- 温泉TOP
- >
- 九州・沖縄
- >
- 長崎県
- >
- 雲仙
- >
- 小浜温泉
- >
- 旅館國崎
- >
- 旅館國崎の口コミ一覧
- >
- 旅館國崎の口コミ 小浜温泉1
-
ここ小浜温泉。雲仙岳の西麓、橘湾に面して湧く温泉郷。設備の整った規模の大きい宿が立ち並ぶ海岸通りから一本内側に入った閑静な環境に立つのが今宵の宿「旅館國崎」である。伺うまでは客室9程なのでこじんまりとした宿かなと思ってたのだが、実際は間口が広く奥行きもあるどっしりとした木造2階屋なのだ。玄関両脇には提灯に植木、日除け幕(暖簾)を施し、上に目をやれば外掛けの掛ズ(簾)が左右に延び、瓦の流れもいい。それらがインパクトのある白壁の建屋と見事に調和しており、歴史を感じさせ和風美溢れる佇まいは、なかなかの風格を見せつけていた。
よく磨き込まれた板の間をはじめ清潔感ある館内も古さは否めないが、華美に走らない落ち着いた佇まい。まず帳場にて記帳を済ませ、右手の談話室にて茶菓子のもてなしを受ける。そこには書や置物、ちょっとした土産品、コーヒーメーカーなどを設け、円テーブルの中央には有田?か伊万里?焼きの大皿を水槽がわりに稚魚(めだか)が泳いでおり、なにかホッとするようなほのぼのとした心和む空間を創りだしていた。奥に目をやるとまっすぐに延びた廊下の先、左手に少々苔した小ぶりな中庭がしっとりとした風情を漂わせていたのもいい。また、客室に向かう幅の広いメイン階段を上がれば、すぐの所に内湯へ降りる少し急な補助!?階段。便利そうであまり意味のない、いかにも昔の建屋らしい(笑)
客室は全て2階。通されたのは「しのぶ」の間。シンプルな室内は7,5畳にトイレ付き。客室の中では一番小さい造りで縦長な間取りと広縁なしというのも手伝ってか少々圧迫感を感じる。また、南向きの窓からの採光は取られているものの少々薄暗く感じ眺めもいまひとつ。ただ、和紙の照明に天井などの細工にこだわりを見せており、流行の薄型テレビにシャワートイレなども好印象。(洗面台は一般家庭用のもの)もうひとつ残念だったのが雑音。このような建屋なので致し方ないけど両隣からの客室から漏れる声、周囲の客室の戸の開け閉め、廊下を歩く音などかなり響く。ある程度は我慢できるが、正直これほど凄いとは思わなかった。客室に限っては静かに過ごせる寛ぎの空間とまではいかなかった。
温泉は高温の塩化泉。男女それぞれに内湯が一ヶ所ずつとそれぞれに趣きの異なる貸切り風呂が三ヶ所ある。どこも私には少々熱めの湯だったが湯触りも良く湯温に慣れれば快適そのもの。玄関すぐの左手、帳場の奥に造られてる石風呂は一番小ぶりな浴槽で坪庭風にしつらえてある。中庭の側にある檜風呂は赤ちゃん連れにもいいように収納式のベビー台を配している。3階屋上にある石造りの露天風呂は貸切り湯の中では一番大きい造りで大人5,6人はいけるかも。こちらの眺めもいまひとつで「青空、夜空」ばかりだが、他の風呂全てに外の眺めがないので、その反動か!?開放感抜群に感じてすこぶる気持ちいい。また、先客が入浴中にはランプの灯りで確認でき、特に夜など粋なムードも見せていた。階にある内湯も大人5,6人程入れる広さで石造りの浴槽と壁には木板や竹をあしらっており、他の浴槽共々工夫された造りで入り心地は上々、清潔感もある。また、アメニティも一通りは揃っており怠りなし。
客室にて戴いた夕食は(品書きはなし)山海の幸を使った内容で、まず冷物が食膳を賑わすのだ。3種盛りの刺身をはじめとする海の幸が7割程を占め、後から温物4品程が1品ずつ頃合いを見計らって運ばれてくる。量的には私に程よく味付けもいい感じ。豚シャブなどの肉質にも力をいれているのだとスタッフの方が力説しておられた。朝食は食事処「ふじ」の間にて、2組程ずつ1部屋×4つの間に振り分けられていた。夕食同様に美味しく戴き、特に夜の赤味噌、朝の白味噌を使った味噌汁が印象に残った(笑)ひとつ思ったのは、この宿の特徴でもある眺めの乏しさ。せめてこの食事処だけでも中庭に面するように改善するとかすれば、また違った風情を楽しめるのではないかと。
小浜へは初めての宿泊。立地や周りの景観などからすると秘湯宿とは程遠い気がする。また、橘湾を赤く染める夕日がウリである温泉郷にありながらそれを期待できない宿なのだが、こじんまりとした純和風の佇まいの中、ひと味違う小浜の旅情を満喫できたのも事実。料理をはじめ所々に工夫がなされ、さり気ない演出などセンスも光り、スタッフの方々の気配りなど「もてなし」がマジ素晴らしいのだ。宿泊料金もリーズナブル、平日にもかかわらず満室というのもうなずけた。やはり訪れて良かった。大人の隠れ家的な宿というより肩の凝らないアットホームな宿という印象が強く残った小浜の良宿である。(08,5月中旬)5人が参考にしています