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投稿日:2009年9月27日
秘湯の混浴露天 (塩沢温泉 湯元山荘跡(閉館しました))
湯けむり天使さん [入浴日: 2009年8月28日 / 2時間以内]
55.0点
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かなり山中奥深く入らねばならず、奥飛騨方面からも乗鞍方面からもかなり離れた場所にあり、アクセスが困難な温泉ではあるが、この温泉を目的に赴く場合人達は相当の覚悟と言うか、強固な意志を持つマニアが多かろうから路程もまた愉快であろうか。アクセス困難とは申せ、直前まで車で行けるので、運転が嫌でない限りさほどの苦痛はない。塩蔵川沿いの道を北上すると看板が設置され、それに従い右折すると程なく目的の秘湯に到着する。
塩蔵川に架かる木橋を渡ると、今は廃屋となっている「湯元山荘」の建物が現れる。露天風呂に下りてゆく階段を下ると、目的の露天風呂がある。脱衣場もなければトイレも勿論ない。脱衣したり入浴したりする有様を遮るものは何一つない。人がそれなりに多い川沿いの露天風呂などなら衆人環視の羞恥心を覚えるであろうが、ここは滅多に人など来そうもない山深い場所であるためほとんど気にならない。寧ろ、人恋しくなるほど人里は離れた秘境とも申す場所だ。夕刻になると一人では不気味だろう。人よりも野生動物に遭遇する可能性が高い。
露天風呂は岩組みであるが、温泉の析出物で周囲がコーティングされ、川へ滝のような析出物が連なる。温泉好事家にはこたえられない光景だ。浴槽内は段差があり、黄土色に濁った土類豊富な温泉のため視界が利かず、底がぬめる場合もあり歩行には注意が必要。湯温は35度程度で、湯口でもせいぜい38度程の人肌程度のぬる湯で、入浴可能なのは夏場を中心にした半年くらいだろう。10月下旬ともなるとかなり厳しいのではなかろうか。私は夏場の好天の折に入浴したため、ぬる湯がすこぶる心地よかった。
塩ビのパイプで対岸から浴槽まで源泉が引かれ、注がれている。源泉は透明で、僅かな硫黄臭とやや強めの金気臭がする。舐めてみると鉱物味と微かに甘味があり、炭酸の泡も感じられる。湯温が低いので炭酸の泡が健在だ。
露天風呂と野湯の混合形態に近い、自然の真っ只中での入浴となる。野湯好きの嗜好にも合う。大型ホテルの大理石風呂や都会のスー銭の様々な入浴アイテムに慣れた人は、間違っても入浴しようとしない方がよい。そのような近代的入浴施設とは正に対極にある。夏場はやたら虻その他の虫の飛来に耐えなければならないし、下手をすれば熊との遭遇も考えられないこともないから。良泉と大自然以外には何もなくても良い好事家なら大満足だろうけれど。1人が参考にしています
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