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椿温泉は凋落著しく、ホテルや別荘のあちこちが廃墟となっているのを目にいたしますと、寂寥感を覚える次第。観光客も白浜まではおいでになるのですが、すぐ近くの椿までは足を延ばさないご様子、湯治向けの良好な温泉が湧くのですが、いささか地味なのでございましょうか。
富貴は、国道からしばらく走った海沿いの場所に在り、途中廃墟となった別荘の類を嫌が上にも目にせねばなりません。
ここの温泉は立ち寄り湯が可能で600円。浴槽は石造りの加温浴槽が一つと非加熱源泉が二つ。窓際にある大きな浴槽は中央が石で区切られ、加温湯と非加熱源泉とに区分されているのでございます。更に、小振りな浴槽が別に一つあり、これまた非加熱のぬる湯で優れた浴感を味わうことが可能、夏場は非加熱の36度程度のぬる湯にじっくりと入浴するのがよろしゅうございます。
ここの自家源泉は、ツルヌルの浴感と硫黄臭を感知できる優れもので、身体には細やかな気泡が無数に付着、飲泉してみますと、硫黄の風味に加えて炭酸味も感知、肌触り良い湯はまさに絶品で、優れた温泉が多い和歌山でも、特筆すべき泉質を誇ります。湯治にしばらく滞在したいと思うほどでございます。
露天風呂はなく内湯のみですが、大きな窓からは太平洋を一望できます。特別豪華でもなく、また情緒に優れたホテルでもございませんが、泉質重視の方には最適でありましょう。宿泊して命の洗濯をしてみたいと渇望した次第でございます。0人が参考にしています