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投稿日:2011年9月23日
看板猫にも癒されて (温泉お宿 おかじま)
湯けむり天使さん
[入浴日: 2011年6月10日 / 2時間以内]
44.0点
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若干寂寥感あふれる吉岡温泉であったが、近年近代化の様相を呈している感がある。旅館組合のホームページなどを見るにつけ、各旅館が小奇麗にリニュアルされている様子が見てとれる。こんな山間のいで湯に大型宿泊施設をしつらえて観光客招致に走っても確実に失敗する。湯治という原点回帰の方向で、若い力を集めれば温泉地として生き残れるのではないかと思う。
さて、「温泉の宿おかじま」さんは、他の吉岡温泉の宿の例に洩れず小ぶりな旅館である。それがまたこの温泉地にふさわしい。以前訪問時刻が遅く残念ながら立ち寄り湯がかなわなかったため、今回は午前中にお邪魔して入浴を乞うた。
看板猫がいる宿として知る人ぞ知る宿であるため、館内の各所に猫雑貨が置かれているのが目を惹く。小さな猫雑貨はセンスが良く、見ているだけで猫好きの客を飽きさせない。中庭から屋根を見ると、看板猫「びき」がのんびり寝ていた。
小さな宿であるから浴室も小ぶり。ここではお風呂は貸切り制であるため無用に大きいのは無駄で、これくらいがちょうど良い。露天はないが、陽光が差し込む浴室内は明るい。朝の陽が差し込む折の入浴がここでは最も快適なのではないかと思う。
浴槽内には玉砂利が敷かれ、中央に大きな黒石が鎮座する。結構熱い湯であるためその石を椅子代わりにすると便利だ。その浴槽に熱めの清明な湯が静かにかけ流されている。一人1000円という料金設定は、この温泉地で200円ほどで入れる共同湯と比較すれば高いと思われるかもしれないが、宿湯はまたその雰囲気と併せ、格別なのである。
吉岡温泉の湯は無色透明で無臭、癖のない熱めの単純泉である。飲んでみると若干の甘みがある。温泉は集中管理システムが採られ、三つある泉源のミックスを余儀なくされているため、何処の宿でも同じ湯である。温泉好きには若干複雑な心境だ。
湯から上がってロビーに行くと、女将さんが看板猫「びき」を抱いて連れてきてくれたので、私も猫を抱く僥倖に恵まれた。私がこの宿の立ち寄り湯を乞うたのはこの「びき」を見たいためでもあった。猫好きの身には、猫がのんびりとくつろぐ姿を見せてくれるのが何より心癒される。恐らく洋猫の長毛種とのミックスであろうちょっぴり太めの看板猫「びき」は、この旅館で心穏やかに暮らしている。
静かな温泉宿には、猫が似合う。11人が参考にしています