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投稿日:2008年9月3日
実力満点の珍湯、いやパラダイス! (那智天然温泉(閉館しました))
湯けむり天使さん [入浴日: - / - ]
55.0点
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マニアでは評判の温泉。やたらと広い駐車場兼空き地とおぼしきところから、樹木に蔦のからまったジャングルのような入口をくぐると、小さな建物がある。バラックと称すべきか小屋と称すべきか、ともかく大阪の山空海温泉より確実に衝撃的な建物だ。そのボロさ加減は愛知の永和温泉みそぎの湯と匹敵する。小奇麗なスー銭や大型ホテルの風呂しか入浴経験のない人達の大半は、ここで踵を返すことになろう。入浴料200円を支払って中に入ってはじめてパラダイスを体験できる。
当然のことながら豊富なアメニティーを期待するのは間違いである。小さな脱衣場に鍵付きのロッカーなどあるはずもない。小さな内湯には小さな浴槽が一つ、その浴槽は二重構造になっており、加温した源泉と非加熱源泉が張られる。浴槽の構造は大阪のトキワ温泉の簡易版のごときもの。平日の昼間でも地元の高齢者が銭湯代わりに大勢入浴している。
源泉は36度のぬる湯であり、香ばしい硫黄臭が素晴らしい単純硫黄泉。この施設に姑息な循環設備などあり得ず、当然のことながら源泉かけ流しである。毎分600リットルの豊富な自然湧出がなせる業だ。
この温泉施設の売りは、やはり混浴露天風呂だろう。尤も常連客の大半は内湯を利用しており、私の利用時には観光客とおぼしき夫婦者が一組露天へ恐る恐る出てきただけであった。せっかくここへ来たのなら、開放的な露天風呂を経験すべきだ。周囲は椰子の木の巨木など生える南国風の野生的な雰囲気で、和風情緒というものとは程遠い。この比較的浅めの広い露天風呂には非加熱源泉がかけ流され、やはりここでも香ばしい硫黄臭に包まれ至福の時を味わえる。夏場の36度という湯温はまた格別、露天は夏場に利用するのが良いだろう。
300円を別料金で支払えば、すぐ隣にある温泉プールを利用できる。普通の温泉施設では、裸浴する露天風呂とプールとでは完全に隔離されているのが常識だが、ここではそんな常識は通用しないので念の為。即ち、同じ敷地に両者隣同士で鎮座しており、両者の間には何の囲いもなく、お互い完璧に丸見え状態、ここまでオープンだと清々しい。プールに誰もいなければ露天風呂から直接プールに飛び込み裸泳ということも充分想定でき、下手すればほとんど国内における知る人ぞ知る合法的ヌーディストゾーンと言えなくもない。ともかく、開放的にも程があるゾーンなのである。
とにかく話題に事欠かない怪湯、いや珍湯、いやパラダイスに相違ない。そんな様々な突っ込み処満載の施設であるものの、基本的には良心的に源泉をかけ流す素朴な実力派の温泉である。
私はあらゆる意味で癒された。1人が参考にしています
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