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日本三大虚空蔵尊の一つに数えられる柳津の円蔵寺から只見方面へと向い、県道32号線を山間に10キロも進むと件の西山温泉があります。山里に隠れた小さな温泉場です。土曜の午後でしたが、人通りもなく長閑の一言。
老沢温泉旅館の外観は民家風の木造。庭先には筵(むしろ)が敷かれ、一揉みされたゼンマイが干してありました。春の奥会津でよく見かける軒先の風景で何だかホッとします。玄関から内部に入ると、居間でおばちゃんが、なにやらサスペンス系ドラマを鑑賞中でした。内部は清掃が隅々まで行き届き清潔感に溢れていいます。おばちゃんに立ち寄りをお願いすると快く受けてくれ、早速浴室へ。
浴室へは長い階段を下りていきますが、壁にはカレンダーがズラズラといくつも掛けられていました。月初めは全部めくるのに一仕事でしょう。階段を降りきると脱衣所があり、その奥が浴室になっています。浴室にはコンクリ製2人サイズの湯船が3つ整然と並べられており、お約束の掛け流し。浴室の一番奥には老沢温泉神社が祭られています。本格的な神社で、浴室に神社があると言うよりも神社の中に温泉があるといってもいいくらいです。
神様の御前で生まれたままの姿になり、各浴槽をチェックするとどれも熱いです。源泉は神社側から流れ、各浴槽の引き込み口から注がれるようになっています。引き込み口には四角い石や布を丸めたお絞りが置かれ、引き込み口の塞ぎ具合によって源泉の投入量を調節する仕組み。源泉の湯道には白い溶き玉子のような湯の花が多量に付着していました。カップも置いてあったので、源泉を飲んでみると、玉子風味の薄いダシ汁といった感じ。意外と美味しいです(笑)。
3つある浴槽のうち、真ん中だけは何とか入れそうだったので、連れと二人で湯揉み開始。水で薄めることはできないので、必死に3分ほど湯揉みするとようやく入れる湯温に。それでも体感44度。柔らかい硫黄臭がする微貝汁濁りの湯で、溶き玉子状の白、灰、黒色の湯の花も浮遊。湯温の高さもあってか、キューっと体が引き締まる浴感。無駄な設備も一切ない浴室は、天井が高く開放感もあります。温泉と信仰の融合という今まで味わったことのない雰囲気の湯浴みとなりました。この日は他に湯浴み客はおらず、連れと貸しきり状態で存分に湯を堪能できましたが、脱衣所も男女共同&混浴なので、女性の入浴には勇気がいるかもしれません。
帰るときに脱衣所から階段を上りながらカレンダーの数を数えたら、20個以上もありました。そしておばちゃんは来たときと同じように居間でサスペンスドラマに興じておられ、はにかんで挨拶してくれました(笑)。6人が参考にしています