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四月に改装して新しい施設となった株湯に入浴した。旧浴舎に隣接して新しく作られた施設は、旧浴舎に比べて随分大きくなり、同じく駐車場も広くなった。観光客には便利になった改装といえるだろう。以前のような共同湯然とした風情は若干薄くなったが、風情云々を言いつのるは余所者のエゴであり、肝心の泉質と湯の使い方さへ担保できておれば、時代に即した改装はやむを得ない。総じてここの新規施設は上手く進化したと賞賛されても良かろうと思う。
瓦葺切妻屋根の上に切妻の湯気抜きを載せているのは、旧浴場と同じ造り。天井部分の開放感が好ましい。ここらの造作は、伝統・モダンの融合で見事なもの。雰囲気作りに成功している。
写真は脱衣場のもので、ここが以前の施設とは大違い、二三人も居れば狭く感じた脱衣場が、随分余裕のある空間に生まれ変わった。ベンチまで置かれるほど余裕のある脱衣場で、私は尼崎の蓬莱湯の雰囲気を想起した。
さて、肝心の浴室だが、ここもかつての浴場と比較して三倍くらいに拡大された。造りも以前の雰囲気を踏襲し、大きくなった湯舟の底は石造りで、壁の部分がタイルの造作、以前は浴槽の淵が丸太であったが御影石に変更された。湯舟も壁も、以前と同じく落ち着いた色合いと雰囲気で、伝統とモダンが融合しているのには感銘を受けた。
湯も源泉かけ流しに方式に変更はなく、ガツンと熱い清明な湯に何等の変化もなかった。生憎風邪気味で微妙な臭気は感知できなかったのが残念だが、浴感・臭気とも以前同様三朝の湯を堪能できる優れもの、湯使いに変化ないのが何よりの朗報だと思う。
三朝温泉の見識は高かった。見事に株湯は進化した。9人が参考にしています