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源頼朝が発見したと伝えられる川原湯温泉にあって、ランドマーク的な存在の共同湯が、こちらの王湯です。平気面には源氏ゆかりの笹桔梗をかたどった巨大な家紋のレリーフが施されており目印になっています。ちなみにこの笹桔梗の紋は鎌倉市のマークにも採用されているそうです。ダム建設にからみ、移設が既に決まっている王湯ですが、受付をしてくれたお母さんのお話ではまだ当分の間、営業は続けられるとのこと。
お風呂は内湯&露天が男女各一の構成。まずは内湯から。急斜面に建っているためか、脱衣所は浴槽を見下ろす位置にあり、着替えてから階段で浴室へ降りるシステムです。ただし、浴室にも着替えスペースがあるため、地元の方の中には籠を持って下で着替えをする方も少なくありません。
浴槽は4-5人サイズのタイル張り仕上げ。昭和ロマンの小口タイルが泣かせます。香ばしい焦げ玉子臭に油臭も仄かに香り、体感42度強の湯温。サラスベした心地よい肌当たりで浴感もまずまず。露天とは繋がっていいないため、内湯だけを楽しむ方も多く、休日の午後ともなると、多少湯がお疲れ気味になることも。人気との証でしょうか。源泉温度が高めのため加水も仕方のないところですが、湯温の調整には苦労されていると思います。
続いて露天。一旦着替えなければならないところがネックですが、その分、内湯よりも空いていることが多く、朝一番で訪問すれば、鮮度の良い一番風呂を楽しめます。パイプ管の湯口先端に付着した析出物も良い味を出しています。湯口付近で生まれたての温泉臭嗅ぎながら入浴するのが私のお気に入りスタイルになっています。
訪問するたびに休館の旅館や取り壊し跡地が目立つようなり、どんどん寂しさ増す川原湯温泉ですが、受付のお母さんは移転しても頑張ると笑顔でした。笹湯も移転まで閉鎖されてしまい、聖天様露天とならび川原湯温泉最後の砦である王湯共同浴場さん。移転まで可能な限り再訪したいです。まだの未浴の方、急ぎましょう。6人が参考にしています