-
投稿日:2013年9月21日
泡付き微温湯の快楽 (田沢温泉 有乳湯(たざわおんせんうちゆ))
湯けむり天使さん [入浴日: 2013年9月6日 / 2時間以内]
55.0点
-
55.0点
-
44.0点
-
0 - 点
-
0 - 点
情緒ある田沢温泉の一角にある立ち寄り湯。泉質面で評価が高く、信州温泉行脚では外せない場所だ。
施設は近年建て替えられた新しい木造建築で、外観は立派な湯殿造りである。玄関先の券売機で入浴券を購入して受付のスタッフに支払う近代的システム。規模は都会の銭湯より小振りだが、温泉地のジモ専共同湯の類をイメージすると裏切られる。近代的入浴施設として観光客にも対応している万人向け施設だ。
脱衣場には鍵付きロッカーはないので、貴重品ロッカーを利用すればよい。こんなところにも観光客への配慮が見られる。シャンプー等の備品は一切ないので念のため。
浴室には扇を半分に割ったような形状の浴槽が男女の仕切り壁に沿ってひとつあるのみ。カランは独立式でちゃんとシャワーまである。浴室はすべてタイル地で、究極のレトロである鹿沢温泉紅葉館入浴後にこちらにお邪魔したため若干の違和感を覚えた。確かに総木材のレトロな雰囲気には旅情を覚える。しかし旅情など旅行者のエゴに過ぎない。清潔で湯使いが優れものであれば何も問題などありはしない。
ここでは小振りの浴槽に加水なし・加温なし・塩素消毒なし・完全かけ流しで源泉が注がれているという素晴らしい温泉利用法である。田沢温泉2号・3号の混合泉である単純硫黄泉は、39.5度という絶妙の清明なぬる湯で、微かな硫化水素臭と泡付きがまた結構なもの、夏場でも長湯が可能だ。慌ただしい立ち寄り湯が実に勿体無い思いがした。こんな湯でこそ命の洗濯ができそうだ。浴槽に身を沈め、目を閉じて心静かに瞑想する快楽を味わえる。微温湯ならではの贅沢だ。
浴槽の湯と浴槽の手前にある掛り湯の色合いが若干異なるが、掛り湯とカラン・シャワーの湯は1号泉が利用されているため違っていて当然、カラン・掛かり湯も混じり気なしの源泉というのは実に有難いものだ。まことに贅沢な湯使いで、このような施設が近くにあれば私は毎日通うことだろう。この贅沢さで200円は相当なバーゲン価格に思える。
利用者は平日であったためか地元民が多いと見受けられた。彼等や受付スタッフの話を聞くと、この湯に誇りを抱いている印象である。身体にすこぶる優しい印象の湯なのだが、長湯すれば結構効くらしい。こんな湯であれば存分に自慢してもらってかまわない。今回は温泉行脚の〆に利用したが、大正解であった。27人が参考にしています
-