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宿の裏、少し登った所に小さな神社があり、鬼怒沼散策無事走破を祈願。半日かけて沼から戻り、無事の帰還でまた手を合わす。自然の中では人は実に謙虚に素直になれるものなのだなあ。やっと帰りついて改めて目にするこの宿は本当に有難かった。流れ落ちる湧水を柄杓で立て続けにがぶ飲みし、宿の前にある椅子テーブルで休ませてもらい、見分けがつかない程そっくりの4、5頭の人の良さそうな柴犬に出迎えられ。山を歩き疲れ切って帰って来た者には、こんな素朴だけれど温かい必要最低限の休息の場が丁度良い気がした。冬は隙間風など入らないだろうか!?(失礼)と心配するような木造の建物。二階の部屋からはあからさまに布団が干してある。この日は立ち寄り湯のみで服を脱ぐ気力も残っておらず、入浴は翌日に。加仁湯10時のチェックアウト後に直行。敷地内入り口にクレソンが自生していた。『採らないで下さい』こんな所に来て迄採る者がいるのだ。四角い浴槽2つは貸切状態でなんとも贅沢だったがアブと蜂がブンブン頭の上で飛び回り、せっかくの湯が落ち着いて楽しめない。これもまた山奥の露天の醍醐味と思う事にした。濁り湯は本当に真っ白で柔らかく真綿にくるまれてでもいるかのようだ。日の光と風のそよぎと沢の流れ・・ただただ満足だ、何もいらない。もう少し樹木の剪定をしたら滝見の風呂も叶う気がするが、他と同じ事はやらない!主義か、『この湯だけで勝負』的心意気、その商売気の無さ!?が逆に自分は大好きだ。いつかきっと、次は必ず泊まりで伺うから、どうかこのままでいつまでも残っていて!と願う宿だった。
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