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福島県大沼郡の国道252号線にある共同浴場です。牧歌的な故郷の原風景が広がる奥会津大沼郡は、いくつものハイレベルな温泉が点在し、大塩温泉もその一角を担っています。大塩温泉とは言えば、春先のほんの僅かな期間だけしか自噴しない露天風呂が有名ですが、それは別口で口コミしていますので、よろしかったら覗いてください。
初めて訪問したのは11月の夜7時過ぎ。目印は国道252号沿いに出ている民宿たつみ屋さんの看板。看板に従って国道から少し入ると、すぐにたつみ屋さんを発見。その向かって左にある小屋が大塩温泉共同浴場です。小屋の脇には車が2~3台駐車できるスペースもありました。建物はまだ新しく内部もフローリング張りでベンチ型ソファーも置かれ、小さな個人医院の待合室を思わせる造りです。一応休憩室となっているようで、綺麗なトイレも完備。
協力金を入れる料金箱が7設置され、組合員以外は200円を入れるシステム。浴室は階段を下りていったところにあります。男女別の内湯のみの共同湯仕様で、ガッチリと年季を重ねた様子。脱衣所から浴室に移動すると温泉成分で見事に変色した湯船がド~ンと飛び込んできます。コンクリ造りの実にシンプルなものですが、なんとも素晴らしい鄙び方で、しばし見惚れてしまいます。つげ義春さんの写真で見たとおりの浴室がほぼそのままの面影で残っていました。
湯船は4~5人サイズで、思っていた以上に深さがあり、どっぷりと浸かれるようになっています。湯は貝汁濁りで体感40度のマイルドな浴感。長湯にはちょうど良い湯温でリラックス効果も抜群です。
源泉を飲んでみると、微かな甘み、塩味、鉄味、苦味等々の複雑な味覚を感知。投入されている源泉は体感41度といったところですが、実は加熱のうえ掛け流しされています。大塩温泉の源泉は37.7度と温目のため、正午以降は加熱しているとのこと。源泉をそのままの温度で浸かりたい場合は、午前中に入るのが良いでしょう。
暫くすると3人の旦那衆が入ってこられ、次の日に行われる大堀払いを話題に盛り上がっています。大堀払いとは除雪した雪や雪解け水を排水する用水路に溜まった落ち葉やゴミなどを取り払う作業で、毎年雪の降る直前に地域住民が協力して行います。豪雪地帯ならではの話題で、この地域の風物詩にもなっているようです。こうしたお話を聞けるのも共同湯ならではの醍醐味でしょうか。
※写真は上が湯船、下が入浴時間(黒字)と加熱時間(赤字)の案内板です。4人が参考にしています