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地本屋と公共の宿みやま荘に挟まれたところにあります。外から見るとどう見ても普通の民家にしか見えません。ごていねいに玄関の引き戸の横には家庭用の赤い郵便受けまである始末。行き過ぎそうになりながら、軒下の「倉下の湯」の看板を見つけ足を戻しました。
倉下の湯はかつては旅館だったそうです。そのため外観が共同湯らしくないのです。外だけでなく、中に入っても共同湯とは異なります。帳場のような受付があり、その奥は広間になっていました。湯上りに休憩もできるようです。廊下の雰囲気もほどよく時代を経て、使い込まれた美しさを感じさせてくれ、いい感じです。
ご主人に説明してもらい浴場へ。これがまた、もと旅館のものとも思えないほどこじんまりしたもの。浴室が道に面しているため、小さな鎧戸のついた窓ひとつきりしかないので、中は濛々と湯気が立ち込めていました。ちょっと閉塞感があります。湯口のところに虫取り網が置いてあって、湯の華を濾していました。あとでご主人に聞くと、最近の若い人が湯の華を汚いといっていやがるから仕方なく置いているそうです。なんともったいないことでしょう。お湯はなぜか温め(源泉は熱いはず)、ほんのり石膏のにおいがしました。湯舟が小さい分、お湯が新鮮なためでしょうか、他ではあまり感じられなかったのですが。
建物、お湯、ご主人の人柄ともによかったのですが、唯一、脱衣場で先客が喫煙されれており、ここも浴室同様小さな窓しかないために煙が充満していて閉口しました。休憩室ならまだしも脱衣場は禁煙にしてほしいと思いました。減点は残念です。0人が参考にしています