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勝浦から国道42号線沿いに串本方面に向かうと、ゆかし潟という汽水湖が右手に見えてくる。この周辺が湯川温泉という温泉地なのだが、ここには日帰りの公衆浴場が現状では4箇所程あり、その内の一つがここ「四季の郷温泉」。「ゆりの山温泉」を越え、更に進んだ突き当りに位置する。
以前は「奥ゆりの山温泉」と称した超マイナーな温泉であったらしいが、今ではそんな面影はなく、新しい上品な建物となっている。入浴のみならず、温泉水も販売する。
内湯が一つで露天風呂はない。その内湯の浴槽も、5~6人用の石造りで上品な茶色のタイルが施されたもの。決して大きなものではない。温泉については源泉かけ流しを採用する良心的運営で、35度の源泉を加温して浴槽にかけ流しており、加温を除けば一切湯に加工が施されない。湧出量に見合わない豪華な露天風呂など造って人を呼ぼうなどというのは邪道で、この施設の方式が余程好ましい。
泉質はアルカリ性単純泉だが、硫黄臭が鼻をつき、PH9.8で弱ツルヌルの浴感、加温されているとは申せ、くつろぐのに具合の良いぬる湯と相まって、身を浸すと快適である。当然のことながら塩素臭などするはずもなし。
この周辺の湯は単純硫黄泉が多く、ここの湯も同様にはっきりした硫黄臭がする。アルカリ性単純泉にしては、天然温泉の芳香に満ちた存在感ある湯。ただ、近隣の「ゆりの山温泉」が非加熱のままかけ流し、更に天然温泉の個性が強く、加えて300円と安価であることと対比すると、評価は若干厳しくなる。2人が参考にしています