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温泉旅というもの自体、初体験の國崎の宿でした。
ここは海に近いせいか、僕が勝手にイメージしてた隠れ家的な雰囲気ではなく、旅館の雰囲気もスタッフの人柄も開放的で明るい印象でした。
開放的といってもざわついた雰囲気はなく、懐かしい古いつくりの館内は実に静かで、階段を登る、「ミシリ、ミシリ」という木材がたわむ音もまた心地よく響くのです。
古めかしいといっても歓談室をはじめ、部屋や廊下は清潔で、よく磨かれています。
部屋のつくり等はとくに凝ってるとか変わってるとかはなかったですが、やはり清掃がゆきとどいており、これだけでいい気分になれます。
到着後はなにをするでもなく、お茶を飲んだりごろごろしたりして。
また畳に大の字になったりとか・・・。
平日は仕事か寝てるかで、狭い部屋に暮らし、基本落ち着きのない僕にとっては、新鮮な体験です。
えっと、お風呂に入らなきゃ・・・。
と、我に返り、その日と次の午前中とで全ての家族湯に入りました。
50分の時間制限がありますが、温泉を楽しむには十分な時間だと思います。
客室自体少なく混むこともあまりないので気長に過ごせば全部のお風呂を楽しめるかと思います。
お湯の温度は熱くもなくぬるくもなく、沢山の人が快適に浸かれます。
不自然な匂いもなく、癖のない湯質で、舐めるとしょっぱくて。
露天、檜、石、各種のお湯がありますが、個人的には檜のお風呂が一番落ち着けました。
と、風呂場の片隅に動く小さな影が・・・。
目で追ってみると、小さな蟹でした。
お湯がかかりそうになるとそそくさと逃げ回る様子がユーモラスで、愉快な気持ちになれました。
うん、ここは海辺のお宿なんだなって。
ここには、海辺の旅館に期待しがちな、「素晴らしい夕日が見えるお風呂」はありません。
でも、僕は、旅館とお風呂の雰囲気だけでとっても満足できてしまったのです。
もう一つの満足があります。
それは料理です。
魚がうまい!えびが甘い!ごはんがおいしい!ボリュームたっぷり!
あまり食べ物の善し悪しが分からない僕でも、「わかる」おいしさです。
きっと素材そのものがいいのでしょうね。
朝も品数が多く余裕で満腹になれるのですが、ここ数年やってない「卵ぶっかけごはん」を食べることができました。
こんなシンプルなものも実に美味しかったです。
白飯が美味しいっていいものだなっておもわせました。
「清潔な空間でのんびりすること」「ゆったりお湯を味わうこと」「喜びのある食事をすること」
こんな日頃忘れがちで、でも当たり前なことの素晴らしさを体験させていただいたように思うのです。
もちろん、あたりまえのことが、高いレベルで満たされている、この旅館であるからこそ!
なんでしょうね。
温泉宿の初体験がこの旅館であること、またここに案内してくれた友人に感謝したい気持ちでいっぱいです。4人が参考にしています