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数年ぶりに両親と3人で旅行したのですが、滞在中、とても心地好い時間を過ごせました。
緑に彩られた敷地に足を踏み入れた途端、静かで穏やかな、そして非日常的な空間に引き込まれるような感覚を覚えました。東京を離れ、自然に囲まれた中でゆっくりと休暇を楽しみたかったので、まさに望んだイメージ通りの素敵な宿でした。
アンティークがさりげなく飾られたロビーでもてなしを受け、離れへ。昭和の佇まいを残した離れはアロマの香りが漂い、掃除も行き届いた清潔な空間……備品もすべて、心遣いが行き届いてました。人数分のドライヤーとか、女性としては意外と嬉しいものです。
宿は予約でいっぱいのはずでしたが、食事の時以外、広い敷地内で誰かとすれ違うことは殆どありませんでした。人の声もせず、とても静か。残暑のせいもあり、昼は蝉の鳴き声だけが響いてました。
温泉ですが、驚いたことにどれも空いていて、貸切状態で入れない……ということはなかったです。緑に包まれた大浴場と竹林の湯を2回ずつ、残りの内湯もすべて入って、滞在中の入浴回数は10を超えるほど……と、相当欲張ってしまいました。湯布院の湯はとろんとマイルドな感じなのですが、その効果にはびっくり。気づけばお肌はつるつるに。湯量も豊富で、かけ流しのお湯を贅沢に使ってしまいました。
お湯とお風呂もですが、特に嬉しかったのは脱衣所の清潔さと設備。綺麗なタオルの山、ドライヤー(部屋のものとは別にアリ)、基礎化粧品やほてった体を冷やすためのポータブルのクーラー(?)など、どの脱衣所も整えられ、清潔感にあふれてました。
食事は行く前から楽しみにしていた古い民家を改築した食事処にて。当初は部屋食のある宿を希望していたのですが、食事処の建物のことを知ってそれもアリかな~、と興味深々。内装は古風だけどモダンな要素も混ざっていい感じの空間。ここでは他の宿泊客と一緒に食事を取るのですが、部屋やそれぞれの席が上手に区切られていて周りを気にすることなく食事をいただけました。小さな子供を連れた家族や大人数の一行は別室に通されるなど、静かに会話を楽しめるようにと宿泊客の席の配置が上手にされていたと思います。お給仕してくださる方とさりげない会話を交わしたり、予想以上に楽しい時間を過ごせました。自家製の果実酒、美味しかったです。
食事はありえないほどボリュームたっぷり。野菜メインと聞いていたのですが、相当空腹状態で臨まないと食べれないほど品数も量もあります。味付けもとても上品で、地元で採った素材の味をいかしたものばかり。普段、外食が多いせいか、ありきたりの魚や肉料理には飽きていたので、野菜の素朴な味を堪能できてある意味、新鮮でした。体にいいものを食べたって満足感あり。ただ、どうしても全部食べれず……食べ残したのが残念でした。また行く時は量少なめで……と事前にお願いしようと思います。あの量は無理!
唯一困ったのは、夏なので蚊が多かったこと。露天ならよくあることですが、山の中ということもあり、若干多かったような気が……。夏に訪れる際はウナコーワなど虫さされの薬をお忘れなく。
最後に宿で働く従業員の皆さんの心意気(?)が最高でした。旅館の仲居さんのような、そういったお決まりのサービスとはちょっと違います。印象としては、典型的な温泉旅館というよりは、都心の有名ホテルや高級エステの接客マナーに近い感じ。宿泊客が快適に過ごせるようにと配慮された、素直で気持ちのよいサービスを受け、この宿に来て本当に良かったと思いました。初めて訪れた場所ですが、あれだけくつろげたのは周りの配慮もあったのでしょう。皆さんが着ている作務衣もシンプルでかっこよかったです。
チェックアウトを済ませ、車に乗って去る際、従業員の皆さんが並んで、とてもとても大きな声で「いってらっしゃいませ!」と手を振りながら見送ってくださったシーンが記憶に残っています。父も母も「照れるわね」とニコニコ笑っていたのを覚えています。
大切な人に紹介したり、私自身が癒しを求めてまた戻りたい宿です。0人が参考にしています