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投稿日:2015年4月25日
いつまでも残したい旧き善き愛すべき空間 (鹿の湯)
あびさん
[入浴日: 2014年9月26日 / 2時間以内]
44.0点
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55.0点
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44.0点
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0 - 点
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白黒パンフレットが良く似合う素朴で余分な物の一切ない湯処。建物を入ると一気に昭和中頃にタイムスリップしたかのようだ。本当に脱衣の為だけの脱衣場。良く見ないと気付かない洗い場。蛇口からも硫黄泉だから泡立つはずもなく石鹸の類いも無い。ひたすら湯で身体を洗い、いざ入浴。の前の柄杓100回の神聖な儀式の掛け湯スペースで、場の独特な雰囲気に舞い上がりやらかしてしまった。掛け湯を汲む浅い湯ダマリに足湯の如く足を入れてしまったのだ!!事前学習もして来たのに。優しいおばさんが小声でのたまう『入らない入らない。柄杓でお湯掛けて』穴があったら入っていた自分。来を取り直してぬる目の湯から順番に入っては出てを繰り返すが、最高難度44度の湯槽が一向に空く気配が無い。皆が床で休む中、一人二人一段高い椅子に腰掛けて交互に入る出るを繰り返している。こうなりゃ根比べと覚悟してひたすらぬる湯を転々としチャンスを待った。夕方5時過ぎ上級者の常連さんは帰られ、いざ入湯ーーさっと一皮二皮剥がされたらこんな感じなんだろうな!!と言う痛みにも似た感覚が首から下を走る。動くと痛いから暫く我慢。周りの視線も気になり意地と虚勢で何事もなかったかのように静かに湯を出たが、二度は入らなかった。少しばかりの達成感。でもその効能たるや絶大で、前日まで痛くて容易には折れなかった膝が普通に正座が出来るようになっていた。『硫化水素が出るので床では横にならない!!危険!!』物騒な貼り紙あり、時代劇の牢屋主ならぬ湯槽主のような方あり、上下関係やしきたりもなくなりつつある現代に、こんな旧き善き愛され続ける空間があっても良いと思う。本来は日々の仕事に疲れた地元民こそが、数少ない憩いの場とした湯だと思うから。冷やかし半分、体験しに来ました的一見さんがドヤドヤ踏み込む空間ではなかったはずだと思うから。でもかく言う自分も実は静かに再訪を願っているのだが。
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