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只見から田島方面に向かう国道289号線沿いのやや小高い丘陵に見える建物が、深沢温泉むら湯です。車では早戸温泉から1時間、只見駅からは30分圏内で、周囲はスローライフな風景が広がります。
すぐ側には宿泊施設も備えた姉妹施設「湯ら里」も隣接していますが、一般客向けに源泉を濾過し透明化した後に循環使用しているので、同源泉と言っても全く別物の湯使いと考えたほうが良いでしょう。本物の湯にこだわるのであれば、源泉掛け流しのむら湯をお勧めします。
今回は開業と同時に一番風呂に入るべく入り口の券売機で600円を支払い突撃しました。外観は和洋折衷のモダンな造り。内部も清潔感に溢れ清掃が隅々まで行き届いている印象。造りや意匠も何気に豪華だったりします。食堂も兼ねた休憩所や喫煙所も完備。決して大型ではないですが狭さも感じさせず、日帰り施設としては充分な設備で長時間の入浴休憩も快適です。
肝心の浴場はというと、これまた豪華です。御影石を惜しげもなく使用したバブリーな浴室は洗い場も湯船も広々としており、大きな展望窓も開放感に溢れています。
湯船は、10人は楽に浸かれそうなサイズで長方形。湯は関東ローム層を髣髴とさせる濃厚なオレンジ色。源泉温度は体感で約44度、湯船内部で41~42度の適温やや温めといったところ。季節や気象状況によって源泉温度は変動するとのポスターが脱衣所に貼ってありました。源泉は無色透明で、金気臭、ダシ臭、それとごく僅かですが硫黄臭も感知しました。
源泉を飲んでみると、はっきりとした塩気、鉄味、ダシのような甘みも僅かにあります。もう少し源泉投入量が多くてもいいような気もしますが、充分と言えば充分。湯船床や湯船縁にはレンガ色及び黒褐色の析出物や変色が認められ、接触するとお尻や手に色が移ってしまいます。
適温やや温めの浴感は、柔らかで見た目とは反対に意外とサラサラ、スベスベしています。ほのぼのとした風景を見ながらの湯浴みは最高でした。開店と同時の突撃だったため、男湯は貸しきり状態でしたが、暫くすると近所の常連らしき古老の方々がタオル片手にぞろぞろと入ってこられました。そのタオルの色と言ったらもう、しょうゆかコーヒーで煮詰めたようになっていて、年季と格の違いを見せ付けられた格好です。
お湯の色が色なので、皆さんシャー専用ならぬ、むら湯専用のタオルを決めて湯浴みをしている模様で「湯ら里とは違うのだよ湯ら里とは」と言ったような言わないような。
総合的には、浴場以外の設備も充実していて、素晴らしい施設だと思います。特に前日早戸温泉ですさまじい芋洗いの洗礼を受けていたので、本当にホッとするひと時が過ごせました。会津若松方面からは大人気の早戸温泉よりもだいぶ奥になるため、穴場的な存在だと思います。
内湯一つと言うのはちと寂しかったりもしますが、それを補って余りある施設です。600円の料金がもう少し安いといいのにな~とも思ったりもしますが、それでも2時間500円の早戸温泉と比較すると、のんびり半日いるのであれば、断然お得感は高い気がします。8人が参考にしています