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平日朝一番の外来入浴。それでも第一駐車場3台は満車で、第二駐車場に回る。受付を済ませて階段をずんずん降りていく。脱衣所で服を脱ぎ、扉を開けるとそこはパラダイス。鉄の臭い、柔らかな肌触り、浴場の風情に浴槽の析出物、一切合財が私を楽しませてくれる。内湯はかなり深い浴槽。大阪式の2段組浴槽であるが、立って入る感覚が残るため、あまり落ち着けないかもしれない。
源泉の滝のあたりの湯のはさすが。金気臭がただよい、鉄分が酸化されて茶色のにごり湯。舐めてみるとえぐみを感じる。重曹が多いとあるが、あからさまなぬるぬる感はなく、肌にしっとりと馴染むが如き浴感であった。39度前後のぬる湯は長時間の入浴を楽しめる温度。主に露天風呂(内湯と比べてやや浅い)で楽しんだ。連続して長時間入っても飽きることない湯の質の高さに脱帽。浴後はぬる湯にも関わらず、体はほかほかと熱を帯び、肌はしっとりつるつる。方々のサイトにおいて奈良県最高の湯の1つに数えられていることに納得した。
最後に、環境云々に関してであるが、ご存知かどうかは分からぬが、山鳩湯のある川上村、あるいは上北・下北・十津川といった吉野郡南部は下水道がまったく整備されていない。したがって、これらの村ではどういう経路であれ、廃湯をダイレクトに近い形で環境に帰すことになるということは覚えておいてもらいたい。予算規模からいっても、それは行政の問題であり、一宿泊施設に対策を求むのは筋違いである。現実問題として宿泊客相手の施設や、公共浴場といった地元の公衆衛生に寄与する施設においては、シャンプーや石鹸の使用を禁じるのも難しい。しかしながら、山鳩湯や一部の十津川の施設のように休日には日帰り入浴者がごった返す場所では、環境に対する負荷は軽視できるものではないというのも理解できる。ならば、これらの施設に道楽で日帰り入浴をする場合は、ユーザーの自発的な動きとして石鹸類の使用を自粛するというのはどうだろう。温泉好きの諸氏が良識を積み重ねることで、これらの湯が環境と共存できる余地を残せはしないだろうか。我々は微力ではあるが無力ではない。何でもかんでも施設に対応をおねだりするのではなく、各々のできることを考えてみては如何かと思う。2人が参考にしています