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若干寂寥感覚える椿温泉ではあるけれど、泉質は良質で、この宿以外にも良泉の湧く宿もある。ただすこぶるマイナーな存在であるだけ。温泉以外何もなくとも白浜からは近いので、私は随分重宝している。私はここ、富貴の湯に浸かるだけで快楽を覚えるのであるから。
確かに建物の外装や内装に目を引くものなど何も無い。一応南欧風の造作であって、正面玄関前には椰子の樹が茂っていたり、南国ムードを演出してはいるのだが、造作そのものに統一感がなく、瀟洒な建物とは程遠い印象。要するにそのようなものに手間と資金を投下してはいない宿なのである。豪華さやセンスの良さ、若しくは料理などに期待するなら場違いということになる。この宿の売りは他に無い優れものの泉質を誇る自家源泉なのである。料金もリーズナブルであり、湯治には適した宿とも言える。私にとってはすこぶる好ましい傾向なのだが。
入浴設備も、比較的小振りな内風呂があるだけで、露天風呂などない。大露天風呂など造ったあげく湯量足らず循環装置を作動させるなどの所業は、この素晴らしい単純硫黄泉を無意味にしてしまうだけで、今のままの謙虚な利用方法がすこぶる好ましい。
なにしろこの湯は、特に非加熱源泉の硫化水素臭とツルスベ感は絶品で、特に夏場において36度の源泉にじっくりと浸かるのはまさに快感。冷えれば加熱源泉との交互浴がまた良し。私は硫化水素臭をより強く感知する小さめの非加熱源泉浴槽が特にお気に入り。写真は小さい非加熱源泉浴槽である。どの浴槽においても100%の源泉かけ流しであるから不満はないが。
なお、浴槽については女湯が若干大きめ。この宿は女湯が少しながら優位な造作となっている。
また、この7月から日帰り入浴の料金が700円に値上げされていることを申し添えます。1人が参考にしています