅々にまで行き届いている清掃などとが、もてなしの質の高さを感じさせ素晴らしい。
緑陰の中に続く回廊を進み通された離れの客室は「三番館」。華美に走らない一見シンプルに映る室内だが、気品高い座敷のしつらえですっきりとした軸や調度も洗練されたもの。間取りだが、広い玄関に主室9畳+副室8畳+洋間5畳程のオンドル部屋。オンドル=韓国式床暖房とのこと。応接間というか広縁の役割りな感じで、貫ろく十分なソファーに腰掛け離れ専用の庭を眺めながらビールで一息つく。普段は望めるという由布岳だが、あいにくの雨ではっきり見えなかったのは残念であったが、かえって新緑に雨とが高雅な佇まいと調和、しっとりとした情緒と日本家屋の良さを醸し出しており落ち着けた。
客室の檜風呂は、風と光とを十分に取り入れるよう造られている。ここからも自然の趣を生かした庭を眺められ入り心地も良い。温泉は単純泉。大浴場は2つ。由布院こそ湯量は豊富だと思うのだが、宿は少ないのか?よく分からん(笑)掛け流しの循環式だが、私には何ら違和感もない。まず「星の湯」岩造りの大浴場だが、傘形の屋根がユニーク。天井など檜の枠で囲ったガラス張りで、ここにも自然光を差し込むように工夫され造られている。露天の湯舟だが、檜を回しており湯底には淡い緑石を配し透き通ってて綺麗である。ここからは、小ぶりだが風流な庭を眺められる。「草の湯」には、名の通り草木の中にあり、丸い桶と四角い湯舟の2つ。晴れた日には眼前に立つ由布岳が借景となるのだが天候に恵まれず残念。だけどどちらの浴場もなかなか趣向を凝らした造り。静寂な中での入浴は快適そのもの、私なりには温泉情緒を味わえた。
朝夕客室で戴いた食事も素晴らしい。地の素材を生かした季節感のある山家風な料理。旬の味覚を大切に調理しておりもてなし心あふれている。名物の豊後牛温泉蒸し(ボイルドビーフ)のジューシーで柔らかい食感がたまらなく美味。宿独自のオリジナルだ。他の一品一品にも満足、中でも「地鶏スープの小鍋仕立て」は見た目シンプルなのだが美味しいのだ。少なからずこれらの料理を引き出しているのが「いしり」や「ゆず」などである。それらの味付けはもちろん、質、量とも私に程よく、料理をはじめ器にも派手さはないのだが、四季の風情を愛でておりバランスの取れた内容であった。また朝食だが、嫁の意向もあり洋食に。あまり気乗りしなかったのだが、普段めったに口にしないパンに自家製のジャムなど美味しく戴けたのには正直驚いた。
敷地内には造り酒屋の屋根裏を改装した茶房や「みやげでない土産」を並べた鍵屋に離れなど一棟一棟、趣が異なる風流な造りの建屋が点在する。プライベートを重視した造りは、まさに別荘の名にふさわしく、和風美溢れる佇まいと周りの自然との調和の妙に感心させられた。風と光をコンセプトとするなら風趣溢れる大人の宿といった感じかな?評価として個人の価値観の違いは多々あるけど私的には、宿泊代金に十分見合う内容に満足。そして今回の旅で感じたのは、この宿をはじめ湯布院ならではのホスピタリティの高さを存分に味わえた気がする。いつになるか分からないが、銭と暇さえあれば是非再訪したい、寛ぎ感と味わいのある老舗宿である。4人が参考にしています