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北温泉について。
前回の訪湯では、宿のひとの無愛想さにすっかり腹を立ててしまい、コメントもいくらかヒステリックなものとなってしまいましたが、冷静になって考えてみれば、北温泉の「温泉」自体はとてもいいものでありました。
なにより、北温泉は、まず立地条件がいい。
ズバリ、ここほど「秘郷」っぽさを感じさせてくれる地が、ほかに思いうかぶでせうか。僕は、奥鬼怒の「加仁湯」なんかもいっていますが、交通の便利さはさておいて、「秘湯」そのもののランク度ということになりますと、もしかすると北温泉は加仁湯の上をいくかもしれない、と思うくらい北温泉の孤高の度合いは際立っています。
やはり、北温泉のある土地自体が、かつて修験道の修行地だった、という事実が大きいのでしょう。本当に、ここの土地は不思議です。高地のむこうの山肌が、そこから天にむかって切りたった崖が、木々が、それらすべてを含めた空気が、雰囲気が、ことごとく俗界の塵芥をよせつけない、撥ねつけるような強力なオーラに満ちている。前回の訪湯のとき、僕はびりびりとそういった山の意思を肌で感じ、かなり怖かった記憶があります。
江戸、明治、昭和に渡って増設された、巨大な宿の構造も、これまたコワイ。昼なお暗きくねくね廊下を延々迷い歩き、ようやく辿りついた混浴湯「天狗の湯」には、男女別の着替え所すらない---。というより近代的なサービスなぞという思想自体がないのです。下界ではそういう思想が流行しているかもしれない、しかし、ここ、北温泉ではそのようなものはないのです。ここは、もっと別のモノを中心にしてまわっている宿であり、湯治場なのです。
ここまで時代離れした宿は、そうそうない。
ですから、那須高原をはるばる登り、北温泉にやってくる値打ちは充分にあると思います。壁に巨大な天狗の面の飾られた「天狗の湯」は特にお勧めです。ここの透明なお湯は一見ありふれた単純泉だけど、俗界の塵芥をこそぎ落とすような強力な威力を有しております。冗談ではありません、僕は、それを体験しました。あるひとにとっては、それまでの人生観をまるごとくつがえししてしまうかもしれない、那須高原・北温泉の「天狗の湯」! 一遍の湯浴みを是非お勧めします。江戸時代からさまざまな修験道のつかってきたここの湯舟に肩までつかって、五分ほど湯浴みしたら、あなたは以前のあなたとはまったくの別人になっているかもしれません・・・。0人が参考にしています