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そろそろ勝浦の鮪も旬。久しぶりに訪れてみた。観光客相手の大きな食事処ではなく、居酒屋の昼メニューみたいなところこそ手軽にいいのが楽しめる。ガツガツしてはいけない。異性とのお付き合い同様「もう少し食べたいな」という頃が引き際である。
話がそれた。温泉である。今回は宇久井港から奥に入ったところにある休暇村南紀勝浦にお邪魔した。太平洋に面したがけの上に建つオーシャンビューの公共の宿である。日帰り入浴は11時から19時30分。ただし月木は15時からである。料金は1000円となっている。エントランスとフロントは4階になっており、手続きを済ませて2階の浴場「めざめの湯」に移動する。館内は大変落ち着いた雰囲気であり、廊下の間接照明の演出や、施設全体の清潔感など、よくできていると感心した。大人の時間を楽しむ向きにはちょうどよい空間である。さて、浴場であるが内湯は大浴槽が1つとカラン。露天も大浴槽1つと気泡風呂と陶器風呂2つがある。泉質はナトリウム・塩化物泉であり、原則として加温加水循環塩素消毒が施されている。ただし塩素臭は弱いものであり、最低限のものであろうか。陶器風呂だけは加水加温かけ流しとなっていたと思う。主にこちらを楽しんだ次第。陶器風呂に注がれる湯のパイプは2種類ある。1つは源泉と思わしき少し塩味のする湯。ここからの湯は「潮の香り」が強く感じられ、海水由来の温泉であると感じさせてくれるに十分である。話はそれるが大阪の「畷の里温泉」のヒマラヤ岩塩風呂もこちらと似た香りがしており、それは入浴剤使用かと思うのだが、あれはあれでよくできていたんだなと改めて思った。2つめのパイプは恐らく加水用の水のパイプ。こちらは普段は閉じられているのだが、人が外に出て水位が急に下がると開かれる。「早く水位を戻さねば…」という意味ではエマージェンシーなのか、それ用である。従って、出たり入ったりを繰り返すと水の割合が増えてしまい、さらに湯温が低下する。もともとは41度程度の適温だが、出入りを繰り返すと38度まで低下した。なので、長時間粘って入り続けると海水系の湯を楽しめる。もちろん他人に迷惑が及ばない範囲でだが。
他の浴槽はこの陶器風呂と比較して、やはり循環や消毒による劣化を感じた。珍しいのは「絹肌の湯」と名づけられた気泡発生装置によって白濁を演出する湯であろうか。他でも何箇所かでお目にかかったように記憶している。特に浴感に変化があるものではなく、気分の問題かと思われる。
勝浦と言えば、単純硫黄泉をはじめとする「硫黄」の湯という印象が強く、こちらの泉質は意外に感じた。湧出量が毎分40L程度と少ないので完全にかけ流しというのは難しいかもしれない。最大の売りはやはり「めざめの湯」というだけあって、海からのご来光が拝めるロケーションにあると言えよう。海に面した崖に立地し、浴室や露天のどこからでも海を見ることができる。紀伊半島東海岸の立地ゆえ、朝日が拝めれば巣晴らしい景色になろうか。宿泊者は5時ごろから入浴できると記憶している。機会があれば宿泊してみたいと思う。0人が参考にしています