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2006/04/29入湯。
山間の一軒宿。受付カウンターには誰もおらず、内線電話をすると「すみませんけど、食堂の厨房にいるから階段降りて来てちょうだな」とのこと。私の地元に近い場所なのでこういうアバウトな感じは慣れっこです。
厨房に入って、必死に昼食の用意をしているおじさんとおばさんに料金を払い、いざ秘湯の風呂へ。
岩が組まれているというよりもドカドカと転がっている感のある内湯を抜け、露天へのドアを開けると…うわ~!という感じで山が目の前に迫って来ます。そして、その中に露天とプールが、黄土色の源泉をとうとうとたたえて横たわっています。
露天の湯は推定で37℃前後でしょうか。資料によれば泉温は65℃とありますが、それを貯湯槽にいったん貯めて、温度調節しているらしいです。もちろん加水なしの源泉かけ流し。
プールは水着着用とのことですので入りませんでしたが、山懐(ふところ)に抱かれた露天で、お湯の落ちる音だけをBGMに温(ぬる)湯に浸かる気分はなんともいえません。
お湯の質は、ツルツル感はありませんが少し鉄分の匂いがしました。濃い湯の中には赤っぽい湯の花が大量に舞っており、露天の石にも成分が付着して、石の形を変えてしまっているほどです。
施設的にはピカピカとはいえませんが、緑色に黄色みがかった湯色は特徴的ですし、なんといっても露天からのロケーションが素晴らしいですから、こちらに来られた際はぜひ一浴をおすすめします。
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「お湯いただきました。ありがとうございます」
帰りに厨房によって挨拶すると、おじさんがニコニコしながらこう応えてくれました。
「おかまいできなくて悪かったね。また寄ってね」
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