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大湯の温泉街を抜け、次第に細くなる道の両側が魚沼駒ヶ岳に連なる美しい林となると、ひょっこり宿の前に出ます。
部屋は広くありませんが、こざっぱりとしています。いちおう自家発電はしていますが、夜は電気を消してランプの明かりを楽しみたいものです。もちろんテレビはありません。
さてお風呂ですが、内湯、混浴露天風呂、別棟の内湯、さらに貸し切りの家族風呂が二つあります。どれも簡素な造りですが、お湯がまるで川のように流れる贅沢な掛け流しです。ただ温度は33度とぬるく、加温したお湯と交互に入りながら、ゆっくりと温泉につかるのがここのスタイルです。無色透明ですが少し硫黄臭があり、入っていると皮膚に泡がついてきます。
食事はけっして贅沢ではありませんが、地元の新鮮な素材を使った郷土料理で、この時期は山菜づくしでした。揚げたてのアケビの新芽のてんぷら、おいしゅうございました。朝食には大粒のおいしい納豆や、カジカという魚の甘露煮も出ました。
ぽん太が十年ほど前に泊まったときには、山深い素朴な宿という印象でしたが、数年前に若い三代目が宿を継いでから、地元の古民具の漆の食器を使ったり、地元の宮大工さんに頼んで床の節穴にに昆虫の形の象嵌(ぞうがん)を入れたりと、こだわり度も高まっているようで、今後も注目していきたい宿です。
贅沢は必要ない、都会の喧噪から逃れて静かな一夜をすごしたい、という人におすすめです。
一人目のクチコミのようなので、全体的な感想を書いてみました(2005年6月宿泊)。4人が参考にしています