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そもそも京都は宇治以外の町は合衆国の爆撃を受けなかったため、このような時代がかった雰囲気の銭湯が残っている。
写真のように古びたアパートの隙間をぬけると軍人湯にたどり着くが、入浴客は隙間を抜けた時点でおそらく時間の流れが遅くなっているのに気がつくはずだ。
「軍人湯」という名前ではあるが、別に自衛隊員優遇というわけではない。ただ単に戦前、旧軍の第16師団司令部が近くにあり、入浴者が軍人ばかりであったから、「軍人湯」になっただけである。 湯船自体は、中央にある円形の湯船と人間の体型を無視した湯船の底を設置することで、いわば、今流行の「人間工学(エルゴノミクス)」の逆をいく配置を実現している。
入浴客は私のほかに若者8名であったが、
「めちゃ熱いやないか」
「前は熱くて入れへんかったねんて」
「ましやろ?」
「なんでいつもここ来んねん」
「わからんわ」
などと話している。
彼らの言うとおり、ここの銭湯には魅力があるわけではない。しかしながら、理由はわからないが、訪れたものが再訪するような気がする、そういう時代を超えた風格は持ち合わせている。
そういえば、16師団といえばフィリピン レイテ島に派遣されていたが、壊滅したんだったか・・・出征前に若い兵隊もここに来たのだろうか。同じ軍人としていろいろ思うところがある銭湯だった。
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